米国の中間選挙は、共和党の優勢を伝える報道が多くなっている。マスコミは盛んにペロシ連邦下院議長宅襲撃事件を報じている。しかし、「英ロイター研究所の21年の調査では、米国でメディアを信頼すると答えた国民の割合はわずか29%。対象の46カ国で最低だった」(「アメリカン・デモクラシー メディアの苦闘 下 筋書き先行脱却、信頼再構築 地道に声聞き、争点探る」 2022/10/10 日本経済新聞朝刊)と、米国のマスメディアに世論に影響を与える力はない。
10月のOPECプラスによる原油減産決定前、「サウジ側の主張によると、米国は減産決定を「せめて中間選挙後にまで先延ばししてほしい」と要請したといわれ」(「バイデン政権のメンツ丸つぶれ サウジ石油減産の背景」 2022/10/18 Wedge)る。原油の減産を中間選挙後にする等の小手先の対応をしたところで、米国市民を悩ますガソリン価格高騰を根本的に解決できるわけがない。選挙優先のバイデン政権は自分たちの立場を守ることだけに熱心で、米国市民に対しては不誠実な政権だと判定できる。2020年の大統領選挙の時、メタのザッカーバーグCEOは、「激戦州の郡に、資金投資団体を通じ4億ドルを寄付したが、その金は郵便投票促進と民主党が有利になるよう使われた」(「マーク・ザッカーバーグはジョー・バイデンのために大統領執務室を購入したのか?」 2021/12/22 total news world)と報じられたが、「メタの株価はここ1年余りで74%も下落した」(「[FT]米メタ株主、ザッカーバーグCEOの独断浪費に怒り」 2022/11/2 日本経済新聞WEB版)ことなどがあり、厳しい株主の目にさらされる今のザッカーバーグ氏には大統領選時のような資金を出す余裕はないだろう。
中間選挙で共和党が勝利した結果、米国からウクライナへの支援は大幅に減らされるだろう。「米政府のウクライナ支援は行き過ぎだと答えた人が全体の約30%に達し、3月の調査での6%から増えた。行き過ぎと答えた共和党支持者の割合が前回調査の6%から48%に増加したことが主因だ。」(「米のウクライナ支援、共和党支持者で反対拡大=WSJ調査」 2022/11/4 ダウ・ジョーンズ配信)と、米国内でウクライナ支援に反対する人が増えている。また約8000人が参加した10月29日のドイツ東部のドレスデンでのデモにおいても、「政府はウクライナへの武器支援を直ちにやめるべきだ。これはわれわれの戦争ではない」(「旧東独で親ロシアのデモ多発 西側に不満、物価高騰に怒り」 2022/11/4 時事通信)という発言が出るなど、ドイツでもウクライナ支援に反対の人が増えている。
共和党議員らは、「ジョー・バイデン大統領の息子であるハンター・バイデン氏による国外でのビジネスに加え、新型コロナウイルスの発生源、さらには職場の閉鎖なども含むパンデミック(世界的大流行)への対応なども検証する考え」(「米共和党、下院奪還ならバイデン氏長男や国境警備など検証へ」 2022/8/30 ダウ・ジョーンズ配信)だという。ウクライナの生物化学兵器研究所の件については、米国内での情報開示で契約書などいろいろ情報が出ているようだ。新型コロナウイルスの発生源の追及はこの研究所に関わる問題だ。バイデン大統領の次男、ハンター・バイデン氏とウクライナの生物化学兵器研究所の関係については、今年3月25日に英紙デイリーメールが報じていた。「ジョー・バイデン米大統領は、中間選挙後に連邦議会で共和党が多数派となれば自身の弾劾を求める声が上がるだろうと危機感を示した」(「米中間選挙、共和党が議会掌握なら弾劾の恐れ=バイデン氏」 2022/11/4 ダウ・ジョーンズ配信)という。ハンター・バイデン氏の怪しげなビジネスが追及されれば、父のバイデン大統領にも嫌疑がかかるのは当然だろう。
追記:2023/6/7
↓米国連邦政府のHPから、Signed at Kiev August 29, 2005 付けの米国防総省とウクライナ保健省との生物兵器に関する次の協定書が取得できる。
AGREEMENT between the Department of Defense of the United States of America and the Ministry of Health of Ukraine Concerning Cooperation in the Area of Prevention of Proliferation of Technology, Pathogens and Expertise that could be Used in the Development of Biological Weapons(生物兵器の開発に使用される可能性のある技術、病原体および専門知識の拡散防止分野における協力に関するアメリカ合衆国国防総省とウクライナ保健省との間の協定)
https://www.state.gov/wp-content/uploads/2019/02/05-829-Ukraine-Weapons.pdf