投資家の目線

投資家の目線594(米国はTPP断念)

 ウォール・ストリート・ジャーナル電子版が、オバマ政権が任期中にTPPの議会承認獲得を断念すると報じている(オバマ政権「TPP断念」 米報道、協定発効は絶望的 2016/11/12 日経WEB版)。トランプ次期米国大統領はTPPに反対しているので、日本でTPPが承認されても発効しないと考えられる。

 ただし、トランプ氏は経済協定に全面的に反対しているわけではない。同氏の外交アドバイザーであるマイケル・フリン氏は「トランプ氏は自由貿易論者だが、TPPは米国にとり悪い取引だ。私は多国間の貿易協定より2国間の協定の方がよいと考える。日本との2国間協定も議論すべきだ」(『「米軍駐留費、負担議論を」、トランプ氏側近・フリン氏に聞く。』2016/10/13 日本経済新聞 朝刊)と語っている。TPPはだめでも米国により有利な条件が引き出せれば、日米FTAはOKということだろう。日本が先にTPPを承認することで米国の要求に対する歯止めになるという考え方もあるが、経団連国際経済本部 シニア・アドバイザー 金原主幸氏は「会議に出席した米側代表は,TPP合意により日米間のFTAの土台ができたと一応評価」(「TPP大筋合意と第52回日米財界人会議」 世界経済評論 2016/1/11)と書いている。そのため、TPPは日米FTAの防波堤にならないと思う。

 ウォール・ストリート・ジャーナル日本版は2016年11月10日の、「【社説】トランプ氏の急務と試練」で、「全国民のために雇用創出と所得増につながる経済成長を最優先にするという約束を守るなら、トランプ氏が成功する可能性はある」と書いている。雇用創出のためには、日系部品メーカーが米国に工場を建て、米国進出の日系企業の現地部品調達率を上げればよい。トランプ氏もそのような政策も採用してくるだろう。しかし、それは日本の雇用にはマイナスで、社会に与える悪影響は大きい。
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