投資家の目線

投資家の目線741(関西電力事件と関西の裏ガネ)

 関西電力幹部に、高浜原発の地元高浜町の元助役から金品がわかっていたことが発覚した。元助役は地元警察署幹部にも商品券を贈っていたという(「元助役、警察署幹部にも多額商品券 1990年代、高浜町管轄の小浜署」 2019年10月5日 福井新聞)。関西電力の件は国税局の調査で分かったという。ナニワのタニマチと言われた泉井事件も国税局の査察が発端だった。裏ガネの問題はどの地域でもあるが、とりわけ関西はひどいように思う。

 検察の裏ガネを公表したのは、三井環元大阪高検公安部長である。三井氏の著書『告発!検察「裏ガネ作り」』(光文社 落合博実解説)には、元大阪高検検事長から、「なあ三井君、組織を裏切ったやつはモリカズみたいになるんや。そのことは、よう覚えときい」と恫喝を受けたことが書かれている。また、古川利明著「日本の裏金 下 検察・警察編」(第三書館)には、1982年、大阪府警賭博ゲーム汚職摘発のとき、自殺した警察大学校長が大阪府警本部長から転勤する際、逮捕されたゲーム店経営者から餞別を受け取ったことも書かれている。

 三井氏の著書に書かれていた「モリカズ」とは、「闇社会の守護神」こと故田中森一氏である。田中氏の著書「反転」(幻冬舎)では、「拓銀をつぶした男」と言われる経営者と親しい政治家として安倍晋太郎、竹下登、生長の家の玉置和郎、村上正邦(日本会議)、公明党矢野絢也(八尾市出身)、春日一幸などが挙げられ、接待対象としては近畿財務局長、大阪府、府警、国税局で、中央官界では中島義雄元主計局次長や田谷広明元東京税関長と交友関係があり、会社の顧問弁護士は検察内部に影響力のある田村彌太郎元仙台高検検事長と書かれている。おもしろいことに安倍、竹下、日本会議、公明党、八尾市出身者、近畿財務局、大阪府は、森友学園土地取引事件に出てくるメンツである。「反転」には、京唄子や横山ノックなどの有名人がその経営者からカネを受け取っていたことや、安倍晋太郎事務所が山口組系暴力団組長の渡仏を助けたことも書かれている。

 赤報隊事件、グリコ・森永事件、阪和銀行副頭取射殺事件、住友銀行名古屋支店長射殺事件、餃子の王将社長射殺事件など、関西には未解決の不可解な事件が特に多いように感じる。グリコ・森永事件を扱った「闇に消えた怪人 グリコ・森永事件の真相」(一橋文哉著 新潮社)には、有力企業舎弟の「ワシの仲間には東大出のエリートもいれば、大物政治家の秘書だった奴から元全共闘の活動家までいろいろとおる。カネ儲けの前には、左翼も右翼も関係ないわ」、警察内部から漏れ出てくる「政界や文化人の中に支持勢力を持っていて、すぐに捜査に対して抗議や圧力をかけてくる。」、捜査幹部の「関西の“地下水脈”を徹底的に調べてきたんやないか」、「かい人21面相」からの手紙「おそらく、ボスの名前は永久に分からないでしょう。もしあなたがその正体を知ったら、驚くはずですよ。」、「かい人21面相」の脅迫状に書かれた「わしら つかまって ナカマの ポリ公の なまえ でたら 本部長 やめなならん」といった文言が並ぶ。関西電力の一件も関西地域の「土壌」に関連しているように思えてならない。

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