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気ままな雑記帳です。話題はあれこれ&あっちこっち、空を飛びます。別ブログ「時代屋小歌(音楽編)(旅編)」も、よろしく。

ミスターボージャングル  ディランの隠れた名曲シリーズ6

2022年05月25日 | 音楽全般

 

Mr, Bojangles  by  Bob  dylan

 

 

不定期に更新している、このシリーズ。

ボブ・ディランの「グレイテストヒット」には決して収録されない「隠れた名曲」を取り上げる「ボブ・ディランの隠れた名曲シリーズ」。

ある意味、このブログの珍企画かもしれない。

このシリーズも、この曲でかれこれ6回目になる。

 

今回取り上げる曲「ミスターボージャングル」は、ディランのベストアルバムには、まず絶対に収録されることはないであろう。

なぜならこの曲はディランのオリジナル曲ではないからだ。

作者はジェリージェフウォーカー。カントリー系のミュージシャン。

ニッティ・グリティ・ダート・バンドというバンドが取り上げたことで、広く世に知られるようになった。

 

元々この曲はニッティのレパートリーとして代表的な曲であり、有名な曲であった。

この曲をカバーしてる人は実に多く、スタンダード的な曲のひとつ。

なのでディランが取り上げなくても広く知られており、元々有名な曲であった。

 

とはいえ私がこの曲を初めて知ったのは、ディランのカバーによって・・であった。

 

ディランのこのカバーバージョンが収録されたアルバムは「ディラン」というシンプルなタイトルのアルバムで、そのアルバムは収録曲は全曲カバーソングであった。

しかも、ディランはそのアルバム用に録音したのではなく、元々はその前の様々なレコーディングで録音されたものの、ディランの正式アルバムには収録されてこなかったアウトテイク音源を集めて、企画もの的に制作されたアルバムが「ディラン」であった。

しかもそのアルバムは、必ずしもディランの意思で制作されたものではなく、契約上の問題だったのか、レコード会社がディランのアウトテイクを集めて勝手に出したアルバムだった。

なのでこのアルバムの評価は、ディランのアルバムの中でも決して高くはなく、むしろ無視されがちなアルバムだ。

実際、ほどなくして廃盤になってしまったアルバムであった。

 

なので、このアルバムを聴いたことがない人は、けっこういるのではないかと思う。

 

私がこのアルバムを買った時、このアルバムに関する上記の情報はある程度把握した上で買ったので、買った時はさほど期待はしていなかったかもしれない。

 

でも。

聴いてみたら・・・これがいいのだ。

ディランの意図したアルバムではなかったのだろうが、実は私はこのアルバムはかなり気に入った。何度も聴き返した覚えがある。

影響も受けた。確実に。

 

ともかく、全体的に聴きやすかった。

収録曲、どれも気にいった。

ディランのボーカルが溌剌としており、しかもボーカリストとしての力量がこのアルバムではしっかり表現されていた。

ディランと言えば、ポピュラー音楽の中でもトップクラスのソングライター。

なので、ディランを語る場合、彼のオリジナル曲が取り上げられることが多い。

だがこのアルバムでのディランボーカルは、実に「聴かせて」くれていた。

ディランは時期によって声も音楽性も歌い方も変えてきてるが、このアルバムを聴いた時、私は改めてディランのボーカルも大好きであることを実感した覚えがある。しみじみと。

今考えると、こんな素敵な音源が当初は未公開のまま埋もれていたのが信じられないくらい。

まあ、後にブートレッグシリーズというものが正式に公開されるようになったので、この音源もどのみち後々には公開されることになったとは思うが。

 

このアルバムでは、民謡や、エルヴィスの曲などが取り上げられていたのだが、中でも私がこのアルバムの中で大好きだったのが、今回取り上げている「ミスターボージャングル」。

アルバムの解説でも書かれていたが、実に誠実な歌い方をしており、しかも熱唱だ。

歌いあげている・・・という表現がしっくりくる。それも、ちゃんとディランなりの解釈や表現で。

私にとっては、感動のバージョン。

 

このアルバムで「ミスターボージャングル」が大好きになり、後にニッティの有名バージョンも聴いてみたし、他の人のバージョンもいくつか聴いてみた。

ニッティのバージョンはこの曲を世に広めたことに敬意を表して別格扱いとして、他のシンガーがカバーしてるバージョンを聴く時は、無意識のうちに私はディランバージョンと比較してしまっていた。

 

その結果、少なくても私にとっては、やはりディランのバージョンが一番好きだった。

それはこの曲を知ったきっかけがディランだったせいもあろう。

でも、それだけでもなかったと思う。

実に味わい深く歌っている。特に終盤のあたりなど、魂がこもった歌唱で、聴いてて涙がでてきそうだ。

 

ディランがレコーディングした曲は膨大な数が世に出ているが、この「ミスターボージャングル」のカバーは、ディランの全レパートリーの中でも上位にくる出来なのではないかと私は思っている。

 

ただ、ディランがこの歌をライブで歌っているのは私は見たこともないし、聴いたこともない。

ディランが歌う「ミスターボージャングル」は、唯一この「ディラン」というアルバムでのみ聴けるだけなのだ。

そういう意味でも、私は「ディラン」というアルバムはお気に入りだった。

LPではリアルタイムで購入したが、後にCDで復刻された時にはしっかりCDで買いなおしたほど。

 

多くのディランファンの中ではスルーされがちなアルバムかもしれないが、私にとってはまぎれもなく好盤であった。

 

ディランがシンガーとしての魅力を遺憾なく発揮した曲のひとつ、それがこの「ミスターボージャングル」。

 

決してベスト盤には収録されない音源だし、普段あまり世間では取り上げられない音源だからこそ、私は自分のこのブログで取りあげておきたかった。

 

そう、文字通り「決してベスト盤には収録されない、ディランの隠れた名曲シリーズ」の1曲として。

あ、今回の場合はディランの自作曲じゃないので、厳密には「ディランの名唱」ということになるけど、「隠れた名曲シリーズ」の企画盤じゃないと、こういう曲は中々取り上げられないと思うので、やはりこのカテゴリーに。

 

ディランの、心がこもった誠実なボーカルが味わえる、この音源。ぜひ一度聴いてみてほしい。

曲が良いのはもちろんのこと、ディランのボーカルも、バックコーラスも、鍵盤サウンドも私にとっては実に味わい深い。

ついでに言えば、この曲でのアコギの音も良い。

 

結局言いたいことは、ただ一言。

このディランバージョンが大好き。

 

こちら ↓

Bob Dylan - Mr. Bojangles (Official Audio)

 

 


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