「メロディの癖」というもの。

なんだかんだで、私は小学校の頃から曲を作ってきている。
けっこう長い間、趣味で曲を作ってきていることになる。
その「期間の長さ」が自分の作る曲の出来に反映されているかどうかは、さておき（笑）。

たまに、自分の古い作詞ノートを見てると、「ああ、こんな歌も作ったっけなあ」だの「この歌詞にはメロディがどうしてもつかなかったんだよなあ」だの「よくこんな歌詞を書いたもんだ」だの、色んな思いが頭をよぎる。

そんなことをしてると、忘れた曲を思い出す。
古い曲に関しては、あまりに時間がたちすぎているがために、第３者的な目で見れる。
すると、興味深いことに気付くことがある。

それは、メロディの癖である。自分の作るメロディの癖。

それは、どんな天才作曲家にもあるといってもいいだろう。
それこそ、モーツァルトにもあるし、ビートルズの面々にもあるくらいだ。


私の場合、その癖というやつは、時期時期によって異なる。
例えば、大学１年頃に作った楽曲には、当時の自分のメロディの癖があり、２０代後半ころに作った曲にはまたその頃なりのメロディの癖ってのがある。

時期時期によって、その癖は微妙に違う。
人からみたらたいした違いではないかもしれないが、自分にとっては大きい。

思う事は・・・

・あの時期は、こういう歌詞にはこういうメロディをつけてたのか。
・今ならこの歌詞には、もっと違うメロディをつけるかもしれない。
・あの頃は、メロディをこのような終わり方でまとめていたのか。
・あの頃は、このメロディは、こんな風に展開させていたのか。
・まったくひねりがないなあ。
・このメロディのまとめ方は、自作の別の曲のまとめ方と同じだなあ。

などなど、色々。
１つのメロディの断片パターンというのがあり、それが何曲かで無意識のうちに兼用されてる場合があり、いわゆるそれが「当時の自分の作るメロディの癖」である。

なぜ、こういう「その時期、その時期の癖」というのがあるのか。
ふと考えてみた。

それは・・・。


ある時期、お気に入りのメロディの断片が浮かぶ。
すると、その頃に作るいくつもの曲に、その断片・・というか「流れ」を無意識のうちに当てはめる。
で、何曲も作る。
すると、そのパターンが出尽くす。または、飽きてくる。
するとしばらく曲作りにブランクが生じる。
それを「スランプ」という言葉で表現する人もいよう。

で、またしばらくすると、また新たな「お気に入りの断片」を見つける。
すると、その新たな断片でいくつもの曲を作る。
もちろん、各曲によって、その断片の発展のさせかたは異なる。

で、何曲も作った中から、自分の中で残っていく曲と、埋もれてゆく曲とに別れてゆく。


こんな繰り返しが「癖」の原因ではないだろうか・・・と、今思う。



最近、昔作った「虹」という曲を家で何気に歌っていた時のこと。
カミさんが、それ誰の曲？と聞いてきた。

この曲はフルでは久しく歌ってなかった。でも、この曲を作った十代当時では、自分ではお気に入りの曲だった。
カセットテープの多重録音で、アコギを３～４回、ハモリを２回（３回？）、そして縦笛を３回重ねて音源を作った。その音源は、私のHP「時代屋小歌」の中のコンテンツ「私のこしらえた歌」の中に今も載せてある。十代の頃の音源であるし、カセットテープに多重録音したものゆえ、音質が悪いのはご容赦を。

出来上がったその音源のムードは、どうしてもライブでは再現できそうもなかったので、いつの間にか自分の中で埋もれてしまっていた。

だが、この曲のメロディの流れは、当時私の中で「癖」の大元になった曲。
この曲が出来上がってしばらくは、この曲のメロディの断片が、当時作った他の曲でも似たような感じで出て来たりした。

まあ、話を元に戻そう。
カミさんが「それ、誰の曲？聴いたことないね」
と言うので、「十代の頃に自分が作った曲だよ」と答えた私。

すると「今と全然作風が違うね」という。

私以外の別の人が作った曲に思えたらしい。
作る時期が違うと、やっぱり作風には違いがあるんだな・・ということをあらためて感じた。
その「違い」に自分で気付いていようが、いまいが。


ともあれ、「虹」の感想を聞きたいと思い、
「気になる・・ってことは、この曲、相当良いってことかい？」と私が聞くと、

「まあまあかな。でも、嫌いではない」との答が返ってきた。


・・・・てっきり「良い曲ね」と言ってくれるのかと期待した私であったが、その期待はあっという間に崩れ落ちた（泣）。


♪本当のことは　今は言わない
　自分で気付いてほしいから～