関栄次著「日英同盟 日本外交の栄光と凋落」(学研 p142)では第一次世界大戦時、「軍事秘密保護のためには、郵便や電信の管理はゆるがせにできない。日本海軍も私用郵便物の発受について管理規制を定めていた。だが、下士官と水兵だけが分隊長の検閲を必要としていたにすぎず、もっと大事な情報を知りうる立場にあるはずの准士官以上は自主規制に任せられていた。だが、実際にはその管理も不十分で、好ましくない事態がしばしば起きた」と、日本海軍のわきの甘さが指摘されている。
また、ビルマ大使だった石射猪太郎の著書「外交官の一生」(中公文庫 p407)では、『上級将校は上級将校で女と酒の逸楽に荒んでいた。大使官邸の裏手にある翠香園というのが、彼等の夜の花園であって、そこに貼り出された遊興規則には「戦力を増強する如く使用すべし」とあったという。そこで戦力増強中の軍司令官の将校達が口走るのであろう、話を聞きはさんだ女達の口から、軍規のはしはしが、よく外部に洩れてくるのは笑止であった。外部では、参謀達を、翠香園参謀と呼んでいた。」と上級将校からの情報漏洩が指摘されていた。
最近では、一等海佐による副業の顧客に出入港情報漏洩も発生した(「デリヘル営業1佐懲戒免職 海自、出入港情報漏えいも」 2020/3/10 日本経済新聞WEB版)。情報漏洩は一佐一個人の問題ではなく、日本軍からの「伝統」なのだろう。いくら防衛大臣が「シックス・アイズ」と気負っても、上級幹部の情報漏洩がひどくては機密の共有などできない。まず、綱紀の粛正が先だ。
もっとも8月22日には、綱紀粛正を指示した河野防衛大臣自身が航空機で横田基地に向かっていることをツィートしていた。前日に基地訪問のことは開示されているとはいえ、訪問前でもこの程度の情報開示なら問題ないという判断なのだろうか?国内視察ということもあるのだろうが、ブレア元英国首相やクリントン元米国大統領の回想録に出てくるパキスタン訪問時の用心深さとはだいぶ違う。
また英米諸国と「価値観を共有している」というのなら、自民党は天賦人権説など西欧の価値観を否定する平成24年版の憲法改正草案を取り下げないとおかしい。
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