![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/19/25/44c772ee4467e7b57ff2771e3bc943b2.jpg)
二週続けて、週末はパリ・オペラ座バレエ観劇へ。二週目は、ロマンティックバレエの傑作「ジゼル」。
主演は、アニエス・ルテステュ(ジゼル)とジョゼ・マルティネス(アルブレヒト)。アニエスは、クール・ビューティーなイメージが強く、正直ジゼルのキャラクターではないようにも思えたのだけれど、わたくし美しい長身のこの二人が大好きなのだ。初めて訪れたパリで、初めて見たオペラ座バレエは、この二人の「白鳥の湖」だった。それがあまりに素敵で印象深く、私のオペラ座好きのきっかけとなったのである。
期待に違わずすばらしい舞台で、一幕目もニ幕目も、終わりには思わず涙してしまう始末。
前半の、ジゼルとアルブレヒトとの、お互いの好意を確認しながらのうれしはずかし状態。本当に10代の男女のように感じられ、「そういや、私にもそんな日があったなあ」と、昔の乙女は当時の甘やかな感情を思い出してしみじみ。
その後、アルブレヒトの偽りがばれ、一気に悲劇へ。前半が幸せいっぱいだっただけに、ジゼルの我を失った様子が際立つ。私も、仕事のストレスで精神的に追いつけられ、尋常ではない行動をとるようになってしまった人の対応をしたことがあるけれど、アニエスの表情はまさにそれ。裏切られていたというショックから必死で逃れようとするあまり、判断能力を失ってしまった様子。だから、彼女の死も、弱かった心臓にショックが与えられて死に至ったというより、彼女自身が辛い現実から逃れるために選んだように感じられた。
一昨年、マラーホフ演じるアルブレヒトを見たときは、無邪気に、心からジゼルのことを愛しているように感じたけれど、今回のジョゼのアルブレヒトは、それよりややプレイボーイっぽい印象。どこか、貴族の傲慢さがあって、婚約者がありながら、かわいい村娘と遊んでやろうという感じ。ところが、彼女が死んでしまって、初めて自分の真の愛情に気づき、とりかえしのつかないことをしてしまったことにも気づく。
そんなことを考えていると、「ジゼル」って、見れば見るほど、ジゼルの悲劇というより、アルブレヒトの成長の物語のように思えてくる。アルブレヒトは、自分の気まぐれで起こしてしまった人の死で、初めて支配階級である貴族としての責任に目覚め、少年から大人になるのだ。自分の言動が、どんなに大きく人の運命を変えてしまうか、そのことに気づくのだ。この古い物語がいまだに人気があるのは、音楽や振り付け、衣装始め舞台美術のすばらしさももちろんだけれど、そうした誰しもが経験したことのある大人への成長物語を象徴しているからなのではないだろうか。
おとぎ話は、時としてその終わりの先の話が気になるものだけれど、「ジゼル」はまさにその典型。アルブレヒトは、その後、どんな貴族になったのか?この悲劇を糧に、人の痛みのわかり自分の責任の重さを理解した良い領主となったと信じたい。
二幕目の白いドレスのコールドも期待に違わず美しく、ミルタを演じたマリ=アニエス・ジローのルルベの移動は、まるで舞台上を滑っているかのよう。(終演後、楽屋口から出てきたジローさんは、一人一人にサインに応じる気さくさで、ミルタの冷たさとのギャップに驚いた)ヒラリオンのジョシュア・オファルトも元気いっぱい。
しかし、どこを見ても美男美女のバレエ団だなー・・・。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/65/23/15e3bc5919edf6a5663cfdf7b4a37d72.jpg)
さて、この日の着物は、桜解禁ということで、桜の木を描いた小紋。帯は、昨年「呉盟会」で図らずも購入してしまった黒の塩瀬の蝶柄の帯。(この帯が、新しさのためか締めにくくてあやうく遅刻しそうだった!)黒にドット刺繍の羽織をはおって。この羽織、バレエやコンサートでは定番なのだ。それは裏地に秘密がある。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5f/10/c100bb8cb0bd0e3695ef179acb39ac1b.jpg)
携帯写真でわかりにくいかもしれないけど、ピアノやバイオリンがちらされている柄の羽裏なのだ。京都旅行で立ち寄った「紫織庵」で反物だけ購入し、あとから着尺を買って羽織に仕立てたもの。こんな羽織でコンサートに出かけたいとおもって仕立てたので、じゃんじゃん活用している。
しかし、バレエファンと着物ファンは、かなり重複があるのか、先週も今週も、客席に着物姿の多かったこと!ただ、バレエ観劇の着物におけるドレスコードは、歌舞伎ほど決まったものがないらしく、カジュアルな紬から訪問着まで、かなりバリエーションに富んでいた。今年は海外の有名バレエ団の来日ラッシュなので、着物姿を見るのも楽しみ~!
