半澤正司オープンバレエスタジオ

20歳の青年がヨーロッパでレストランで皿洗いをしながら、やがて自分はプロのバレエダンサーになりたい…!と夢を追うドラマ。

ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!)第29話

2017-09-19 09:20:18 | webブログ
谷町開設 祝 10周年 !!!! やった~っ!

皆さん、バレエ教師の半澤です!よっしゃ~っ、レッスンしましょう~っ!!
http://hanzanov.web.fc2.com/top.html (ホームページ)
http://hanzanov.web.fc2.com/index-J.html(オフィシャル ウエブサイト)
皆様、12月23日 天皇誕生日の祭日に私の発表会があります。
もし、良かったら出演してみませんか?バリエーションでも良いですし、
グランパドドゥでも良いですよ!もちろんコンテンポラリーでも
良いですし、オペラでも舞台で歌います?
どうぞ、どんどん出演してください。
私のメールアドレスです。
rudolf-hanzanov@zeus,eonet.ne.jp

連絡をお待ちしてますね!!

朝は11時から初中級レベルのレッスン、夕方5時20分から初級レベルの
レッスン、夜7時から中級レベルのレッスンがあります。
皆さま、お待ちしております!

Dream….but no more dream!
半澤オープンバレエスタジオは大人から始めた方でも、子供でも、どなたにでも
オープンなレッスンスタジオです。また、いずれヨーロッパやアメリカ、世界の
どこかでプロフェッショナルとして、踊りたい…と、夢をお持ちの方も私は、
応援させて戴きます!
また、大人の初心者の方も、まだした事がないんだけれども…と言う方も、大歓迎して
おりますので是非いらしてください。お待ち申し上げております。

スタジオ所在地は谷町4丁目の駅の6番出口を出たら、中央大通り沿いに坂を下り
、最初の信号を右折して直ぐに左折です。50メートル歩いたら右手にあります。

日曜日のバリエーションは考え中です。
ではクリスタル・ルームでお待ちしておりますね
連絡先rudolf-hanzanov@zeus.eonet.ne.jp

ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!)
第29話
ショージは全てのアンシェヌマンのジャンプを
した後、最後にピルエット(片足を折り曲げ
一本の足でクルクルと回る技術)は8回で締め括る
つもりだった。最後には先生のアンシェヌマンには
入っていなかったザンレール(空中で直立姿勢の
まま2回転回る事)というテクニックを急遽入れ
込んで片膝を床に着いてピタッと着地した。
その瞬間、稽古場にいたダンサーたちが
「うぉお~っ!!」と奇声の混じった怒涛の
ような歓声と拍手をショージに向かって投げた。
その反応にはショージの方が驚いてしまった。

レッスンを担当した怖そうな顔をしていたヴィヴィアン・
ローレイン先生までがこぼれる様な満面の笑みを
浮かべ、やはり両手を前に差し出して私の踊りに
拍手をしていた。ショージには一つの基本的精神が
ある。「人間を外見だけで判断してはいけない…」だ。
どんなに貧しそうな格好をしていても心気高い人が
おり、どんなに怖そうなモンスター並みの迫力満点と
言えるような人にも実は涙もろかったり、心優しい人
もいるからだ。この基本的精神はほとんど的中している。

教鞭をとった女性は確かに黙っていると怖そうなに
見えた先生だが後々に判ったのは実は非常に優しく、
また良く笑う気さくな先生だった。ヴィヴィアンは
ショージが憧れていた元ロイヤルバレエの輝くプリマ
バレリーナだったのだ。

鏡の前に座っているミス・アダン校長とテレンスの
2人が顔を見合わせて頷いた。テレンスが椅子から
立ち上がり突っ立っているショージの傍まで笑顔で
歩み寄った。そしてミス・アダンを見ながらこの
女性は校長先生だと紹介した。校長はショージに
人差し指を上に向けてチョコチョコ…とさせショージを
近くまで呼び寄せた。彼女は椅子から「どっこいしょっ!」
と立ち上がり、満面の笑顔で「あなたの入学を許可
します…」と静かに言った。

