投資家の目線

投資家の目線818(米国のインフラ投資と菅首相訪米)

 バイデン政権が8年間で2兆ドル(約220兆円)のインフラ投資をすることを発表した。財源は企業増税と言っている(『バイデン氏「対中競争に勝つ」 220兆円投資・増税発表』 2021/4/1 日本経済新聞WEB版)が、日本の資金もあてにされているのではないだろうか?インフラ投資ファンドを設立して投資資金を募り、その資金をインフラ投資に振り向ける形にすれば米国連邦政府の財政は悪化しないし、たとえ上手くいかなくてもリスクを負うのは米国の納税者ではなく投資家だ。4月2日には、16日に菅首相が訪米し、バイデン大統領と会談する予定であることが発表された。

 2017年2月に安倍首相(当時)は、10年間に1,500億ドルの対米インフラ投資で、65万人の雇用を生み出すという提案を行った。資金については、「政府は日本の大手銀行の融資に加え、昨年3月末時点で約135兆円に上る年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の運用資金、140兆円規模に達する政府の外貨準備高の一部を振り向ける案も掲げた。」(『安倍首相、米に巨額インフラ投資の狙い 「戦略的蜜月関係」の一環、50兆円市場で70万人雇用創出』 2017/2/6 ZAKZAK by 夕刊フジ)という。

 安倍前首相は宿題をやらない子供で、次のように、養育係の久保ウメ氏など周りの人に迷惑をかけたようである。『問題は学校の宿題をやらないことだったという。「『宿題みんな済んだね?』と聞くと、晋ちゃんは『うん、済んだ』と言う。寝たあとに確かめると、ノートは真っ白。それでも次の日は『行ってきまーす』と元気よく家を出ます。それが安倍晋三でした。たいした度胸だった。でも、学校でそれが許されるはずはない。あと1週間でノートを全部埋めてきなさいと罰が出る。ノート1冊を埋めるのは大変です。私がかわりに左手で書いて、疲れるとママに代わった」(ウメ)(「首相・安倍晋三の養育係を独占取材した”唯一無二のバイオグラフィー” 『安倍晋三 沈黙の仮面』」 小学館 2016/3/15)。昨年、安倍晋三氏は日米経済交渉や対米インフラ投資という宿題を放り出して病気(それについて診断書が出たという報道は見たことがない)を理由に首相の職を辞任した。約束の後始末を他人にやらせるなんて子供時代と変わらない。担任がトランプ先生からバイデン先生に交代したからといって、日米経済問題という宿題がなくなるわけではない。2017年2月の安倍首相(当時)の時、『日系企業が米国内の雇用創出で貢献している実績などを説明し、「信頼できる安保・経済同盟国」であることをアピールする。』(『安倍首相訪米で「信頼安保、経済同盟」アピール 中国の軍事的覇権拡大見据えた同盟強化が焦点』 -2017/2/10 ZAKZAK by 夕刊フジ)と報じられたので、日米同盟を重視する勢力はインフラ投資への出資を拒めない。

 日本が出資しても、日本の建設会社が米国のインフラ建設を受注し、日本が投資資金を回収するというようなことはできないだろう。リニア新幹線では、大手建設会社の談合が発覚し、先日有罪判決を受けた。以前あった自動車部品カルテルでは、40人以上の日本人ビジネスパースンが米国の刑務所に収監されていた。『国際カルテルに詳しいベーカー&マッケンジー法律事務所パートナー弁護士の井上朗は「いわゆる握りや合意がなくても、日本人の感覚だと情報交換程度に近い行為が摘発の対象になりやすい」と指摘する。』(『米カルテル摘発再起動(上)日本人、投獄の悪夢、「情報交換程度」危ない橋(CONFIDENTIAL)』 2018/3/5 日経産業新聞)。米国のインフラ投資で「談合」が発覚したら、関係者は刑務所行きだ。

 できるかどうかは分からないが、米国のインフラ投資に協力する代わりに、ある程度の日本の対米貿易黒字を認めてもらうという取引はあり得るだろう。しかし、日本の雇用にはマイナスだとしても、輸出企業の現地生産を促し、貿易収支の不均衡の是正を促すのが本筋だろう。
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