「谷中安規 モダンとデカダン」

　谷中安規　モダンとデカダン　瀬尾典明・山田俊幸・辺見海　編
　　　　　　　　　　　　　　国書刊行会　定価４５００円＋税

　谷中安規（たになかやすのり）の画集って今まで出てなかった。探してたんですが見つからなかった。そしてついに出た。それがこの本です。新聞の広告で見つけたときには大喜び。すぐに駅前の本屋で取寄せてもらった。私が谷中安規を知ったのは「美の巨人たち」です。一目惚れで、それ以来ずっと画集を探していた。
　しかしその喜びもつかの間、実は去年の１０月に町田市立国際版画美術館で何と谷中安規展をやっていたらしい。私は全く知らなかった、不覚。しかも同時期に、これまた私の好きなマックス・クリンガーの「銅版画」も展示していた。こちらも大好きで、一度本物を見たかった、不覚。まさに断腸の思い。悔しくて悔しくて仕方なかったのを思い出す。悔やんでも悔やみきれない。ちなみに、この展覧会の図録はあっという間に完売したという。当然だろう。売れるのわかってるくせに、何で大量に刷らないのだろう。開催期間中に売れ残っても、黙って置いておくだけで勝手に売れていくのに（私も欲しい）。
　この谷中安規展の翌年、つまり今年の春に「谷中安則　モダンとデカダン」は出版された。今現在入手できる唯一の谷中安則の画集になる。谷中安則は棟方志功と並び称される巨匠。対照的な２人なのでよく比較される。皆さんはどちらが好きですか。私は断然谷中です（もちろん棟方もいいんですが、どっちか選べと言えば迷わず谷中安則です）。
　貴重な画集です。ファンなら当然買いです。ファンならぜひ買いましょう。