◆3月20日昼の部 主な配役◆
ジゼル:アニエス・ルテステュ
アルブレヒト:ジョゼ・マルティネス
ヒラリオン:ジョシュア・オファルト
ウィルフリード:ジャン=クリストフ・ゲリ
ベルタ、ジゼルの母:ヴィヴィアン・デクチュール
クールランド大公:ヤン・サイズ
バチルド姫:ベアトリス・マルテル
ペザント・パ・ド・ドゥ:メラニー・ユレル、エマニュエル・ティボー
ミルタ:マリ=アニエス・ジロー
ドゥ・ウィリ:マリ=ソレーヌ・ブレ、サラ=コーラ・ダヤノヴァ
演奏:東京フィルハーモニー交響楽団
指揮:コーエン・ケッセル
主演は、アニエス・ルテステュ(ジゼル)とジョゼ・マルティネス(アルブレヒト)。アニエスは、クール・ビューティーなイメージが強く、正直ジゼルのキャラクターではないようにも思えたのだけれど、わたくし美しい長身のこの二人が大好きなのだ。初めて訪れたパリで、初めて見たオペラ座バレエは、この二人の「白鳥の湖」だった。それがあまりに素敵で印象深く、私のオペラ座好きのきっかけとなったのである。
期待に違わずすばらしい舞台で、一幕目もニ幕目も、終わりには思わず涙してしまう始末。
前半の、ジゼルとアルブレヒトとの、お互いの好意を確認しながらのうれしはずかし状態。本当に10代の男女のように感じられ、「そういや、私にもそんな日があったなあ」と、昔の乙女は当時の甘やかな感情を思い出してしみじみ。
その後、アルブレヒトの偽りがばれ、一気に悲劇へ。前半が幸せいっぱいだっただけに、ジゼルの我を失った様子が際立つ。私も、仕事のストレスで精神的に追いつけられ、尋常ではない行動をとるようになってしまった人の対応をしたことがあるけれど、アニエスの表情はまさにそれ。裏切られていたというショックから必死で逃れようとするあまり、判断能力を失ってしまった様子。だから、彼女の死も、弱かった心臓にショックが与えられて死に至ったというより、彼女自身が辛い現実から逃れるために選んだように感じられた。
一昨年、マラーホフ演じるアルブレヒトを見たときは、無邪気に、心からジゼルのことを愛しているように感じたけれど、今回のジョゼのアルブレヒトは、それよりややプレイボーイっぽい印象。どこか、貴族の傲慢さがあって、婚約者がありながら、かわいい村娘と遊んでやろうという感じ。ところが、彼女が死んでしまって、初めて自分の真の愛情に気づき、とりかえしのつかないことをしてしまったことにも気づく。
そんなことを考えていると、「ジゼル」って、見れば見るほど、ジゼルの悲劇というより、アルブレヒトの成長の物語のように思えてくる。アルブレヒトは、自分の気まぐれで起こしてしまった人の死で、初めて支配階級である貴族としての責任に目覚め、少年から大人になるのだ。自分の言動が、どんなに大きく人の運命を変えてしまうか、そのことに気づくのだ。この古い物語がいまだに人気があるのは、音楽や振り付け、衣装始め舞台美術のすばらしさももちろんだけれど、そうした誰しもが経験したことのある大人への成長物語を象徴しているからなのではないだろうか。
おとぎ話は、時としてその終わりの先の話が気になるものだけれど、「ジゼル」はまさにその典型。アルブレヒトは、その後、どんな貴族になったのか?この悲劇を糧に、人の痛みのわかり自分の責任の重さを理解した良い領主となったと信じたい。
二幕目の白いドレスのコールドも期待に違わず美しく、ミルタを演じたマリ=アニエス・ジローのルルベの移動は、まるで舞台上を滑っているかのよう。(終演後、楽屋口から出てきたジローさんは、一人一人にサインに応じる気さくさで、ミルタの冷たさとのギャップに驚いた)ヒラリオンのジョシュア・オファルトも元気いっぱい。
しかし、どこを見ても美男美女のバレエ団だなー・・・。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/01/8f/f2192fe0d548d9cb1b368aa7ecbdfa02.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/65/23/15e3bc5919edf6a5663cfdf7b4a37d72.jpg)
