ちょっと心が疲れた時。
なにか優しい音楽が聴きたい時。
かといって甘ったるいだけじゃ下心が見えそうだし、上っ面ぽくてイヤ。
そんな時は、ギルバート・オサリバンの歌がいい。染みるんだ。
ギルバート・オサリバン。
ちょっと古い言い方をすれば、シンガーソングライター。
70年代に大活躍した人。
一般にはなんといっても「アローン・アゲイン」が有名。
この1曲があまりに有名すぎて、へたすれば一発屋みたいに思ってる人もいるが、どっこいそうじゃない。
「アローン・アゲイン」に続いてシングルカットされた「クレア」は、「アローンアゲイン」に負けないくらいのとびきりの名曲。
彼のアルバムを聴いてもらえばわかるが、その他にも良い曲がたくさん。
アップテンポな曲もあるが、やはり彼の真骨頂は、バラード系にありだと思う。
彼が出て来た時、ポール・マッカートニーをはじめとする有名なミュージシャンに注目された。
やはりあの名曲「アローン・アゲイン」の、どこか郷愁めいたものを感じてしまう曲調や、そのポップセンスに魅了されたのだろう。
やすらぎを感じさせながらも確実で落ち着いたリズム。あのテンポを聴いただけでホッとさせられるものがある。
曲調は決して押し付けがましい自己主張があるわけでなく、さりげなく自然にメロディアスに流れていく。
また、そのセンチなメロディラインはとことん優しくもあり切なくもあり。
センスを感じさせるコード進行。オシャレでありながら郷愁を感じさせるサウンドアレンジ。
さりげなく転調し、浮遊感を演出しながら、まったく違和感のない流れ。
ソフトなその声は繊細で、人の内面に語りかけてくるような感じ。
一度聴いたら心のどこかにさりげなく残る。甘い声ではあるけど、根底に無垢なものや純粋なものを感じるので、その甘さがイヤミにならない。いやらしさがない。
ともかく申し分のない出来だった。
アローン・アゲインがヒットしてた頃、私はよくこの曲を口ずさんでいた。
で、おかしなもので、この曲のメロディを口ずさむ時って、なぜかいつも空を見上げてしまっていた。
で、青空に浮かぶ雲が漂ったり流れていったりするのを見つめながら口ずさんでいた。
ほぼ、必ず・・と言っていい。
あれはなぜだったのだろう。
空を見上げる時って、空を見上げながらも何かホワ~~ッと物思いにふけることがあるが、この曲にはそんな時に合うのかもしれない。
また、そうさせる何かがこの曲にはあるのかもしれない。何かの「力」がある。
「優しい力」というものが。
もしかしたら、そういうのが、この曲の魅力の秘密なのかもしれない。
この曲はその後時代を超えて愛され、繰り返し繰り返しCMやドラマの主題歌などに使われてきている。今も。
長らく私は彼の曲は数曲しかしらなかった。
でもある時、ベストアルバムやライブアルバムを聴き、良い曲の多さに驚いたものだ。
とにもかくにもメロディが良い。郷愁を感じさせ、キュートでセンチで切なく優しいメロディラインは健在。
もっと早く彼のベストアルバムを聴いておけばよかったと後悔した。
アローン・アゲインの頃の彼は、容姿もまた独特だった。
どこかチャップリンとバスター・キートン(←私が好きな役者です)を足して2で割ったような服装だった。
トーキー映画に出てきてもおかしくないようなその出で立ちは、ルックス的な彼のキャラクターづけに大いに一役買っていたように思う。
来日して、どこか小さめなハコでライブをやってくれないかなあ。
もしその時私が何かのせいでうちひしがれて、心が疲れていたら、彼のそのメロディラインに、ウルウルしてきてしまうだろう。
やっぱり、優しい音楽を聴きたい時は、とりあえずギルバート・オサリバンの楽曲を聴けば間違いないと思う。
私の作った曲で「空の少年」という曲があるのだが、ギルバート・オサリバンのような声の人に歌ってもらえたら最高だなあ・・とは、いつも思ってるんだ、実は(笑)。
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