時間の外  ~since 2006~

気ままな雑記帳です。話題はあれこれ&あっちこっち、空を飛びます。別ブログ「時代屋小歌(音楽編)(旅編)」も、よろしく。

殺虫剤ならぬ、殺虫罪

2022年11月19日 | 懐かしい系、あれこれ

 

小学校の頃のある日、私は家の裏庭でひとり遊びしてた。

すると、庭の隅の方に、クモの巣がかかっているのを見つけた。

当時私は普段クモがどんな生活を送っているのか・・・というか、その生態がよくわからなかった。

少しマジマジとクモの巣を見ていたが、一向にクモは動かない。

すると何気に視線を下に向けたら、地面をコオロギが歩いて(?)いるのに気付いた。

そこで・・私はそのコオロギを指で捕まえてみた。

今でこそ虫を触るのは嫌な私だが、子供の頃は案外平気で虫を指でつかんだりできてたのだ。

で、指で捕まえたコオロギを、私は単なる興味から、クモの巣に向かってポイと投げてみた。

すると、コオロギはしっかりクモの巣に引っ掛かった。

 

私は、クモの巣なんて糸だから、コオロギは簡単に抜け出せるだろうと思っていた。

 

ところが。コオロギはクモの巣に引っ掛かったまま、身動きとれないでいた。

必死にもがいているのがわかったが、抜け出せない。

 

意外に思った。糸がからまったぐらいで抜け出せなくなるものか?と思って。

 

すると、クモの巣の上のほうから、そのクモの巣の主であるクモがするすると降りてきた。

クモがするする歩けるのなら、コオロギもするする抜け出せてもよさそうなのだが、コオロギは身動きとれないでいた。

 

やがてコオロギの至近距離まで来たクモは、コオロギに向かって糸を噴射し始めた。

見る見るうちに、まるでミイラ男のように包帯まみれ・・・ならぬクモの糸まみれになっていくコオロギ。

やがてコオロギの体は、白いマユのようになった。

 

こうなるともう完全に身動きとれない。体をぐるぐる巻きに縛られているようなものだから。

この時点で私は罪悪感を感じ、そこで見るのをやめた。

 

その後の展開はいくら幼かった私にも予想はついたから。

ぐるぐる巻きに縛られたコオロギは、その後そのクモに食べられてしまったのだろう。

 

自分でまいた種でありながら、私はその結末までは見届けなかったのだ。無責任?

 

というか、その時私は・・・自分の興味から、殺人ならぬ殺虫を行ってしまったことを実感した。

知らないということは恐ろしいもので、「こうしたらどうなるか」を知りたかった、単なる興味だけのために。

 

虫に裁判所があったら、私は殺人罪ならぬ、殺虫剤ならぬ、殺虫罪を言い渡されたであろう。

 

 

よく考えてみれば、虫も人間も互いの関係において、日常的に罪は犯してるんだよね。

人間世界の法律を当てはめれば、そういうことになる。

 

人間の家の中をはいまわるゴキブリなんて、不法侵入罪だし。

ゴキブリを殺す人間は殺虫罪になるのであろうし。

だがそれは元々はゴキが人間の家の中に勝手に入ってきて、家の中をはいまわるからいけないのだ。

しかも、汚い体で下手したら食べ物の上をはったりする。

なので人間の私の立場としては、そんなゴキは殺されても当然だと思う。だまっておとなしく家から出て行くならともかく、あいつらは家の中の狭い場所や暗い場所に潜もうとする。

潜んだら、また出てくることだろう。

 

 

だが、前述のコオロギは、庭を歩いていただけだ。元々は。人間には何も悪さはしていない。

そんなコオロギを、私は興味本位にクモに食わせてしまったことになる。仮に殺虫罪まで行かなかったとしても、少なくても殺虫幇助罪にはなるだろう。

少なくてもコオロギの立場からしたらそうだ。

 

でも一方。クモの立場からしたら、食事をめぐんでくれた「いい人」になるだろう。

 

立場が違うだけで、罪人にもなれば、良い人にもなる。

 

さて、人間の立場から見たら、どうなのだろう。

 

この場合・・・やはりコオロギのほうがかわいそうだったと思う。

食べられて・・殺されてしまったわけだからね。

 

私が罪悪感を感じて、その場を見ていれらなくなったのは、コオロギに対して悪いことをしたという気持ちがあったからだったと思う。

 

とりあえず、その後は、何か虫を捕まえてクモの巣に投げ込むことは、もうしなくなった。

 

どうなるか、自分の目で見てよく分かったからだった。

 

 

小さな虫がクモの巣にひっかかると、あれほど動けなくなるものとは知らなかったのが、甘かった。

 

知らないということは、弱者を自分の意思とは関係なく簡単に殺してしまうことにつながることがある・・・ということは、あの一件で幼心に学んだ気はする。

 

あなたには、子供の頃にそんな記憶はないだろうか。

 

 

 

 

 


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2 コメント

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Unknown (キャプテンゼロ)
2022-11-19 21:21:24
蜘蛛が、自分の蜘蛛の巣に、かかった小さな昆虫を
糸でぐるぐる巻きにする光景は、ボクが小学生時代に
テレビの科学番組で見て、ちょっとショックだった記憶があります。
他にも、アリジゴクが、すり鉢状の巣の底で
蟻を捕食したり、トンボのヤゴが水中で
小魚を大きなあごで掴み食べていました。

その番組によると、蜘蛛の巣の同心円上の糸が
ネバネバしていて、獲物をくっつけ
放射状の糸はネバネバしておらず、この糸の上を
歩いて蜘蛛は獲物を捕らえるそうです。

だんぞうさんが、昆虫の法廷でコオロギの検察官に起訴されても、
判決は、悪意や計画性はなく、当時は未成年で改悛の情が顕著であるので
執行猶予がつくでしょう(笑)
返信する
Unknown (だんぞう)
2022-11-19 21:48:51
クモか獲物を糸でグルグル巻きにする光景を、私はこの目で生で見てしまったものだから、私もけっこうショックでした。

アリジゴクの生体はマジマジとは見たことはないです。というか、家の近くにはいなかったような。

キャプテンゼロさんはクモにお詳しいですね。
クモの巣の効果までは私は知りませんでした。
そういう構造になってるんですね。なるほど!

片方は食べる側で、片方が食べられる側だと、立場の違いで見方が変わりますね、本当に。

昆虫の法定の裁判官にとっては、人間はひたすら悪なんでしょうね。
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