投資家の目線

投資家の目線454(一神教と国家)

 イスラーム学者の中田考氏と内田樹氏の対談本「一神教と国家」(集英社新書)を読んだ。最後の部分で米国流グローバル化のオルタナティブとしてイスラーム共同体が提案されているのが興味深かった。イスラーム共同体も国家の枠組みを超えたグローバルな存在で、米国流とイスラームで勢力均衡を作ろうとする試みといえよう。そして、これは安倍総理の推進する「積極的平和主義」という米国一極型モデルとは対立する概念だと思う。


 イスラームといえば、かつてのタタール人の居住地で(*その後スターリンによって中央アジアに強制移住させられた)現在はロシア人が多数派を占めるクリミア半島で、ウクライナからの分離・独立やロシアへの帰属替えの要求が出始めたようだ。本当に国家の統一を維持することが難しい時代になった。社会の安定がなければ国家の統一(核管理のような国家的事業を含めて)の維持も、安定的な経済成長もできないだろうに。なお、ガールズ&パンツァーの脚本・考証等を務めた鈴木貴昭氏が「上坂すみれの装甲親衛歩兵連隊放送」で、旧式のソ連戦車が安く売られている(一両数十万円だったと思うが)と言っていた。この価格なら、彼の地では民間組織でも戦車を保有できそうだ。

(*かつて日本でも蝦夷との戦争があった。「延暦十三(七九四)年から征夷大将軍として投入された坂上田村麻呂らによって、戦線は北上し現在の岩手県にあたる地域の蝦夷の征服が進められていった。その過程でとられた政策が、蝦夷・俘囚の全国への移配だった」(「島根県の歴史」松尾寿、田中義昭、渡辺貞幸、大日方克己、井上寛司、竹永三男 山川出版社)。どこの国でも強制移住政策はあるようだ。)
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安倍首相:「日本おとしめるキャンペーン」海外で展開 - 広報対策検討 2014/2/28 Bloomberg

 日本でも国家指導者が妄想に取りつかれているようだ。

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