投資家の目線

投資家の目線686(お得意さんとは)

 2017年7月7日の東洋経済オンラインにデービッド・アトキンソン氏の『外国人が心底失望する「日本のホテル事情」』という記事があった。外国人富裕層向けのホテルが少なく、稼ぎ損なっていることを嘆いている。同記事では『バックパックを背負って「貧乏旅行」をする若者やショッピングと食事目当てでやってくる近隣諸国のツアー客だけでなく、自家用ジェットでやってくる世界の富豪まで、さまざまなタイプの客が楽しめる「多様性」がカギなのです』と記されているが、どちらかというと客単価の高い富裕層狙いを志向しているようだ。

 一方、大韓民国からの訪日客は安近短志向で、一度の消費額は少ないが何度も来てくれるお客さんだ(「ようこそお隣さん(1)訪日客、リピーター7割、国際フェリー乗ってみた、お目当て、食・癒やし(九州沖縄inAsia)」 2018/7/21 日本経済新聞 地方経済面 九州)。しかし、彼らは入国審査で嫌な思いをしたり、滞在時間のわりに金払いが悪いと入店を断られたりすることもあるという(「ようこそお隣さん(1)福岡、外国人対応に課題、審査不評、街で入店拒否も(九州沖縄inAsia)」 2018/7/21 日本経済新聞 地方経済面 九州)。前者の記事では『1回で20万円使うのも、10回で2万円ずつ使うのも変わらない。何度も来てくれる「親日家」たちのニーズに目を背けては、頼れる隣人を失うことになる』と結んでいる。

 一度に使う金額は多いがたまにしか来ない客と、一度に使う金額は少なくとも頻繁に来てくれる客では、どちらがお得意さんなのだろう?たまにしか来ない富裕層を誘致して一獲千金を狙うよりも、地道に、何度も来てくれる客を「お得意さん」とした方が持続可能な経済が実現できるのではないかと思う。
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