「あなたはお金を持っていないそうね?あなたは
海外留学生学費免除の特待生としての許可ですよ…」
と言ったのだ。その時の校長先生の優しさと慈悲に
溢れた目をショージは生涯忘れる
事がない。

一枚の証明書
「え、本当ですか!このままロンドンにいられるの
ですか!?や、やった…!!」稽古場の全員がとても
温かい笑顔で拍手をくれた。ロンドンに着いたばかりで
絶望感と恐怖に怯え、震えていたショージの心に
一筋の光が射した瞬間だった。その日の内に学校側が
ロンドン滞在に必要な全ての許可申請をした。校長が
秘書に学生ヴィザの申請のため直ちに行動せよと命令し、
もう一人の秘書に一通の書類を作成させた。そこには
学校印、校長の直筆のサインと共に

To Whom it may concern,
Shoji Hanzawa is a student of The Urdang Ballet Academy, Coventgarden.
As fulltime oversea scholarship student.

一枚のこの書類を校長がショージに手渡し、「もし
誰かにあなたの身分を聞かれたらこれを見せなさい。
あなたは私が保証します。」と言った。ショージは
この身分証明書ともなる紙を道で拾ったビニール袋に
入れて胸のポケットに大切にしまってボタンを掛けた。
ロンドン在住中、身体から離す事は一度たりとて
なかった。こうしてショージはロンドンに残って
バレエの勉強が出来る事になったのだ。
(つづく)

ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!)第28話

2017-09-18 08:42:55 | webブログ
谷町開設 祝 10周年 !!!! やった~っ!

皆さん、バレエ教師の半澤です!よっしゃ~っ、レッスンしましょう~っ!!
http://hanzanov.web.fc2.com/top.html (ホームページ)
http://hanzanov.web.fc2.com/index-J.html(オフィシャル ウエブサイト)
皆様、12月23日 天皇誕生日の祭日に私の発表会があります。
もし、良かったら出演してみませんか?バリエーションでも良いですし、
グランパドドゥでも良いですよ!もちろんコンテンポラリーでも
良いですし、オペラでも舞台で歌います?
どうぞ、どんどん出演してください。
私のメールアドレスです。
rudolf-hanzanov@zeus,eonet.ne.jp

連絡をお待ちしてますね!!

朝は11時から初中級レベルのレッスン、夕方5時20分から初級レベルの
レッスン、夜7時から中級レベルのレッスンがあります。
皆さま、お待ちしております!

Dream….but no more dream!
半澤オープンバレエスタジオは大人から始めた方でも、子供でも、どなたにでも
オープンなレッスンスタジオです。また、いずれヨーロッパやアメリカ、世界の
どこかでプロフェッショナルとして、踊りたい…と、夢をお持ちの方も私は、
応援させて戴きます!
また、大人の初心者の方も、まだした事がないんだけれども…と言う方も、大歓迎して
おりますので是非いらしてください。お待ち申し上げております。

スタジオ所在地は谷町4丁目の駅の6番出口を出たら、中央大通り沿いに坂を下り
、最初の信号を右折して直ぐに左折です。50メートル歩いたら右手にあります。

日曜日のバリエーションは考え中です。
ではクリスタル・ルームでお待ちしておりますね
連絡先rudolf-hanzanov@zeus.eonet.ne.jp

ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!)
第28話
教鞭を執る女性の先生は、背が高く怖そうな感じの
教師だった。テレンスもこの学校の責任者のような
相撲とりのようなミス・アダン校長も、稽古場の
真ん前の鏡の前で椅子に座ってショージのレッスン
態度や技術力を確認した。果たして海の向こうから
金も持たずにやって来た日本人の男は学校に入れる
だけの能力を持ち合わせているのかどうかを。

他にも幾人かの先生らしき人たちも鏡の前に加わり、
何やらショージを吟味するかのような目で見ている。
たくさんの外国人のダンサーたちが…いや、ショージが
外国人なのだが、やはりショージに注目しているのも
分る。その目は皆、「何だこのチンチクリンは?
何しに来たんだ?」と言うような白い目だった。
ショージはまるで自分が市場で競りに掛けられている
土まみれのごぼうのようなものであるような気になった。

