アトリエ 籠れ美

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平成27(2015)年5月4日より

トラ・トラ・トラ!(映画)

2015-08-22 20:39:10 | 昔のアニメ、ゲーム、実写、音楽、本、雑誌
 第二次世界大戦DVDコレクション
        vol.1「トラ・トラ・トラ!」1970年9月25日公開

 時代劇同様、戦争映画も考証をちゃんとやっているかどうか疑わしいと思っていたが、このDVDコレクション附属の冊子にこう書いてある。

「それまでの戦争映画の多くでは、本来の兵器に似たような外観(実際にはあまり似ていないことのほうが多いが)の航空機や戦車に『それっぽい塗装』を施してごまかした『代役』が多かった」

 やっぱり、である。そうだろうと思った。ちゃんとやらないのである。考証のしっかりしている時代劇は戦前のものに限られるそうだし、あの評判の、ジェレミー・ブレッド主演の「シャーロック・ホームズ」にしても、本来なら当時のロンドンは馬糞だらけだったはずである。ロンドン留学した夏目漱石が日記に、ロンドンは馬糞だらけで不衛生だと記している。だが実際に制作されたドラマではどうだっただろうか。
 何もかも完璧に再現しろ、などとは言わない。全てはわからないのだからそんなことは不可能だとわかっている。だからせめてわかっている部分は正確に再現してほしいと思うのだ。わかっている部分だけでも正確に再現したら、相当の臨場感、迫力が出るはずである。そんな映像を見てみたいと思う。
 さて本題。この「トラ・トラ・トラ!」は考証が完璧なのである。大変珍しいし、貴重である。しかも日米双方が公平に描かれており、偏りがない。なぜこのようなことが起きたのか。おそらく、この映画を「真珠湾攻撃という歴史的事件の記録フィルム」として作ろうという明確な指針が制作者側にあったのではなかろうか。そうでないとこういう結果を生まないと思う。非常に志の高い映画だと言える。
 この映画の製作費は今のお金に換算すると約90億円だそうである。現在のハリウッド大作映画並みである。やはり映画はお金をかけないといけない。附属冊子の13ページに掲載されている写真、戦艦長門の実物大セットは圧巻である。
 主役の零戦は最後に大活躍するが、それまでは海上での爆撃訓練など、ちらっちらっとしか映らない。これも映画の王道。非常によくできた作品である。加えて日本側の俳優陣も素晴らしい演技を見せてくれる。第二次大戦に限らず、あらゆる戦争映画の中で最高峰に位置する作品、それがこの「トラ・トラ・トラ!」だ。


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