日本人メジャーリーガーの明暗

野茂選手のメジャーでの成功以後、多数の日本人野球選手がアメリカに渡りメジャーリーガーを目指すようになった。

野茂さん、イチローさん、ゴジラ松井さん、黒田さん、マー君、ダルビッシュさん、大谷さんなど、向こうでも大活躍した選手のインパクトが強いため、それは多くの日本人野球選手やファンに希望や勇気を与えてきている。

ちなみに、ＭＬBフアンが選ぶ、メジャーで活躍した歴代日本人選手ベストテンみたいなアンケートがアメリカであったようで、それによると以下の日本人選手が選出されていた。

順位は、度外視して名前だけあげてみる。あくまでも2024年現在の段階での評価である。

 

◯イチロー

◯大谷翔平

◯野茂英雄

◯松井秀喜

◯ダルビッシュ有

◯上原浩治

◯田中将大

◯黒田博樹

◯佐々木主浩

◯岩隈久志

もちろん今後入ってくる選手もいるかもしれない。

 

だが、その一方で、思うように活躍できなかった選手も多い。

いや、むしろ、活躍できた人は１部の選手だけであって、実際は活躍できなかった選手の方が多いくらいかもしれない。

メジャーに挑戦した日本人選手には敬意を払いたいので、ここであえて実名は出さないが。

思えば、メジャーでも活躍できた選手は、日本国内のプロ野球でも何年も図抜けたトップ選手だった人で、しかも使いべりしていない状態で渡米できた選手。

しかも、そんな点をクリアしている選手であっても、向こうで活躍できるとは限らない場合もある。

その選手がメジャーの野球スタイルに順応できるかどうかの課題もある。

日本の野球と、アメリカのベースボールは、同じスポーツでも、攻め方、ボールの質、スタジアムの環境、試合の進め方、普段の調整の仕方などは異なっていたりするみたいだし。

大活躍できた選手を見てると、日本国内でこれだけやれたし、あの選手があれくらいやれたのだから自分もやれるはずだと思うのは、ある程度理解できる。

でも、やはりメジャーリーグは、日本国内の野球とはレベルは違うのだ。

越えるのが難しい壁も、しっかり存在してるのは、素人でも見てればある程度はわかる。

なまじ、日本でもメジャーの試合を見る機会が増えてるから、なおさら。

 

夢を持つことは素敵なことだし、挑戦することはいいことだと思う。自分を試したいと思うのもわかる。

だが、本当に活躍できるのは、１部の選手だけ・・という現実も把握しておくのは必要だと思えてならない。

 

そのへん、音楽などにも似てると思う。デビューする人は多数いても、売れて、しかもその後もプロとして長く活躍していけるのは、１部の人だけだから。デビューすれば全員プロのミュージシャンとして長く活躍していけるというわけではないのだから・・。

実力だけではなく、運も作用するしね。実力があるのは、当たり前なんだし。

 

日本のブロ野球選手が、よりレベルの高いメジャーに挑戦したいと思う気持ちにはロマンもあると思うし、ファンとしても楽しみだし、チャレンジ精神はリスペクトしたい。活躍してくれたら、単純に嬉しいし、誇りにも思う。

メジャー挑戦は、決して安易な気持ちで挑戦してるわけではないと思う。

リスクも把握しているとは思う。

その一方で、活躍できない場合もあるわけで、そんな場合野球ファンとしては悲しい。

 

思えば、過去のプロ野球選手で、ピークの時にメジャーでやってみて欲しかった選手は多数いる。

古くは沢村栄治さん、金田正一さん、王貞治さん、長嶋茂雄さん、野村克也さん、江夏豊さん、江川卓さん、山田久志さん、村田兆治さん、落合博満さん、遠藤一彦さん、斎藤雅樹さん、その他多数。

それらの選手のことを思い出すと「あの選手、メジャーでやったたら、どれくらいやれたかなあ」「きっとメジャーでも活躍できただろうな」なんて思ったりする。

実際にはメジャーに行かなかったにしろ、ファンにそんなイフの空想をさせてしまうことも、その選手の価値だと思う。そう、たとえメジャーに行かなかったにしろ。

選手にとって一番大事なのは、向こうで活躍できることだが、それ以上に、出場機会を与えられるかとうかということ。

向こうはある程度チャンスは与えられても、それを活かせなかったり、或いは貰った高額の契約金や給料に見合わなかったりすると、容赦なくマイナーに落とされたり、戦力外通告を受けることになる。

なまじ契約金や給料が高かったりすると、要求される活躍度合いのハードルも高くなる。

そのためには、順応能力も必要になるのだろう。

 

だから、向こうに渡るのは、ある意味「賭け」でもあるとは思う。

それがうまくいかないと、せっかく日本国内で築き上げた名声や人気や評価を落としてしまうことになる。

残念なことだけど・・そのリスクも現実なのだろう。

 

そう思うと、前述の通り、結局メジャーには行かなかったけど、もし行ってたら活躍しただろうな・・とファンに空想させてしまう余地を残しておくこともまた、その選手の価値なのだと思えてならない。

 

なにも、メジャーに渡ることだけがその選手の価値というわけではないのだから。