徳澤を後にして、更に奥に向かう。
散策路は横尾に続くのだ。明神から先は上高地ではなく、奥上高地と呼ばれるが、このへんまで来ると、だいぶ奥に入ってきてるな・・と実感し始める。
徳澤を離れ、少し歩くと、途中に新村橋という名前のつり橋がある。
河童橋や明神橋に比べると、人もいなく、休憩場もなく、ちょっと地味な感じ。
ひっそりと架けられている橋・・・そんな感じがする。
私が昔買った古い上高地写真集に写っていた新村橋と、今の新村橋とは若干印象が異なる。
これもまた時の経過によるものか。
その古い写真集と同じアングルで撮ろうとしたのだが、どうも・・・何かが違うような・・。
まあ、私の写真技術のつたなさもあるが、それだけでもないような気もする。
橋が、架け替えられて変わったのかな。
人っけのない新村橋を進み、橋の途中から上流方面と下流方面を見てみた。
上流方面を見てみると・・・なにやら、見覚えがあるような風景。
見覚えのある風景・・・・それは、私が昔買った古い上高地写真集に出てきた、ある写真に近い風景。
そうか、あの写真は、きっとこのへんで、こういうアングルで撮った写真風景だったんだな・・と思う。
「ここらへんから見た風景だったんだ」・・と思わずつぶやく。
ついでなので、橋から下流方面も見てみた。
・・・やはり、美しい・・・。
自分がけっこう奥まで来ていることを実感する。
さて、新村橋を引き返し、元の散策路に戻る。一路、横尾を目指して。
道は細かくクネクネと進む。
小さな登り下りは多少あるものの、全体的には平坦である。日陰と日向を繰り返しながら。
森が途切れ、あたりが開ける場所もある。
開けてみれば、絶景が待っていたりする。
上高地、奥上高地は、本当に素晴らしい。これだから、歩くのをやめられない。
昔買った上高地の写真集にもあったような風景が現れ、「あの写真は、このへんだったんだな」などと思いながら、その開け方に目を細めてみれば、空が青い。山は雄大に続き、川はどこまでも美しい。
そして
やがて屏風岩が見えてくれば、横尾はもうすぐだ。