投資家の目線

投資家の目線458(台湾問題)

 ブレジンスキー著「Strategic Vision」(2012年)では、アメリカの衰退で最も危険な国は、グルジア、台湾、韓国、ベラルーシ、ウクライナ、アフガニスタン、パキスタン、イスラエル及び中東を挙げている。


 その本の中で、台湾についてはだいたい次のようなことを書いている(以下、当方の訳)。

・どちらの側も現状を力で変更しないことを維持しながら、1972年以降米国は「一つの中国」を受け入れた。
・平和的な「現状維持」では、成長している中国と民主主義と自由市場志向の台湾の両者との関係が太平洋における強い米国のプレゼンス、およびビジネス上の利益に有益だった。
・米国は台湾への継続的な武器売却を正当化する。そして、それは外交関係の米中正常化の時に1979年に確認されている。さらに、アップデートされる台湾の防衛力は、台湾問題が平和的に解決されるときまで、台湾の自治を守るために必要である。
・中国はそのポジションを拒否し、主権を力で変更する権利を維持する。
・しかし、その間にますます海峡両岸を適応させる政策を追求している。
・台湾と中国は2010年の夏には比較的対等に経済協力協定( ECFA )の署名をするなど、近年彼らの関係は改善している。
・台北の政策決定者は、中国の直接的な圧力も経済的に成功した中国の膨大な魅力も無視することができなかった。
・最低でも、海峡両岸の統一のためのタイムテーブルをスピードアップするが、それは本土に有利な不平等な条件であろう。
・その間にアメリカの衰退が日米間の戦略的関係に逆の影響を与えた場合には、中国は「一つの中国」を実現させるため力を使用するという脅威をもって、台湾への圧力を強化しようとする誘惑に駆られるかもしれない。特に、その問題に関する中国の国民感情の深さによるものだが。
・その効果をもたらした脅威が政治的に成功することは、既存のアメリカのコミットメントの信頼性に関する、日本と韓国における信頼の全体的な危機を促すことができる。


 なお、台湾の立法院に陣取る学生は次のように述べている(以下2014/3/28 岩上安身氏のツィートの抜粋)

・岩上安身 ‏@iwakamiyasumi 3月28日
連投28 RT @MrSARU: 28,IWJ原「今回、行動を起こした動機は」。陳「理由は3つ。台湾は今回の貿易協定によって、影響を受ける範囲がとても広いことを心配していること。台湾と中国の関係についての心配があること。議会における、協定の審議過程に欠陥があったからです」
・岩上安身 ‏@iwakamiyasumi 3月28日
連投29 RT @MrSARU: 29,原「陳さんが考える、サービス貿易協定の問題点について教えてください」。陳氏「今回の協定で、中国の資金が台湾に流れてきて、広告産業に影響を与えれば、マスコミが影響されることは避けられません。中小企業も支配されるかもしれません」
・岩上安身 ‏@iwakamiyasumi 3月28日
連投31 RT @MrSARU: 31,陳「中国の政権が国民の生活に影響を与えることを、みんな心配しています。それでいて、協定締結の過程が民主的に議論されていないし、正当な手順も踏んでいない。報道の自由や基本的人権、経済の自主権もどんどん減っていっていくでしょう」
・岩上安身 ‏@iwakamiyasumi 3月28日
連投32 RT @MrSARU: 32,原「では、中国と台湾、どのような関係の構築を望みますか?」。陳「中国との経済の交流は避けられません。例えば、金融と貿易の往来はいいのです。それらは、やはり民主的な議論を通して境界線を作ることができます」
・岩上安身 ‏@iwakamiyasumi 3月28日
連投33 RT @MrSARU: 33, 陳「しかし、今回の協定は不透明な過程で、いろんな問題が起きました。国会に『両岸協定監督条例』という法律を作らせて、問題解決をしてほしい。中国と台湾は、それぞれ独立の国であるという前提で、経済など、あらゆる面で交流できたらいいと思います」
・岩上安身 ‏@iwakamiyasumi 3月28日
連投37 RT @MrSARU: 37,陳「台湾は一歩も譲らずに民主主義の価値を守ってきた、独立した主権国家です。この事実を堅持していると認識されることには、とても意義があります。さらに、台湾の状況は、ウクライナと似ていると思います」
・岩上安身 ‏@iwakamiyasumi 3月28日
連投38 RT @MrSARU: 38,陳「大国のある区域経済の状況において、小国が自分の国の自主性と経済の独立を保つのは、とても厳しい問題です。世界中の国々でも避けられない問題です。ウクライナでも、日本でもそうです」
・岩上安身 ‏@iwakamiyasumi 3月28日
連投39 RT @MrSARU: 39,陳「例えば、日本もTPPの問題に直面しています。世界中の若者たちは、そういう問題について、一緒に考えなければならないと思います。ウクライナも一つの例になっているように、台湾の今回の学生運動も、一例として世界に貢献することができると思います」


 体制の違いのほかに、「Strategic Vision」が示したような、経済協定が台湾に不利なものになるのではないかという懸念も持っているようだ。それはTPPに対しても同じ懸念を持っており、単なる反中親米とみなすのは間違いだろう。

<ご参考>
【ドキュメント台湾国会占拠(8)】占拠続く立法院内の取材に成功 ~学生リーダーに単独インタビュー「日本の人たちと交流続けたい」 #BLOGOS


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