投資家の目線

投資家の目線375(領土問題と外国人観光客)

 7月の訪日外国人数は2010年同月比で4%減の84万5,300人だった(2012/8/18 日本経済新聞朝刊)。また同記事では、「円高や放射能汚染への懸念が根強い韓国や欧州で、訪日客の回復が遅い。今後は日中・日韓関係の悪化が影響を与える可能性もある」とも伝えている。

 沖縄の7月の外国人観光客が6万7900人になった。中国のマルチビザが影響しているようだ(2012/8/16 日本経済新聞地方経済面 沖縄)。上海からの大型クルーズ船が沖縄に寄港したことによる直接的な経済効果は1.3億円に上ったという(2012/8/18 日本経済新聞地方経済面 沖縄)。東北観光推進機構は、中国版ツィッター「新浪微博」で観光情報の発信を始めた(2012/8/14日本経済新聞 地方経済面 東北)。近隣諸国との対立は、観光産業に重点をおいている地域の経済の足を引っ張ることになる。特に前原誠司民主党政調会長が大臣時代にマッチポンプ(国土交通大臣時代に海上保安庁を通じて中国漁船船長を逮捕の方に仕向け、外務大臣時代には外務省職員が那覇地検に説明に行っている)の役割を演じた尖閣諸島の一件は、わざわざ寝た子を起こしたようなもので、現在最も頼みとする中国人観光客誘致にマイナスの影響を与える。ちなみに、日露戦争当時、既に外貨獲得のために外国人観光客の誘致が提案されていた(参考文献:「日露戦争、資金調達の戦い」板谷敏彦著 新潮選書)。外国人観光客は昔から外貨獲得の手段として重要視されていたことが分かる。

 孫崎享著「不愉快な現実」では、日米学生会議で著者が問うたところ米国学生はオフショア・バランシングを選択した。金欠の米国連邦政府としては、日韓軍事協力も対中向けのオフショア・バランシングの一環と言える。例え連邦政府が軍のアジア駐留を望んでも、議会がそれを許すかどうか分からない。カール・レビン上院軍事委員会委員長は、『在日米軍や在韓米軍の再編計画について「永続的な長期にわたる大規模な部隊の駐留を念頭に置いた古い考え方だ」と述べ、抜本見直しが必要との考えを強調した』と報道された(2012/2/10日本経済新聞夕刊)。李大統領の対日強硬姿勢もこのオフショア・バランシングの動きを考慮した上ではないか?米国が自国の利益のために日韓軍事協力を望んでいるという弱みを盾ノ、韓国の要望を、米国の圧力を通じて日本に実現させようとしているように見える。

 結局、現在起こっていることの根本原因をたどると「アメリカは衰退しました」というところに行きつくように思う。

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・米国ニューヨーク州金融サービス局に、イランとの取引を糾弾されたスタンダードチャータードの英幹部は「世界中の他の国にイランと取引するなと命令するとは、自分をいったい何様だと思っているのだ」と発言したという(「ならず者はどっちだ、スタンダードチャータードか当局か」2012/8/9 Bloomberg)。英国人にそこまで言わせるほど、今の米国はやりすぎの面があるようだ。日本人にはそこまで米国の役所に文句が言えるのか?

・2012/8/15WSJ日本版JRT「フクシマウォッチ:原発事故後にチョウの奇形が増加」
 この記事ではヤマトシジミというチョウの奇形が取り上げられている。そのなかでは、『獨協医科大学の木村真三准教授は「(論文の結論を)人間に置き換えるのは危険。1種類のチョウで影響があるかもしれないということであり、人にあてはまるかはわからない」と述べた。ただ、低線量被ばくの影響については「看過すべきではない」としている』。日本の大手紙でこのことを伝えたところがあるのだろうか?日本のことを知るには外国新聞の記事が重要だなあ。


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