1950年代から80年台までがジャズの黄金時代だとすると
年齢的にもToots さんが最も油の載っていた時代がそうそうたるジャズメンが
活躍していた時代です。バド・パウエル、チャーリー・パーカー、スタン・ゲッツ、ビル・エバンス
しかり、マイルス・デイビスしかり
しかし、麻薬が体を蝕んでしまって、頭はハイ、しかし体はボロボロ。
そんな過激な生き方をする芸術家とはまったく違うトラックで自分の世界を
追い続けたToots。彼がここまで長生きなのはやはり健康的な生活をしてきたに
違いないと思う。
また ハーモニカは 息を吸って吐くという人間として自然な呼吸法を使います。
これが健康に悪いわけがありません。
閑話休題
Toots さんの奏法を聴いていて、いつも思うのが
フレーズの終わりや、突然ある音だけを長く吹いてフラットするあの音。
これをToots節とあえて呼ばせていただくと、この音に実に不思議な魅力を感じるのは
僕だけでしょうか。真似すると、「きみ、フラットする音だけ真似したってTootsになった気になるんじゃないぞ」
と言われそうですね。
でも、一般に唄を歌っていて若干フラットしたり、音程がふらふらしたりすると、明らかに唄がヘタ、または音痴とか
言われそうですが、Tootsさんのはそうは聞こえません。
また、一般にギターはチョーキングで音を持ち上げます。音がシャープするわけですが、これはこれでロックで
多用されています。ジャズではブルースっぽい匂いを出すときには結構使っていますが、
ギターでそれを何度も使うとちょっとくどい感じに聞こえます。
僕は吸いの音を出すときにフラットさせることが多いです。ふきの音でフラットは出来ますが、
なぜかその気分になれないんですね。
中国の四柱推命を昔かじったことがあるのですが、これはこれでよくできていて、この世は陰と陽で
できている。化学の世界でも陰イオンと陽イオンで原子構造のバランスをとっています。
あえて、自説を述べさせていただくと、
ハーモニカの吹きは陽、吸いは陰だと思います。 吸いの時にさらにフラットするつまり 陰の極美(きわみ)
があるわけで、そこに音楽としての悲しみがこもります。聞いている人はそこに若干の不安を感じるのですが、
そういった部分というのが音楽としてはひとつの要素になるわけでして、音楽を聴いていて、やはりいちばんの
醍醐味はその泣ける部分に出会えるかどうかだと思います。もちろんカラッとしたmajor な曲でもそれは成り立つと思っています。
ある記事で読んだのですが、Tootsさんは吹きながら涙を流していることがあって、それを隠すようにして
吹いている。感動的なお話です。
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