愛猫のメルが亡くなって早や三カ月。
彼女がいない淋しさに少し慣れてきた。
先日,義母がよその飼い猫か,捨て猫かわからないが,
トラ模様の猫にエサをあげていた。
メルが思いがけず急逝したため,
彼女のキャットフードが大量に残っているのだ。
(ちなみに,義母はそれを時々みどにもあげている。みどは嬉しいのか嬉しくないのかは謎。)
そのトラ猫は義母には慣れていたので,
もう餌付けし始めて何日も経っているかと思われる。
それでも,警戒心を体全体に漂わせ,
私が近付くとビクッとして逃げる気満々の態勢になった。
しかし,義母が
「トラちゃーん,大丈夫よー。」
と声をかけると,また安心してエサを食べ始めた。
もう名前までつけちゃってんのーーーーーッ
しかも何のひねりもない名前ーーーーッ
義母も動物が大好きなので,そのような猫を見ると
ついついそういう行動に出てしまうのだろう。
夫にこのことを話すと
「その猫がうちの猫になるのも時間の問題やな。」
と言った。
数日して,息子と私が外出から帰ってきた時の事。
我が家の前栽の築山からサササーッと猫が出てきた。
例のトラ猫「トラちゃん」だ!
すると,「トラちゃん」から遅れること数メートル,
もう一回り小さなトラ猫がついて出てきたではないか!!!
私と息子は顔を見合わせ,
「ふ・・・増えてる!!」
と叫んだ。
もしや,この界隈の猫のあいだで,
「あの家へ行ったら,なんか知らんけど,ばーさんにゴハン食べさせてもらえるらしいで。」
と噂になっているのでは!?
私は,義母にすぐ尋ねると,
「あぁ,あれは親子よ。」
と,彼女は事も無げに言った。
承知済みですかーーーーーッ
そんなこんなで,数日経ったある日,
夫が仕事から帰ってこう言った。
「今日,職場の外に子猫が捨てられてて,もうちょっとで連れて帰りそうになって
一応アンタに御相談の電話をしようと思って迷ってるうちに,
他の女性職員が連れて帰ってしもたわ。」
あんたら親子してどんだけ猫好きなんですかッ
後で,義母にそのことを言った。
いくら野良猫を可愛がっても,まだ本格的に飼うことには
ためらいがあるのではないか,と思ったら,彼女は
「あらー,そりゃ残念じゃったねー。」
と言った。
飼う気満々ですやん
さて,トラ猫親子は日増しに人懐こくなっていき,
昨夜,私が帰宅した時には玄関のところにじっと座っていた。
私が近寄っても逃げようとはしない。
それどころか,足元にすり寄ってくるではないか!
私は
「トラちゃん・・・」
と声をかけた。
すると,
ニャーニャーと鳴き甘えてきた。
喉を撫でてやるとひどく喜んだ。
か・・・可愛いやないか・・・
そのことを家に入って義母に話すと,ちょっと困ったふうだった。
そこまで懐かれてしまうのも,彼女の中ではためらいがあるらしいのだ。
だったらエサあげたらアカンでしょーーーーーッ
彼女の言い分は,家で本格的に飼うのなら,子猫から育ててしつけたい
ということだそうな。
そして,義母のとった行動。
知り合いの猫好きのところへ,あげてきたのだ。
情が深いのか,薄情なのか,どっちなのッ
というわけで,せっかく私にも慣れてくれたトラちゃん親子は
居なくなってしまった。
ちょっと淋しい気持ちの自分に驚く。
でも,このぶんだと,猫を飼い始める日はそう遠くないな,
と確信したあさひなのでした。