汗と涙の着物生活 

突如着物に目覚め、ついに着物作成に挑戦。着付けに涙し、とどまらぬ物欲に冷や汗の毎日。

「BORO」に日本庶民の美意識を見る-浅草アミューズミュージアム

2010-06-18 | お出かけ
いささか時をさかのぼり…

実はあたくし、会社勤めの傍ら、キャリアアドバイザーを本業としており、ときどき就職活動関連のイベントでブースに入って学生さんへのアドバイスなんぞをしている。

この3月、そんなイベントの一環で浅草の町を久しぶりに訪ねることになった。
昼休みにお蕎麦屋で会計を済ませていると、レジ横にミュージアムのただ券が。「アミューズミュージアム」といって、浮世絵や日本のテキスタイルを展示しているのだとか。

すぐ近くで時間があったので(タダだし)、ちょっと立ち寄ってみた。
1階はカフェとお土産屋のあるすスペースで、ちょっとミュージアムがあるというのはわからない。とまどっているとチケットを持っているのを目にしたスタッフが2階に案内してくれた。

そこに展示されていたのは、いわゆる「ぼろ布」。日本の農村などで着古された衣服のコレクションだ。田中忠三郎さんという民俗学者の方が、長年農村を回って集めたものだという。田中さんのコレクションは、黒澤明の映画にも使われているらしい。

▼浅草アミューズミュージアム
http://www.amusemuseum.com/

もし何も言わずに展示物が自分の前に提示されたら、即座に捨ててしまおうと思うような継ぎ接ぎだらけのぼろ布たち。しかし布を織るということ自体が、大変な手間がかかった時代-それはそれほど昔のことではない。私の母も、祖母が糸を紡いで布を織っていた姿を記憶しているという。当時は衣服はそれ自体が非常に貴重なものだった。だから、何代にもわたって、継ぎ接ぎをしながら受け継がれていったのだ。

田中さんの出身である青森の衣服は、素材が麻か木綿しかなかったため、冬の寒さに耐えるために、布を重ね合わせて防寒着としていた。分厚く重なったその重さに圧倒される。

それでも継ぎあてられた布同市のちょっとしたコンビネーションに、古い衣服でもできるだけ見栄え良くしようというおしゃれ心を感じる。

そのおしゃれ心が炸裂しているのが、別の部屋に展示されていた「南部菱刺し」。着物を守るために使った麻布の前掛けに、なんと毛糸や木綿糸で刺子をしていくもの。「刺子」というとツートーンの色の少ないものしかイメージがなかったので、このカラフルな前掛けにはびっくりした。


▼ホームページから「南部菱刺し」について引用
明治時代までの南部地方の衣生活の中では、唯一、白黒の木綿糸が麻布に刺し綴る材料でしたが、大正時代に入ると農村部にも少しの色毛糸が入ってきました。毛糸は美しくて温かくて柔らかい。でも貧しい暮らしの中、決して大量には購入できません。また毛糸は木綿糸よりは弱いので、労働着への刺し子にするには無理がありました。だから前かけへの刺し子に毛糸が使われたのです。
---------ここまで--------

写真でもわかるように色合いがカラフルなだけでなく、幾何学模様に刺された柄がすごーくモダン。こんな柄のブラウスがあったら着てみたい(笑)。

日常着であっても少しでもおしゃれをしたい。そんな今も昔も変わらぬ心情にシンパシーを感じた一時だった。

(写真はアミューズミュージアム 公式ホームページから借用)

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2 コメント

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デザイン性豊か (神奈川絵美)
2010-06-18 20:51:47
こんにちは! このアーガイルというか、菱形というかの中の色柄の配置って、とても凝っていますよね。辛い野良仕事や、寒い冬の暮らしの中でも、ささやかな幸せや遊び心を見つけていたであろう、人々のタフさに感じ入りました。

ところで、キャリアアドバイザーとはすばらしいですね! 私のキャリア相談にも乗ってもらいたいわ~
返信する
Unknown (はつき)
2010-06-18 23:24:10
絵美さん
素晴らしいデザインですよね。思わぬ出会いでした。
キャリアアドバイザーのキャリアは始めたばかりですが、お役に立てれば嬉しいです。
返信する

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