幼い頃に身のまわりにあった本などに掲載されていた自然風景で、幼心に深く刻まれた印象深い自然風景の場所は、いくつもあった。
それらの自然風景の場所は、「いつか行ってみたい」と思い、その後大人になってから実際に行ったりした。
では、私にとって一番最初にそういう思いにさせられた場所はどこだったのだろう。
幼い頃に、私の心にインプットされた場所は・・・
・瀞八丁(夏休みの日記帳の表紙にあった)
・上高地(写真集)
・尻屋(これも夏休みの日記帳の表紙にあった)
・尾瀬(音楽の時間に習った歌・「夏の思い出」に駆り立てられた)
・金田一温泉(小学館の学習月刊誌に記事があった)
・北海道全般(写真集)
・屋久島(カレンダーにあった)
・アサバスカの滝(何かの本で見て、その景色に惹かれ、夏休みの図工の宿題で絵を描く時に、この滝の写真を見ながら絵にした覚えがある)
・・・他にもあったと思うが、すぐに思いだせる場所名をあげてみた。
地名を思い出せなかったり、分からずじまいだった場所を含めれば、もちろんももっとある。
子供時代に頭にインプットされ、「いつか行ってみたい」と思ってた場所だったので、実際に現地に到着した時は、どれも感慨深いものがあった。
なので、どれも忘れられない。
アサバスカの滝などは、写真に写っていた風景は覚えてるものの、その名前も場所も覚えてなかったのだが、ある時カナダに行った時、偶然その場所に立ち寄っていたのだった。現地に立った時、その景色と自分の縁を強く感じたものだった。まるで、その風景の不思議な力で自分は引き寄せられたような気がした。
まあ、ともあれこうして、幼い頃に自分の頭の中には様々な場所の風景が刻み込まれたのだが、最近ふと思ったことが、前述の通り「一番最初に頭に刻み込まれた風景は、どれだったのだろう」ということだ。
どうも特定できない。
「いつか行きたい」と少年時代の私に思わせた風景の、きっかけや出発点になった風景が、きっとあるとは思うのだが・・。
自分の記憶の中では、上高地か、瀞八丁か、尻屋あたりが有力なのだが・・。
でも、きっと、思いだせる限りの「少年時代に頭に刻み込まれた風景」のどれもが、初恋の旅先ということなのだろうな・・・とも最近思い始めている。
そうなると、初恋の旅先は私にはいくつもあったことになる。
こと、風景に関しては、私は気の多い奴だったのだろう。
やっかいなことに、これら「初恋の旅先」の中には、絵本や、テレビCMや演劇などの背景のセットや、組み立て付録に描かれた架空の風景も含まれている。
組み立て付録に描かれた風景・・とは、厳密にいうと、「家」の組み立て付録であり、そこには実際には背景がついていたわけではない。むしろ、その「組み立て付録の家」のある場所を私が勝手に妄想し、その場所にある妄想の自然風景がそうであった。
その「組み立て付録の家」は私のイメージの中では、どこかの郊外に建っており、近くには森などもあり、遠方に山が見えている・・・そんな感じだった。
で、そのイメージの中に出てきた自然風景も、私の「初恋の旅先」の一つであった。
絵本に描かれた背景、演劇舞台の背景に描かれた背景、スタジオセット内で撮られたCMなどの背景、漫画などに出てきた架空の風景、そして、私自身が描いた自作漫画の各コマに描かれた自然風景の背景・・・などなど、さまざまな自然風景も含まれる。
そう考えると、初恋の旅先は色んな種類の風景が頭にストックされたことになる。
そして、それらが私の妄想や空想でふくらんでいったのだ。
それが、大人になって旅行好きになった私のベーシックになっているのかもしれない。
幼年時代での体験や出来事や出会いは、その後の人間形成に大きく影響する・・・・それを今更のように実感する。
どんな出会いであれ、それが印象深いものであればあるほど。
また、何かを印象深く感じる・・ということは、その人の感性や感受性を育てることにもなると思う。
それによって、想像力が駆り立てられたりもするから。
もっとも、私の場合、想像力というより、妄想力が駆り立てられた・・と言う気がしないでもない(笑)。
さて・・
貴方の「初恋の旅先」は?