14日、大韓民国の国会で尹大統領の弾劾訴追案が可決した(「韓国大統領弾劾可決、憲法裁判断に数カ月 収拾に時間」 2024/12/14 日本経済新聞電子版)。次期大統領としては野党「共に民主党」の李在明代表が有力視され、尹大統領とは異なり親北政権で、日本との関係は悪化するという見方も出ている(『尹大統領弾劾で〝左派政権〟発足可能性の韓国 西岡力氏「反日感情、活用してくる」』 2024/12/7 産経新聞)。
朝鮮民主主義人民共和国(DRPK)は半島北部に日本海と黄海を結ぶ運河の建設を計画している(『「北朝鮮版スエズ運河」構想? 東西200キロ連結、実現性不明』 2024/3/30 共同通信)。この運河が完成すれば、友好的な露朝関係が続く限りコリア海峡(国際通用名、日本名は対馬海峡)を通らずにウラジオストクから東シナ海に出る代替ルートができる。「共に民主党」がどう考えているかわからないが、コリア海峡を封鎖するロシア封じ込めのための日韓同盟の価値は薄れる。
DRPKがロシアに自走砲や多連装ロケットシステムを供与したと報じられている(「北朝鮮がロシアに自走砲供与か、クルスクに移送 FT報道」 2024/11/17 日本経済新聞電子版)。平壌設計(ロシア製造)の多連装ロケットシステムが、ウクライナで「きわめて実戦的な」運用試験が行われているのは事実のようだ。データは平壌にフィードバックされ、その兵器の性能と運用は精緻化される。DRPKが「超大型放射砲」と呼ぶミサイルは365キロメートルの射程で目標に命中させたという(『北朝鮮、超大型砲ミサイル発射 「365㎞射程で命中」』 2024/5/31 日本経済新聞電子版)。休戦ライン付近に「超大型放射砲」を配備できれば大韓民国のほとんどが射程に入る。大韓民国の安全を考えれば、対北強硬策は現実的ではないだろう。