さて、この日の着物は、桜解禁ということで、桜の木を描いた小紋。帯は、昨年「呉盟会」で図らずも購入してしまった黒の塩瀬の蝶柄の帯。(この帯が、新しさのためか締めにくくてあやうく遅刻しそうだった!)黒にドット刺繍の羽織をはおって。この羽織、バレエやコンサートでは定番なのだ。それは裏地に秘密がある。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5f/10/c100bb8cb0bd0e3695ef179acb39ac1b.jpg)
携帯写真でわかりにくいかもしれないけど、ピアノやバイオリンがちらされている柄の羽裏なのだ。京都旅行で立ち寄った「紫織庵」で反物だけ購入し、あとから着尺を買って羽織に仕立てたもの。こんな羽織でコンサートに出かけたいとおもって仕立てたので、じゃんじゃん活用している。
しかし、バレエファンと着物ファンは、かなり重複があるのか、先週も今週も、客席に着物姿の多かったこと!ただ、バレエ観劇の着物におけるドレスコードは、歌舞伎ほど決まったものがないらしく、カジュアルな紬から訪問着まで、かなりバリエーションに富んでいた。今年は海外の有名バレエ団の来日ラッシュなので、着物姿を見るのも楽しみ~!
◆3月20日昼の部 主な配役◆
ジゼル:アニエス・ルテステュ
アルブレヒト:ジョゼ・マルティネス
ヒラリオン:ジョシュア・オファルト
ウィルフリード:ジャン=クリストフ・ゲリ
ベルタ、ジゼルの母:ヴィヴィアン・デクチュール
クールランド大公:ヤン・サイズ
バチルド姫:ベアトリス・マルテル
ペザント・パ・ド・ドゥ:メラニー・ユレル、エマニュエル・ティボー
ミルタ:マリ=アニエス・ジロー
ドゥ・ウィリ:マリ=ソレーヌ・ブレ、サラ=コーラ・ダヤノヴァ
演奏:東京フィルハーモニー交響楽団
指揮:コーエン・ケッセル
「紫織庵」の羽裏素敵ですね~。見えないところが凝ってるっていいよなぁ。呉盟会の帯、お太鼓部分見たいっす!
なんだか素敵な本をお持ちだったんですねー。私の場合は小学校時代、「小学○年生」での少女向けの連載だったバレエ漫画がバレエの初体験でした。主人公がバレエを習っていて、くわえて必ず母親と生き別れになって探すとか、継母にいじめられるとか、母子ものとセットになっている話。
TVでは「赤い靴」なんていう実写バレエ物語もありました。
そんな環境で、すっかりバレエ嗜好を刷り込まれていたようで、大人になってから急に目覚めてしまいました。よかったら今度ぜひご一緒に(^^)。
<なつかしの小学校時代のバレエ漫画たち>↓
http://www.toshonoie.net/shojo/01_ballet/sakka/sh01_tani_yukiko.html
中学生の時に週マで連載されていた有吉京子の「SWAN-白鳥-」は大人になってから全巻買い直したんで、今も時々トイレなどで読んでます。
「白鳥」は、いまや一つの世界観になりつつありますね。真純(?)の娘、まいあが主人公の続編や「白鳥」という雑誌が出たりしてますもんね。
私は、どちらかというと山岸涼子派なので、「アラベスク」を大人買いしました。いま連載中の「舞姫ーテレプシコーラ」も買ってます。
「赤い靴」、また見たいなー。
桜の枝のお着物も、人とは一味もふた味も違いステキですね。大人の桜だわ~。
バレエ、私も詳しくないのですが、一番上のお写真を見ただけで、とても優雅な気分になれます。いいですね~。
羽織、着ているときはなかなか裏には気づいてもらえず、たまらずブログでアピールしちゃいました!
おや?
コメントいただいた形跡が確認できませんでした。お手数ですが、よかったらもう一度コメントくださいませ
バレリーナのあの細さは驚嘆しますよね。でも近くで見ると筋肉ばりばり。ただ筋肉を太くしないで鍛えてあのスタイルを維持しているようです。