投資家の目線

投資家の目線638(衆議院解散?)

 今朝、新聞やラジオで衆議院解散のニュースが流れていた。担当する麻生副総理の「ナチス」発言等で先の日米の最優先事項である日米経済対話が流れたが、衆議院解散でまた同会議が先延ばしになるだろう。

 トランプ政権だけでなくアメリカ人民にとっての関心事は、North Koreaの核やミサイル実験ではなく、日々の生活に関わる経済の問題であろう。前主席戦略官のバノン氏の、トランプ米大統領は中国国家主席を他の首脳より尊敬しているという講演での発言が報じられた。米国産の牛肉の輸入再開やコメ輸入で、経済分野で着実にポイントを上げている中国の習主席と、2月に米国に約17兆円投資して約51兆円の市場と70万人の雇用を創出するという大風呂敷を広げながらその後は「ナシのつぶて」の日本の安倍首相では、当然習主席の方が尊敬に値する人物だろう。

トランプ米大統領は中国国家主席を他の首脳より尊敬 Bloomberg 2017年9月13日
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-09-12/OW6BA5SYF01S01

 安倍首相は衆議院選勝利の余勢で、米国投資の資金を公的資金等から捻出することを正当化するつもりかもしれない。昨今のNorth Koreaの核・ミサイル実験は米国から高額の兵器を購入することを正当化させる。

 ただし、安倍政権の提案は必ずしも否定されるべきではないと思う。もし代替案がなければ、日系自動車メーカーへの現地生産拡大や部品の現地調達比率の引き上げが要求され、日本経済にはマイナスになるだろうからだ。しかし、約17兆円の投資云々はあまりにも高いハードルを自ら課してしまったと思う。

 元経産官僚の古賀茂明氏によればカリフォルニア州が販売台数の一定比率を排ガスゼロ車にしなければ罰金を取るという規制が施行されるという。しかも日系メーカーが先鞭をつけたハイブリッド車はその対象にならず(プラグイン・ハイブリッド車は対象内)、その動きは他州へも拡大しているという(2017/9/13 IWJインタビュー)。いざとなれば、数少なくなった競争力のある産業である日本からの輸入車を締め出すことを可能とする仕組みは整っているということだろう。他国のメーカーにも当てはまるが、6月20日の日本経済新聞朝刊で「日本車、米でシェア4割、今年度販売、最高の680万台、輸出増、SUVがけん引。」と報じられており、最も標的にされやすいのは目立つ日系メーカーだろう。

 経済重視の米国と、安全保障重視の日本の間には大きな溝がある。日米同盟強化をうたいながらも、安倍政権の経済に対する実行力は乏しい。安倍政権を再任しても日米同盟強化にはつながらないと思う。

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