暗闇に浮かびあがる顔

2008年10月16日 15時00分19秒 | Weblog
私の住んでいるところでは,
毎年秋に八幡様のお祭りのお神輿がでる前日に,
「前夜祭」として,地区別でのかくし芸を披露する催しがある。

各地区,それぞれに得意分野(?)があり,
「時代劇」,と決めているところ,
「歌謡曲ショー」,と決めているところ,
などなど,様々なのだが,
我が家の地域は戸数も多く人手があるので,
数にものをいわせた「群舞」的なものを毎回披露している。

たとえば,ある年は「よさこいソーラン」だったり,
またある年は「マツケンサンバ」だったり,
要は,大勢が入り乱れて華やかに踊る,といった趣向のものである。

夏に,夫が町内会の集まりから戻ってきて,
「今年の出し物,決まったで。」
と言った。

「グランディーババレエ団や!」

えーッ!マジ!?

みなさんは,この「グランディーババレエ団」をご存知でしょうか?
男性ばかりの,コメディバレエ集団で,女性役も全部,男性のみで
行うもの。

私は,ぞっとした。
本家はいくら男性が女役,といっても,技術的にはかなりレベルの高い,
姿かたちも美しい外国人男性が踊るのだが,
夫やその仲間たちの汚なっ苦しいバレリーナ姿・・・
あぁ,想像するだに恐ろしい。

半月程して,練習が始まった。
練習のある土日は,私は仕事で忙しいので参加はできないので,
帰って来た夫から,様子を聞く。
なんと,本格的な「チュチュ」(バレリーナの着る衣装)を
裏方のみなさんが手作りしているとのこと。
もう誰も止められないほど,勢いが加速していっているのを感じる。

本番の数日前,夫が衣装を家で着て見せてくれた。
・・・読者のみなさん,
マギー司郎がバレリーナの格好をしている姿を想像してください・・・
それが夫です・・・
私は,情けなさで全身が脱力するのを感じた。

「当日は化粧もするで。」

と夫は楽しげに言ったが,私はロクに聞いちゃいなかった。

そして,前夜祭の日。
私は今年は仕事がどうしても休めず,
着いた時には,ほぼ全てのプログラムが終了し,
閉会の挨拶がおこなわれていた。

私は,家族がどこにいるのかを探した。
八幡様の野外広場でステージを組んでいるので,
暗くて誰が誰だかよくわからなく,探すのに苦労していた。

その暗がりの中に,白く浮き上がった顔があった。
そこにはまるで,俺達ひょうきん族のフラワーダンシングチームで(古い)
西川のりおが顔に施していたオバQのような化粧の
うちの夫がたたずんでいた!

私は「ひっ・・・!」
と声にならない声をあげ,一歩後ずさりしてしまった。
そ・・・そう言えば,
「当日は化粧もするで。」
とかなんとか,言ってたけど,
このオバQが!?

遠くこの地まで嫁いできたことに疑問を感じずにはいられない
一夜のできごとであった・・・。
コメント (2)
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