10月1日の日経産業新聞に「輸出で稼げなくなった日本(眼光紙背)」というコラムが掲載されていた。『財務省の「貿易統計」によれば、日本の輸出は昨年12月から9カ月連続で前年割れとなり、直近12カ月のうち7カ月で貿易収支が赤字となっている。今日の日本経済はもはや輸出で稼げなくなり、その影響が生産や設備投資に抑制的に働くようになってきた』という。財務省貿易統計によれば、東日本大震災以降、2016年、2017年を除いて輸入額が輸出額を上回っている。今年上半期も8,926億円の貿易赤字である。今年上半期で貿易黒字が大きい地域はアジアと北米で、国等では黒字の多い方からアメリカ合衆国、香港、韓国、台湾、シンガポール、‥・の順になっている。世界最大の市場であるアメリカ合衆国がバイ・アメリカン政策を採用することにしたため今後は国際分業体制というのは取りづらくなるだろう。また香港での過激なデモは、その経済に悪影響を及ぼすと思われる。そのなか、韓国で日本製品の不買運動が起きるほどの外交政策をとったことは日本政府の失策だろう。
「戦後日韓関係 国交正常化交渉をめぐって」(吉澤文寿著 クレイン)には、日韓交渉に関連した日本の朝鮮半島支配を正当化するような久保田貫一郎や高杉晋一といった歴代首席代表の発言や、日韓交渉に米国が介入して韓国に請求権という名目の放棄を促したこと、1960年代の日韓交渉が経済基調だったこと、韓米は韓国の対日感情を好転させる策として日本に謝罪特使の派遣を働きかけたが、日本は経済援助により経済を安定させることで韓国世論を落ち着かせることを目指したことなどが書かれている。その経済援助で日本企業や日韓政界の実力者が経済的に潤ったことは、「権力と陰謀―元KCIA部長金炯旭の手記」(金炯旭著 合同出版)や「沈黙のファイル」(共同通信社社会部編)に記されている(経済援助は資金でなく、日本企業が製造したモノで行われた)。
日韓は冷戦時代に反共を目的として「手打ち」をしたが、日韓問題の解決にはなっていなかったのだろう。
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