投資家の目線

投資家の目線971(ナチスと同じ誤りを犯した西側諸国)

 「独ソ戦 絶滅戦争の惨禍」(大木毅著 岩波新書)には、ヒトラーとドイツ国防軍が、幹部が粛清されたソ連軍を、装備、兵員、指揮の劣る「頭の無い粘土の巨人」とみていたことが書かれている(p32)。その状況から短期決戦で終わると考えたドイツ軍は、兵站態勢の構築等を真剣に考えずに開戦した結果、前線は泥沼化していった。かつて故ジョン・マケイン上院議員は、「ロシアは国の姿を装ったガソリンスタンド」(「国を装ったガソリンスタンド」 2022/7/1 日本経済新聞電子版)と発言していたが、そのようにロシアに舐めきった対応をとった結果、西側諸国は弾薬の不足、あるいはロシアが大きな影響力を持つエネルギーや食料品価格の高騰に頭を悩ませている。

 

 また独ソ戦について、「ドイツが遂行しようとした対ソ戦争は、戦争目的を達成したのちに講和で終結するような一九世紀的戦争ではなく、人種主義にもとづく社会秩序の改変と収奪による植民地帝国の建設をめざす世界観戦争」(「独ソ戦」p220)と記されている。ウクライナとロシアの紛争について、西側マスコミなどは「民主主義と権威主義」の争いなどとも報じているが、西側諸国はイデオロギーにまみれた「世界観戦争」を行っているように見える。「世界観戦争」なので、西側諸国は軍事的合理性のかけらもなく勝目の無いウクライナへの肩入れを行っている。さらにジョー・バイデンは、2014年のウクライナに続いて、今度はイスラエルで思い通りに動かないネタニヤフ政権の転覆を画策しているようだ(「米大統領、民主幹部発言を評価 イスラエル首相交代巡り」 2024/3/16 日本経済新聞電子版)。

 

 ワシントンは、「一つの中国」を唱えながらも特殊部隊を台湾に常駐させた(『米特殊部隊、台湾に常駐開始 国防相「学習できる」』 2024/3/14 日本経済新聞電子版)。これは北京の承諾も得ずに中国領内に米国の軍隊を進駐させるのは、ワシントンの挑発行為ではないのか?西側諸国は極東でも「世界観戦争」を始める準備をしているようだ。

名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最近の「本」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事