背の高い女性教師がピアニストに向かって合図を
出した。ピアノが鳴り渡り、渡英以来、ショージに
とっての第一発目のレッスンが始まった。ショージは
そのレッスンを指導してくれている女性教師
ヴィヴィアンの素晴らしさに驚いた。それもそのはず
だった。彼女こそ世界のトップダンサーなのだからだ。

先生は元ロイヤルバレエのプリンシパル。これは
ショージが後に知った事だが、彼女は英国ロイヤル
バレエ団のトップであるプリンシパル(プリンシパル
とはバレエ団の中の最高ランクを意味する。下から
順に群舞のコールドバレエ、デミソリスト、ソリスト、
プリンシパルと言う順列である。)をしていたウルトラ
実力者のダンサーだったのだ。彼女の名前はヴィヴィアン・
ローレイン。

ルドルフ・ヌレエフ(ソ連から亡命して来た男性
ダンサー)と、アンソニー・ダウエル(イギリス人で
ロイヤルバレエ団のトップ男性ダンサー)。という
クラッシックバレエダンサーの中でも世界最高の
実力者である2人の男性ダンサーのパートナーを
していたのが、ショージの目の前で教鞭を執られて
いるこの女性なのだ。

レッスンを受けながら何も知らないショージは茫然と
その美しさに見惚れた。何と長くて美しい脚の
フォームか。そしてなんとエレガントな動きなのか。
彼女の瞳の澄み方を見て、「この人はただ者じゃない…!」
と身体から鳥肌が立つほどの感動を覚えた。「これが
見たかったんだ!」と嬉しさが込み上げた。

レッスンが進行し、意外に簡単な事ばかりなので驚いた。
ロンドンではもっと難しい事をするのだろう…とばかり
思っていたからだ。バレエレッスンも終盤を迎えると
鏡の前で椅子に座って見ていたミス・アダン校長が
ショージをグッと指差し、「ヴィヴィアン先生が
見せたヴァリエーション(一人だけで踊る事)の
ジャンプやアンシェヌマン(踊りのステップと
ステップを組み合わせたもの)を一人で踊りなさいっ!」
と言った。普通なら複数人で一緒にやる事なのだが。
その横でテリー先生もショージの動きを真剣に見ている。
ダンサーも先生たちもみんなシーンとしてしまった。
(つづく)

ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!)第27話

2017-09-17 09:18:09 | webブログ
谷町開設 祝 10周年 !!!! やった~っ!

皆さん、バレエ教師の半澤です!よっしゃ~っ、レッスンしましょう~っ!!
http://hanzanov.web.fc2.com/top.html (ホームページ)
http://hanzanov.web.fc2.com/index-J.html(オフィシャル ウエブサイト)
皆様、12月23日 天皇誕生日の祭日に私の発表会があります。
もし、良かったら出演してみませんか?バリエーションでも良いですし、
グランパドドゥでも良いですよ!もちろんコンテンポラリーでも
良いですし、オペラでも舞台で歌います?
どうぞ、どんどん出演してください。
私のメールアドレスです。
rudolf-hanzanov@zeus,eonet.ne.jp

連絡をお待ちしてますね!!

朝は11時から初中級レベルのレッスン、夕方5時20分から初級レベルの
レッスン、夜7時から中級レベルのレッスンがあります。
皆さま、お待ちしております!

Dream….but no more dream!
半澤オープンバレエスタジオは大人から始めた方でも、子供でも、どなたにでも
オープンなレッスンスタジオです。また、いずれヨーロッパやアメリカ、世界の
どこかでプロフェッショナルとして、踊りたい…と、夢をお持ちの方も私は、
応援させて戴きます!
また、大人の初心者の方も、まだした事がないんだけれども…と言う方も、大歓迎して
おりますので是非いらしてください。お待ち申し上げております。

