投資家の目線

投資家の目線734(インド、パキスタン及び中国)

 インド政府が北部ジャム・カシミール州を直轄地にすると発表した。それに対して、中華人民共和国はパキスタンと連携を強めているという(「中国、カシミール問題でパキスタンと連携 早期収拾呼びかける」 日本経済新聞WEB版 2019/8/13)。3国とも核兵器保有国である。

 グローバル・ファイヤーパワー(Global Firepower)の「2018年軍事力ランキング」によれば、

インド
兵員 : 420万7250
航空戦力 : 2185
戦闘機 : 590
戦車 : 4426
主要艦艇 : 295(空母1隻)
軍事予算 : 470億ドル

パキスタン
兵員 : 91万9000
航空戦力 : 1281
戦闘機 : 321
戦車 : 2182
主要艦艇 : 197
軍事予算 : 70億ドル

「世界の軍事力ランキング トップ25[2018年版]」(2018/11/28 BUSINESS INSIDER)

と、国土面積の差はあるものの、軍事力はインドの方が強力である。

 「国際紛争[原書第5版]理論と歴史」(有斐閣 ジョセフ・S・ナイ・ジュニア著 田中明彦/村田晃嗣訳)には、「バランス・オブ・パワーと言った時の第2の用法は、バランスをとるという政策のことである。この意味のバランス・オブ・パワーからすれば、諸国家はどこかの国が圧涛I優越を達成するのを防ぐように行動するはずだ、ということになる。
…中略…
バランス・オブ・パワーの政策は、負け犬(アンダードッグ)を助ける政策である。勝ち犬(トップドッグ)を助ければ、最終的に勝ち犬は、向き直ってこちらを食おうとするかもしれないからである。」(P81)と記されている(また、「国際政治 権力と平和」モーゲンソ?現代平和研究会訳 福村出版P208 では、バランス・オブ・パワーについて、『バランサーは、「光栄ある孤立」の地位にある。それは、みずからの選択によって孤立している。なぜならバランスの二つの秤皿は、成功のために必要な優位を獲得する目的で互いに競ってその皿に勢力を加えようとしなければならないのに対して、バランサーは、いずれの側とも永久に結合するなどということはしないからである。バランスの保持者はいずれも秤皿が下がりそうか観察するために、注意深く公平な態度で中間において待機する。その孤立は、「光栄ある」ものである』と記述されている)。

 今回の中華人民共和国の行動は、インドとのライバル関係もあるのかもしれないが、バランス・オブ・パワーの政策という点からは支持される。


 なお以下の記事↓のように、ヒンドゥー至上主義のモディ政権下のインドでは、ムスリムだけでなくキリスト教徒も圧迫している。アジア太平洋地域にはムスリムやキリスト教徒も多い。「インド太平洋構想」なんて成立するのかな?

「インドの巧妙なキリスト教弾圧」(ニューズウィーク日本版 2019/4/9 スリンダー・カウ・ラル、M・クラーク)
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