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気ままな雑記帳です。話題はあれこれ&あっちこっち、空を飛びます。別ブログ「時代屋小歌(音楽編)(旅編)」も、よろしく。

オレンジ  by  アル・スチュワート (原題Once an orange, always an orange)

2015年07月29日 | 音楽全般

個人的に、アル・スチュワートというと、「イヤーオブザキャット」と「タイムパッセージ」という2枚のアルバムのイメージが強いのだが、「オレンジ」というアルバムに入ってた、この曲も忘れられない。

 

アルは基本的にシンガーソングライターだと思うのだが、この「オレンジ」という曲はインストである。この曲では、アルのギタリストとしての腕が堪能できる。

アルの歌声は、甘く、細めで、知的で繊細な感じなのだが、このインスト曲にも知的さと繊細さは感じるし、なおかつ独特の湿り気を帯びた、センチな郷愁も感じる。

 

特に序盤と終盤に奏でられる高音の旋律は、最初聴いた時からかなり印象的であった。

 

私はこの曲が入っている「オレンジ」というアルバムは、当時カセットで持っていた。

で、ウォークマンなどで学校の行き帰りによく聴いてたのだが、このアルバムの中でこの曲は、とりわけ印象的に感じられたものだった。

 

序盤と終盤の弦楽器の音色に、この楽器はいったい何だろう?と思った。

通常のギターとは思えない音色。かといってマンドリンでもなさそう。

もしかして、音色に加工してるのかな?

それとも、別の弦楽器?

高音域で、哀愁のメロディがキラキラ鳴っている。キラキラとはいっても、明るい感じではなく、物悲しい。

メロディ自体は、けっこう細かい。早いパッセージ。

そしてなにより、メロディアス。どこか、クラシックの素養も感じる。

 

ギターのバックにストリングスがかぶさるのだが、そのアンサンブルがクラシックの格調高さや品にも通じる感じだ。

アルバムに埋もれさせておくのが惜しい。とはいえ、シングルカットするようなタイプの曲でもない。

アルの素養や品の良さや、ギタリストとしての腕前、メロディメーカーとしての魅力が、ここには凝縮されているかのようだ。

 

「オレンジ」というアルバムは、アルのアルバムの中でも名作とされている作品。

その中でも、この曲はインストというせいもあるのかもしれないが、ちょっと異色にも思えた。

ウォークマンでこのアルバムを聴きながら移動してる時、この曲が流れると、ついつい入りこんでしまい、自分がいる世界から、一瞬にこの曲の持つ世界観の中にワープしてしまうような気がしたものだった。

 

この曲の序盤と終盤のメロディを普通のギターで弾いてみた時、このメロディを弾く場合の運指が当時の私には新鮮だった。

おかげで、この曲を聴いて以来、自分で曲を作る場合にも、その運指をメロディラインに取り入れて、メロディを作っていったこともしばしば。

今では自分の中のパターンの一つ・・というか、癖みたいな感じにもなっている。

 

そういう意味じゃ、かなりこの曲には影響を私は受けたことになる。

 

クラシックをベースにした、ヨーロッパ音楽の格調高さ、湿り気、そして陰りを帯びた旋律は、中々日本人のソングライターからは出てこないような曲にも思えた。

 

 

ちなみに、この曲の序盤と終盤の弦楽器の音色を聴くと、思い出したものがあった。

それは・・・十代の頃に使っていた、目覚まし時計のオルゴール音であった。

そのオルゴール音で奏でられていた曲がなんという曲であるかは知らなかったが、メロディだけは今も思い出せる。

「オレンジ」同様に、短調の曲で、センチさと郷愁を帯び、やや孤独感のある哀愁の旋律であった。

 

当時、友人と旅行などに行く時に朝早く起きる時などは、いつもそのオルゴール曲で私は起きていたものだった。

特に、朝4時に起きて、山手線の始発に間に合うように皆で駅に集合した時の、夜明け前の薄暗い町の景色などは特に記憶に残っている。

 

なので、アルの「オレンジ」の序盤と終盤の弦楽器の音は、どこかオルゴールめいても聴こえたりした。まあ、こんな妙な(?)受け取り方をしたのは私だけかもしれないし、トンチンカンな感じ方かもしれない。

 

ともあれ、そんな経験もあったので、アルの「オレンジ」を聴くと、起きたての午前4時の真っ暗な部屋や、友人と待ち合わせるために駅まで歩いた、夜明け前の街風景を私は思い出してしまうのであった。

 

アルは、この音色は、どういう効果を狙っていたのだろう。

私が感じた、オルゴールみたいな効果を考えていたりしたのだろうか。

 

 それは・・アル本人にしか分からない。

 

ただ、私はオルゴールの音は大好きで、昔PCの作曲ソフトで何曲もインスト曲を作った時、オルゴールの音色を導入した自作曲なんかもあったりした。

 

今にして思えば、きっと、その根底には、アルの「オレンジ」もあったのだろう。

 

アルは、この曲をライブで再現する時、どんな方法でこの曲を再現していたのかな。

そのへん、すごく興味がある。

 

アルは過去に2回来日公演をしているらしい。

残念なことに私はそのどちらにも行けていない。

もし、3回目の来日公演をしてくれるなら、今度こそ行きたいものだ。

できれば、あまり大きくない場所で、アットホームな雰囲気で、アルの姿が肉眼ではっきり見える環境で・・・身近に聴いてみたいし、観てみたい。

その時は「タイム・パッセージ」「イヤーオブザキャット」「ベルサイユ宮殿」「オンザボーダー」などの代表曲と共に、この「オレンジ」を聴かせてもらいたいものだ。

 

 

 http://www.youtube.com/watch?v=SR22J9j6Etc

 

 

 

 


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