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野良犬「見つけたら殺せ」 バリ島で狂犬病対策、批判も

2015-04-13 19:44:19 | 犬の鳴き声 騒音被害

世界の誰もが犬好きというわけではない。我が家周辺の23軒で、15軒が飼っている。2匹飼いが2軒、合計で16匹。犬口密度が異常に高くないか?それらが1頭を除いて、狭いながらも自分の家の庭と言うことで庭内では、放し飼い&無駄吠え&道行く人には吠えまくり。野良犬なら何とか出来るのだが、他人の敷地内では何とも出来ない。犬の鳴き声、吠え声に音アレルギー者はやられっぱなし。遠くからでも犬ども黙らせる手はないものか。


朝日 2015年4月13日19時30分写真・図版

  • 住宅街で売られていた犬肉のサテ(串焼き)=バリ島デンパサール、古谷祐伸撮影
  • 写真・図版

 

 インドネシアの人気リゾート地、バリ島で「野良犬を殺せ」と州知事が号令をかけた。犬好きが多い島で狂犬病が広がれば、観光に影響が出かねないためだが、島では飼い犬の放し飼いが当たり前。野良犬と見分けるのは難しく、やり過ぎとの批判が出ている。

 砂浜が1キロ以上も続く、バリ島きっての観光地クタ・ビーチ。人々になつき、風景の一部になってきた野良犬たちが、今年の2月に入ってほぼ姿を消した。

 「以前は浜に十数匹はいた。そのうちの1匹が原因さ」とビール売りのグデ・サストロさん(54)が説明した。

 1月下旬、砂浜で遊んでいたオーストラリア人の観光客の少女が、野良犬に足をかまれる事件があった。この犬は地元の動物保護団体が狂犬病ワクチンを事件前に接種済み。少女も軽傷だった。だが、一件落着とはならず、1月末から2月にかけて、浜を縄張りにするほとんどの野良犬を地元の役人が捕まえたという。

 事件は島全体に影響する事態を招いた。

 「皆さん、犬がうろついていたら殺してくれ。狂犬病が多すぎる」

 事件の数日後、バリ島と周辺の小島を管轄するバリ州のマデ・パスティカ知事が地元メディアの取材に、過激な物言いで野良犬一掃の重要性を訴えたのだ。

 インドネシアは、宗教上の理由で犬を嫌うイスラム教徒が国民の8割に上る。だがバリ州は人口420万人の9割がバリ・ヒンドゥー教徒。犬への抵抗感は住民になく、島には推定40万匹の犬がいる。一方、同州では2008年以降、狂犬病で151人が死んだ。

 年間375万人の外国人を引き寄せ、島の経済活動の8割を支える観光業への打撃を、州政府は何より恐れる。狂犬病の流行の影響で、外国人観光客数が08年から12年にかけて伸び悩んだ。人をかむ恐れのある犬さえいなくなれば、というわけだ。

 一掃策の根拠は、08年に施行された狂犬病予防に関する州条例。飼い犬は自宅で管理して狂犬病の注射をしておかないといけない、と定めている。

 しかし、愛犬家らは州の対応を「やりすぎだ」と批判する。島では犬は首輪もつけずに放し飼いが当たり前。飼い犬と野良犬を見た目で区別するのは難しい。

 「私たちバリ・ヒンドゥー教徒は、犬に厄よけの力があると信じている。犬を自由に歩かせ、地域ごと守ってもらってきたのです」

 島中部で80世帯が暮らすトゥンブク村。主婦ライさん(26)はそう話した。だが、ライさんの犬5匹も含めて、村に約100匹いた犬はもういない。3月、ライさんの夫(30)が野良犬にかまれて狂犬病で死ぬと、州政府に一掃された。

 プトゥ・スマントラ州動物局長は言う。

 「動物局は過去7年、年間予算の7割ほどを狂犬病ワクチン購入に充ててきた。今年度も62億ルピア(5700万円)が計上されたが、一方で犬は増え続け、狂犬病も根絶していない。今年も3人が死んだ」

 輸入ワクチンを買い続けるより効率的だとして、州政府は4月から、660人からなる捕獲チームを島内各地へ派遣して、野良犬撲滅を推し進める方針だ。

 州政府はこれまでに、殺した頭数や詳しい処分の手続きを公表していない。

 バリ動物愛護協会(BAWA)のジャニス・ジラルディ代表は「安全な犬の集団を増やして危険な犬を追い出すのが、狂犬病撲滅に効果的。でも、州政府が殺している中には安全な犬も含まれている」と主張。安易な殺処分の中止を求めている。

■犬肉レストランは繁盛

 野良犬一掃の動きの一方で、奇妙な繁盛ぶりを見せているのが犬肉屋だ。

 BAWAによると、国内の別の島々に住む一部のキリスト教徒の習慣である犬肉食が、増加する出稼ぎ者などを通じてバリ島に近年伝わり、安価なたんぱく源として人気が上昇している。犬肉屋は今年3月時点で島に72店ある。

 州都デンパサールの住宅街の屋台で売っていたインドネシア料理「サテ(串焼き)」の材料も犬肉だった。店主の男性が「今朝処分したばかりで新鮮だよ。サテ18本セットで1万ルピア(90円)」と売り込むなか、数人の男性が店頭で食べていた。鶏やヤギのサテの3分の1以下の安さだ。

 島内に犬を家畜として育てる場所はない。店主によると、肉を仕入れるために自ら野良犬を捕まえるほか、知人が「入手した」と連絡してくる場合もあり、毎日1、2頭を処分する。

 子犬が増えると捨ててしまう住民もいて、肉の供給源になってきたようだ。ただ、インドネシアの動物管理保護法では虐待は禁止。犬肉屋は違法の疑いがあるが、州知事の発言が後押ししている可能性もある。

 飼い犬の「誘拐事件」も増えているという。

 デンパサールの新興住宅地に住む会社経営ヘリヤントさん(36)は3月中旬、飼い犬の1頭を盗まれた。

 「不審者が犬に毒を与えてバイクで連れ去った。隣人が目撃して教えてくれたが遅かった。この1カ月に近所でも4匹が盗まれた」

 急増する犬肉需要に追いつくため、狂犬病の恐れが薄い飼い犬の強奪までしているのではないか。BAWAは警察と協力して調査している。(デンパサール=古谷祐伸)

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