スタジオ所在地は谷町4丁目の駅の6番出口を出たら、中央大通り沿いに坂を下り
、最初の信号を右折して直ぐに左折です。50メートル歩いたら右手にあります。

日曜日のバリエーションは考え中です。
ではクリスタル・ルームでお待ちしておりますね
連絡先rudolf-hanzanov@zeus.eonet.ne.jp

ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!)
テレンス先生との出会いとショージの希望
第27話
 ショージの人生を変えたこのイギリス人のバレエ教師と
知りあう切っ掛けになったのは教師テレンスが突然来日して、
ショージの恩師である小川亜矢子(元ロイヤルバレエ
ダンサー)のスタジオ(六本木)の訪れから始まった。
臨時の教師を務めたテレンスは小川に向かって「この
ダンサーたちを使って私の作品を是非日本でやって
みたい…!」との希望があったためであった。

小川は当時、六本木の「一番街」という巨大な総合
ダンススタジオの主宰者だった。そして小川はとても
エネルギッシュに「スタジオパフォーマンス」という
発表会をこの大きなスタジオで毎月行っていたのだ。
この特大のスタジオの壁面には巨大な観覧席が
埋め込まれてあり、引っ張りだせば楽に数百人が
収容出来るマジックスタジオになっている。

ショージはこのイギリスからやって来たテレンスに
大抜擢を受け、今は女優として大活躍している床島佳子
と二人で主役に選ばれたのだ。これにはさすがの
小川亜矢子も仰天して「あ、この子はまだ何にも
出来ない新米のダンサーです。どうにもならない
そこら辺の男ですよ!無理ですよっ!」でも、
テレンスは笑いながら「大丈夫!」ショージも
先輩たちを差し置いて大抜擢された事に驚愕した。
「まさか僕の後ろで先輩たちが群舞として踊るなんて…!」

おまけにバレエをほとんど始めたばかりのショージは
女性と一緒に組んで踊るアダージオは困難を極めた。
自分で踊る事さえも満足に出来ないのに、コンクールで
1位をとっている大バレリーナと踊るなど普通では
考えられない事なのだ。この振付をしたテレンスは一切、
何の文句も言わずに最初から最後までショージを
励ました。そしてイギリスに帰る前に「ショージ、
イギリスに来てみなさい。本場のバレエを見る事は
とても君のためになる…学費が無いのなら学校に交渉
してあげても良いから…」と言い残しイギリスに帰って
行った。

ロンドンのバレエ学校 オーディション!

テレンスの自宅で話を聞いたあと、行く先のない
ショージは取りあえずテレンスの自宅に厄介になった。
次の日にコヴェントガーデンにある「アダン・バレエ
アカデミー」と言うバレエ学校にテレンスに連れられて
行った。見た事も無いような、相撲とりのように大きな
体型の女性と、テレンスがヒソヒソと怪し気な会話を
した。実はこの驚くほど太った女性こそ、この「アダン・
バレエアカデミー」と言う名のバレエ学校の校長だった。
生徒たちは彼女をミス・アダンと呼んでいる。

テレンスが「ショージ、すぐに稽古着に着替えなさい!
今から直ぐにレッスンが始まる」ショージは言われる
ままに着替えた。そしてショージと同じような年齢層の
ダンサーたちがたくさんいる稽古場に付いて行った。
金髪の女子やジンジャーヘアーと呼ばれる生姜色の頭を
した男もいた。褐色の肌をした男のダンサーやら黒人の
ダンサー、中には「あれっ!?日本人か?」と間違える
ほど日本人にそっくりな中国人のダンサーもいる。
ショージは今まで日本人しかいないところでバレエの
レッスンをしていたのでこれには圧巻だった。
(つづく)

ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!)第26話

2017-09-16 09:12:14 | webブログ
谷町開設 祝 10周年 !!!! やった~っ!

皆さん、バレエ教師の半澤です!よっしゃ~っ、レッスンしましょう~っ!!
http://hanzanov.web.fc2.com/top.html (ホームページ)
http://hanzanov.web.fc2.com/index-J.html(オフィシャル ウエブサイト)
皆様、12月23日 天皇誕生日の祭日に私の発表会があります。
もし、良かったら出演してみませんか?バリエーションでも良いですし、
グランパドドゥでも良いですよ!もちろんコンテンポラリーでも
良いですし、オペラでも舞台で歌います?
どうぞ、どんどん出演してください。
私のメールアドレスです。
rudolf-hanzanov@zeus,eonet.ne.jp

連絡をお待ちしてますね!!

