投資家の目線

投資家の目線983(新型コロナワクチンはトラディショナルなワクチンではない)

 6月7日、アメリカ合衆国の第9巡回区控訴裁判所が、従業員にCOVID-19ワクチン(以下新型コロナワクチンと表記)接種を受けることを義務付け、さもなければ職を失うことを義務付けていたロサンゼルス統一学区(LAUSD)の新型コロナワクチン接種方針が、治療を拒否する基本的権利を侵害していると主張する原告の訴えを棄却した、地方裁判所の判決を無効とした。

 

 

 新型コロナワクチンは感染拡大を効果的に防ぐものではなく、感染者の症状を緩和するだけなので、「従来の」ワクチンではなく医療行為に類似したもの(the vaccine does not effectively prevent spread but only mitigates symptoms for the recipient and therefore is akin to a medical treatment, not a “traditional” vaccine.)という原告の主張を採用したのだ。ただし、どういうメカニズムで症状を緩和するのかは、判決文では見つけられなかった。日本も米国と同様のワクチンを使っており、それには感染拡大を防ぐ効果はないため、「感染は主にワクチン未接種者の間で広がる」という新型コロナウイルス感染症対策分科会(ワクチン接種が進む中で 日常生活はどのように変わり得るのか? 令和3年9月3日(金))の主張は結果としては間違いだったと言える。

 

 それに先立つ6月3日、米国下院特別小委員会では、新型コロナ対策を指揮していたアンソニー・ファウチ米国立アレルギー感染症研究所(NIH)前所長が、NIHの関係する非営利研究団体から資金提供を受けて武漢ウイルス研究所が機能獲得研究を行っていたことや、子供へのマスク着用、ソーシャルディスタンスの強制の決定が科学的根拠に乏しいものだったのではないかということについて追及を受けていた(『「米コロナ対策元トップは大量殺人罪で裁かれるべき」社会的距離やマスク着用の科学的根拠は不明か 米議会』 2024/6/5 (飯塚真紀子))。

 

 「脱炭素社会」もすっかり色あせている。環境債の利回りが通常の債券より低くなる「グリーニアム」現象が消滅し(『GX10年債、落札利回り1.04% 「グリーニアム」消滅』 2024/ 5/ 28 日本経済新聞電子版)、米議会下院司法委員会は米大手金融機関や機関投資家による気候変動対策や二酸化炭素排出量抑制での結託は反トラスト法に違反するとの報告書を提出している(「米大手金融のESG推進、独禁法違反と指摘 米下院司法委」 2024/6/12 日本経済新聞電子版)。極めつけは、欧州議会選挙における緑の党の大敗である。今までグローバルエリート層が志向していた世界観が、急激に逆転しつつある。

 

 トヨタ自動車の豊田章男会長が、議決権行使助言会社から再任反対を推奨されている。確かに、企業グループ内での品質不正には問題があるが、「脱炭素社会」実現のためのEV普及にそれほど熱心ではない姿勢と無関係なのだろうか?

 

 無能な西側主要国の首脳たちは第三次世界大戦をはじめてガラポンするしか延命の術はないようだ。しかし、製造設備が老朽化していて十分な量の弾薬を作ることができない(Bloomberg on X: "Ground wars are still won with bullets and artillery shells. But with severely outdated ammunition plants, the US is finding that it can’t make them fast enough.)。しかし、西側諸国に弾薬が足りないからと言って、戦争が終われば大きな損失になりかねない設備投資を行う企業経営者はいるだろうか?

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