Ｇ7経済がアブナイ。 昨年の米国企業倒産数は642件と2010年以来の高水準だ（「23年の米企業倒産、13年ぶり高水準 高金利に耐えられず」 2024/1/27 日本経済新聞電子版）。米商業用不動産のリスクは、昨年に続き市場に米地銀の経営に対する不安を与えている（「ＮＹＣＢショック２日目、地銀株は大幅続落－投資判断引き下げ相次ぎ」 2024/2/2 Bloomberg）。米商業用不動産に関しては、米国の銀行だけでなく、ドイツ銀行や（「ドイツ銀、米商業用不動産に絡む引当金が４倍以上に－借り換えリスク」 2024/2/1 Bloomberg）、日本のあおぞら銀行が引当金を引き上げている（「あおぞら銀行15年ぶり最終赤字に 24年3月期、引当金増」 2024/2/1 日本経済新聞電子版）。
米商業用不動産の評価額が正当なものか疑問視されている。『【焦点】米オフィスビル評価額、「裏技」で押し上げ』（2024/1/29 ダウ・ジョーンズ配信）によれば、最近のオフィスビルの取引では、「賃料の引き上げに応じたテナントに現金や賃料無料（フリーレント）期間を提供する物件所有者が増えている」などで名目上の賃料は上昇しても正味の実効賃料は若干下落しており、また売り手融資（売り手が買い手に行う融資）という手法の利用で「買い手に物件購入資金を融資することで、売り手は価格をある程度高く保つことができる」という。このようなことが蔓延しているようでは、投資家は商業用不動産価格を、公表されているものより割り引いて評価するようになるだろう。
英国でも企業倒産が大変な状況だ（「イングランドとウェールズ、昨年の企業倒産が1993年以降で最悪」 2024/1/31 ロイター）。大陸欧州では、フランスに続きブリュッセルでも、政府やＥＵに対する農民の抗議デモが発生している（「農家らが政府政策に抗議活動、トラクター1000台が集結 ベルギー・ブリュッセル」 2024/2/1 日テレNEWS NNN)。2023年10～12月期のユーロ圏のＧＤＰ成長率（速報値）は前期比ゼロ％と横ばいで、シェアの3割を占めるドイツのＧＤＰ成長率が前期比マイナス0.3％であることが足を引っ張っている。「ドイツ経済研究所の試算では、24年の独GDPは0.5%減と2年連続でマイナス成長になる見込みだ」（「欧州経済、景気低迷続く 23年10〜12月GDP年率0.1%増」 2024/1/30 日本経済新聞電子版）という。通貨ユーロの信用を支えていたのはドイツ経済だったが、ドイツ経済の低迷は通貨ユーロの信用を弱めるのではないだろうか？ドイツでも鉄道労働者や（「ドイツ全土で大規模鉄道スト決行 過去最長、景気悪化の恐れも」 2024/1/27 共同通信）、空港労働者の大規模なストライキが発生している（「【ドイツ】独主要空港、１日にスト 保安警備職員ら2.5万人が参加」 2024/2/1 NNA）。「ドイツのための選択」が極右と言われるが、ロシアを攻撃する「21世紀のバルバロッサ作戦」の推進に熱心なのは、現ショルツ政権の方だ。国内情勢を顧みない政権が国民から見捨てられるのは当然だ。一方ロシアのGDP成長率は、ＩＭＦでさえ2024年は2.6％のプラス成長と上方修正している（「IMF、24年のロシア成長予測を上方修正」 2024/2/1 日経FTザ・ワールド）。
日本経済新聞は社説で、ロシアに有利な形でウクライナが停戦を迫られることになれば「これまで継続してきた支援の成果が台無し」になるから支援を継続すべきだと論じている（「［社説］ロシアの「勝利」は容認できぬ」 2024/2/1 日本経済新聞電子版）。同紙は商品市況を扱う「中外物価新報」を始まりとしている。その従業員が、落ち目の西側に引きずられてロシアを敵にまわした誤りを認められないために、「損切り」もできないとは…。創刊した益田鈍翁も草葉の陰で泣いていることだろう。
追記：2024/2/12
緑の党に所属するドイツのアンナレーナ・ベアボック外相の祖父は熱烈なナチスの支持者で軍の将校だったと、ビルト紙が報じたという（ドイツメディア、独外相とナチスの関係を報じる 2024/2/11 sputnik）。
ウクライナの元ナチスを議会で拍手で迎えたカナダのクリスティア・フリーランド副首相の祖父もナチスの協力者だったことが知られている（カナダ副首相の祖父はウクライナ人協力者 ロシア語翻訳：青山貞一（東京都市大学名誉教授）独立系メディア E-wave Tokyo 2022年4月29日）。