朝は11時から初中級レベルのレッスン、夕方5時20分から初級レベルの
レッスン、夜7時から中級レベルのレッスンがあります。
皆さま、お待ちしております!

Dream….but no more dream!
半澤オープンバレエスタジオは大人から始めた方でも、子供でも、どなたにでも
オープンなレッスンスタジオです。また、いずれヨーロッパやアメリカ、世界の
どこかでプロフェッショナルとして、踊りたい…と、夢をお持ちの方も私は、
応援させて戴きます!
また、大人の初心者の方も、まだした事がないんだけれども…と言う方も、大歓迎して
おりますので是非いらしてください。お待ち申し上げております。

スタジオ所在地は谷町4丁目の駅の6番出口を出たら、中央大通り沿いに坂を下り
、最初の信号を右折して直ぐに左折です。50メートル歩いたら右手にあります。

日曜日のバリエーションは考え中です。
ではクリスタル・ルームでお待ちしておりますね
連絡先rudolf-hanzanov@zeus.eonet.ne.jp

ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!)
招待してくれたロンドンの先生、ショージの絶望
第26話
結局ショージはタクシーの運転手に泣く泣く料金を
払うとその足で鉄道の駅を探した。ロンドンに向かって
電車で行き直したのだ。到着次第、ショージはロンドン
に招待してくれた元ロイヤルバレエの教師テレンスに
市内から電話をして会いたいと伝えた。

電話口では「テレンス先生!アイアム、ショージ!
ジャパニーズ!ドゥユ-リメンバー?アイ、カム、
ロンドン!」すると先生は「オ~、ショージ?
イエス、リメンバーユー!ロンドンに?いつ?」
ショージは英語がほとんど喋れないので、電話で
相手には見えないにもかかわらず身振り手振りで
話ながら「え?いつですって?今です!今、ロンドン
です!」

テレンスは「エ~ッ!?ロンドンに来ただと!?
」一体、ロンドンの何処にいると言うのだっ!?」
ショージは嬉しさのあまり大きな声で「コヴェント
ガーデンですっ!」と答えるとテレンスは「ま、
待っていろ!直ぐにそこに行くから地下鉄の駅前で
動かずに待っているんだぞっ!」と言って電話を
切った。

会いに来たテレンスは困惑した表情をした。まさか
ショージが本当に遥々日本からやって来るとは
思わなかったのだ。ショージはテレンスに「私は
ロイヤルバレエに本当に入れますか?」と聞くと
教師はその事には答えず、「とりあえず私の家に
来なさい…そして相談しよう…」と言った。
ショージには何の相談なのか見当がつかなかった。

やがてテレンスの家に着き、「ショージ、確かに
私は君に、君の才能だったらロイヤルバレエ学校に
入れると言った。だが、ロイヤルバレエ学校に入る
のには莫大な金がいるんだよ…持っているか?」
教師と彼の妻は真顔でじっとショージの顔を見つめ
ながら聞いた。ショージは「5万円くらいなら
大丈夫です!それ以上は持っていません…」と
答えた。テレンスが大きな溜息を吐いた。そして
テレンス夫妻は眉間に皺(しわ)を寄せて頭を横に
振ってショージの持ち合わせている金では到底
無理なのだと言った。

「ロイヤルバレエ学校に入るのには年間350万円
以上必要なのだ…」ショージはロイヤルバレエ学校
に入りたいがためにここロンドンまで来たのだ。
だが、それが駄目だと分かった今、帰りのチケットも
金も持っていない。ショージにあるのは「絶望」と
言う2文字のみであった。ショージは身体の震えが
止まらなかった…。だが、ここでテレンスが口に
した。「ま、心配するな!泣くのはもうよせ!お前を
ロイヤルバレエではないが、他のバレエ学校に入れる
ように考えるから私の力を信用しなさい!」
ショージは肩を震わせるほど泣いてボロボロと
零した涙と、顎まで垂れた鼻水を拭き、ようやく
泣き止んだ。
(つづく)

ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!)第25話

2017-09-15 09:02:34 | webブログ
谷町開設 祝 10周年 !!!! やった~っ!

