ねずみ男というキャラは、ゲゲゲの鬼太郎の主要キャラではあるが、鬼太郎の味方とは限らない。
損得で動くキャラで、状況次第で鬼太郎の味方になることもあれば、敵につくこともある。
あくまで利害次第なのだ。
そのせいか。鬼太郎の仲間たちからは嫌われていたりする。例えば砂かけババアなど。
だが、肝心の鬼太郎は、なんだかんだでねずみ男をいつも許しているし、それなりに友達で居続けている。
普通ならもう友達関係ではいられないような事を鬼太郎にしたとしても、「ああいう奴がいないと、世の中つまらない」と言い、気づけは友達に戻っている。
いつ裏切るかわからない奴と友達付き合いは、普通できないものだ。
では通常時この2人は、互いをどう思っているのだろう。
そこに愛はあるんか?…ならぬ、そこに友情はあるんか?
実は、それがわかるシーンがある。鬼太郎シリーズには多数のエピソードがあるが、その中に、たまに。
では、例えばどの話の中に出てくるのかというと。
ずばり「吸血鬼エリート」の逸話の中に、そのシーンは出てくる。
この逸話の始まりの部分では、鬼太郎とねずみ男がそれまでの付き合いの中で、過去に食べ物を奢りあったことがあることがわかる会話がある。
だが、この日記で私が取り上げたいのは、その会話ではない。
その逸話の途中で、そのシーンは出てくる。
吸血鬼エリートは外国の妖怪で、日本の要人の血を吸うために日本に来た。彼は、誰の血を吸うか独自の吸血プランを持っていた。
利にさといねずみ男は、そんなエリートに雇われた。
エリートは計画通りに日本の要人の血を吸うことをねずみ男に話したら、日本には鬼太郎がいるから難しいということをねずみ男はエリートに伝えた。
そこでエリートは独自の音楽妖力で鬼太郎を捕えた。
鬼太郎はエリートの屋敷の1室の柱に縛りつけられ、身動きがとれなくなった。更にエリートは独自の溶解液で鬼太郎を溶かすつもりであることを、ねずみ男に告げた。
するとねずみ男は、自分がなんとか鬼太郎を味方になるように説得してみることをエリートに提案し、鬼太郎に説得をし始めた。
ねずみ男は、鬼太郎が溶かされないよう、助けたかったのだ。
だが、鬼太郎はねずみ男の説得を断固拒否。鬼太郎としては、悪い妖怪の味方になるつもりはなかった。
どうやらこれで鬼太郎が溶かされることは避けられなくなった。
ねずみ男「僕の友情がわからないのか」と言って鬼太郎にビンタをくらわす。
その時。
鬼太郎にビンタをしながら、ねずみ男の目から涙が…。鬼太郎のために。
ねずみ男なりに鬼太郎を助けようとしたのに。
日頃ねずみ男が涙を流すシーンなど、まずない。
それだけに余計に、このシーンは印象深かった。
考えてみれば、涙を流す流さないはともかく、あれこれ鬼太郎シリーズを読んでいると、なんだかんだでねずみ男が鬼太郎を助けるシーンは出てくる。
もちろん鬼太郎の敵の味方になることもある。
なのに気づけば2人は友達関係に戻っている。鬼太郎は、ねずみ男を許している。
それはねずみ男の根底には、それなりに友情があることが鬼太郎は分かっているからなのだろう。
今回取りあげた「吸血鬼エリート」は、鬼太郎とねずみ男の友情に関して描かれる場面は多く、鬼太郎がエリートの溶解液で溶かされた後には、溶けた液体を1滴残らずスポイトですくってカメ(ツボ)に入れ、さらに液体が腐らないように防腐剤まで入れている。
さらに目玉親父の指示によってねずみ男がエリートをやっつけた後には、鬼太郎を復活させるために、溶けた液体の鬼太郎を恐山の妖怪病院に持っていき、鬼太郎を復活させている。
まあ、ねずみ男の性格上、そちらの方が得策だと判断したのだろうが、なんにせよ鬼太郎を助けたのは確かではある。
特に溶かされてしまう鬼太郎のために涙を流した場面には、損得だけではない気持もあったと思う。
こんなシーンもあるから、読者も鬼太郎もねずみ男を嫌いになりきれないのだろう。
こんなシーンが描かれている「吸血鬼エリート」の話は鬼太郎ファンには印象深いのだ。
鬼太郎とねずみ男が、なんだかんだで友達でいられるには、ちゃんと理由がある。
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