投資家の目線

投資家の目線739(日米貿易協定署名)

 ニューヨーク時間9月25日、日米貿易協定が署名された。懸案の自動車の輸出規制は含まれなかった。

日米貿易協定及び日米デジタル貿易協定 (内閣府HP)

日米共同声明 (内閣府HP)

 米国において日系メーカーの販売台数が減少していることと、現地生産の拡大が続いていることが関係しているのだろうか?トヨタは昨年1月にマツダとの合弁で、年間30万台の生産能力を持つ工場をアラバマ州に建設することを発表したうえ、今年9月に発表されたテキサス工場への投資は、現地での生産台数を増やすことになるだろう。日系企業が使い慣れた日本製工作機械の関税引下げは、自動車関連の現地生産拡大に役立つだろう。

「マツダとトヨタ、米国アラバマ州に合弁新工場を建設」 2018年1月11日

「トヨタ、米国テキサス工場への4億ドルの投資を発表」 2019年9月18日


 27日に発表された帝人グループの自動車部品工場建設も、現地での部品調達率向上に役立つだろう。

「自動車向け複合成形材料事業の北米拠点を強化 米国テキサス州に工場を新設」 2019年9月27日


 日産自動車は米国工場の人員削減を実行するのだろうか?日産といえば、菅官房長官の選挙区には本社、小泉環境大臣の選挙区の横須賀市に追浜工場が、河野防衛大臣の選挙区には日産車体(平塚市)とオーテックジャパン(茅ヶ崎市)が、武田国家公安委員長兼防災担当大臣の選挙区には日産自動車九州などがある。米国での販売落ち込みは彼らの選挙区には痛手だろう。

 韓米FTAの例を見ると、牛肉輸入が増加する一方、トウモロコシの輸入が減少し、米国からの農産物輸入金額は減少した。これでは貿易収支均衡にはマイナス要因になる。

 また、「しょうゆや菓子類、切り花など、日本の事業者の輸出への関心が高い42品目の関税削減・撤廃を実現した。」(「日米貿易協定合意で国内対策へ、農家支援、輸出促進で「攻め」も。」 2019/9/27 日本経済新聞 朝刊)と報じられているが、日本の菓子類は添加物が含まれていることが多い。添加物問題への関心が高い(州政府も含めて)米国市場で、関税引下げが日本企業の輸出拡大につながるかどうかは疑問である。

 日米共同声明には、「日米両国は、これらの協定が誠実に履行されている間、両協定及び本共同声明の精神に反する行動を取らない。」という文言がある。日本政府は、まず米国産トウモロコシの買い手を見つけなければならない。
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