皆さん、バレエ教師の半澤です!よっしゃ~っ、レッスンしましょう~っ!!
http://hanzanov.web.fc2.com/top.html (ホームページ)
http://hanzanov.web.fc2.com/index-J.html(オフィシャル ウエブサイト)
皆様、12月23日 天皇誕生日の祭日に私の発表会があります。
もし、良かったら出演してみませんか?バリエーションでも良いですし、
グランパドドゥでも良いですよ!もちろんコンテンポラリーでも
良いですし、オペラでも舞台で歌います?
どうぞ、どんどん出演してください。
私のメールアドレスです。
rudolf-hanzanov@zeus,eonet.ne.jp

連絡をお待ちしてますね!!

朝は11時から初中級レベルのレッスン、夕方5時20分から初級レベルの
レッスン、夜7時から中級レベルのレッスンがあります。
皆さま、お待ちしております!

Dream….but no more dream!
半澤オープンバレエスタジオは大人から始めた方でも、子供でも、どなたにでも
オープンなレッスンスタジオです。また、いずれヨーロッパやアメリカ、世界の
どこかでプロフェッショナルとして、踊りたい…と、夢をお持ちの方も私は、
応援させて戴きます!
また、大人の初心者の方も、まだした事がないんだけれども…と言う方も、大歓迎して
おりますので是非いらしてください。お待ち申し上げております。

スタジオ所在地は谷町4丁目の駅の6番出口を出たら、中央大通り沿いに坂を下り
、最初の信号を右折して直ぐに左折です。50メートル歩いたら右手にあります。

日曜日のバリエーションは考え中です。
ではクリスタル・ルームでお待ちしておりますね
連絡先rudolf-hanzanov@zeus.eonet.ne.jp

ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!)
眼鏡をかけた悪い男
第25話
ようやくゲートから出て来ると飛行機の中にいた
眼鏡をかけた日本人の中年男が直ぐに近寄って来た。
「随分長かったね、あれから3時間以上だよ!
ま、通過出来たんだからラッキーだよ。私は内心、
君が絶対に日本に送り帰らせるだろうと確信して
いたんだがね…ま、どうだ、どうせ私もロンドン
市内に行くから一緒にタクシーに乗せて行って
あげるよ!」

一緒にロンドンに行くことになった。ショージが
パスポート検査を終えてゲートを通過し、ロンドンの
地面を踏めるまで、その男は待っていてくれたのだ。
「僕の事を心配して待っていてくれたのか…本当に
親切な人だ!」とショージは嬉しくなった。が、
そこから2時間もタクシーに乗ってから、その
日本人の男は「僕はちょっとその辺りに用事が
あるから…じゃ!」と突然タクシーから降りて
消えて行った。

ショージはてっきりその男は戻って来るものだと
信じていた。しかし男は一向にタクシーには戻って
来る様子がない。不安になったショージはタクシーの
運転手に出来もしない英語で聞いてみた。

「さっきの男は戻って来る?」「知らん…」
「ここはロンドン市内?」答えは「ノ~!ここは
イギリスのど真ん中辺りの田舎さ!方向違いも
いいとこだ!空港から2時間掛けてロンドンとは
全く別の方向に走って来たんだ。さ、お金を払って
もらおう!4万円だ!」と明らかに怒っている
様子だ。ショージは「え~っ!?」と驚愕のあまり
その事実を飲みこめないまま大事な金を財布から
震えながら出した。

「だ、騙されてしまったのか…!?信じられない…!」
だが明らかなのは今この瞬間、金が一気にショージの
懐から消えて行く事実だった。あの眼鏡の男は
ショージからタクシー代をせしめる為に、手ぐすね
引いて待っていたのだ。飛行機の中でショージが
元ロイヤルバレエの先生からの招待状を持っている
事も男に言ってしまった。「だから、あのおやじは
必ず僕がゲートから出て来るのを確信していたんだ!
それにしても3時間も執拗に待つなんて…!ああ、
ロンドンに来るために必死で朝まで働いて貯めた
大事な金なのに…」泣くに泣けないほど悲しい
ショージだった。
(つづく)
 ここはショージも喜ぶ応援クリック!お願いします!!