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気ままな雑記帳です。話題はあれこれ&あっちこっち、空を飛びます。別ブログ「時代屋小歌(音楽編)(旅編)」も、よろしく。

ミュージックライフ という月刊誌

2008年08月23日 | 音楽全般

 かつて洋楽ロックファンにとっては必須とも思えた月刊誌、その名は「ミュージックライフ」。
シンコーミュージックという会社から発行されていた。
長きに渡り一時代を築き続け、ロック界に果たした功績は多大なものがあった。

私にとっても、この本はバイブルのような存在であった。
当時はまだプロモ映像などという贅沢なものは一般的じゃなかった。
でも、海外のミュージシャンの情報は知りたい。
そんなロックファンに応えてくれたのが、この月刊誌だった。

私は中学から高校にかけて、この月刊誌を愛読し続けた。

クイーンというバンドは、日本で最初にブレイクしたのはよく知られている。
で、その世論を作ったきっかけは、この本じゃなかっただろうか。
相当クイーンをプッシュしていた。同時に、キッス、バッドカンパニー、エアロスミス、チープトリックなども、この月刊誌のおかげで知名度が大幅アップしたような印象がある。
この本でプッシュを受けた洋楽ミュージシャンは、次々と市民権を獲得し、日本のファンの間に浸透していったものだ。
その意味では、洋楽ミュージシャンにとっても、日本で人気を獲得しようと思うなら、この月刊誌はかなり重要な存在だったことだろう。

この月刊誌には、毎年、部門別の人気投票企画があった。
部門は・・グループ部門、男性ボーカリスト部門、女性ボーカリスト部門、ギタリスト部門、ベーシスト部門、ドラマー部門、キーボード奏者部門・・などなど多岐にわたった。

第2期ディープパープルを支え,その後脱退し、しばらくくすぶってたイアン・ギランが、この人気投票のボーカル部門で根強く人気を集めてるのを知った時、相当喜んでたようなのが印象的だった。何度も何度も誌面を見ていたようだったし。
アーティストへの励まし・・という意味を含めれば、この人気投票は日本での人気のバロメーターでもあり、それなりに権威もあった・・ということになりはしまいか。

誌面は、ミュージシャンの写真、インタビュー、紹介、最新情報、新譜レビュー、イベントレポート、などで構成されていた。付録でポスターがつくこともあったと思う。

ともかく、日本で成功したいと思う洋楽ミュージシャンは、この月刊誌は商売的に無視できない存在だったのは間違いない。

そんな、大活躍をした月刊誌だったが、90年代後半に休刊ってことになってしまった。

J-ポップの台頭が目立ち、ファンが以前の世代ほどには洋楽を聴かなくなったから・・というのもあるだろうし、洋楽でビートルズ、ストーンズ、ツェッペリン、イーグルス、クイーン、キッスといったクラスのスーパースターが出にくくなったからというのもあるかもしれない。

休刊になるちょっと前の時期に、本屋でこのミュージックライフを懐かしげに立ち読みしたことが私にはある。
「懐かしいな・・。今、洋楽はどうなってるんだろう」と思い、見始めた。
なにやら、卒業した学校を久々に訪れるような気分だった。

そうしたら・・・いつのまにか誌面はJ-ポップが中心になっていたではないか!
「あれれ?なんか、様子がヘンだぞ」
と、ビックリすると同時に、日本での洋楽人気の地盤沈下ぶりに落胆した覚えがある。
J-ポップ中心の誌面を観て、愕然とし、ガッカリした。寂しかった。
「これは、私の愛したミュージックライフではない」とも思った。

まあ、それは裏を返せば、J-ポップがそれだけレベルアップし、日本の若い音楽ファンの間では、もう洋楽を必要としなくなった・・ということになるのかもしれない。
また、編集側にとっては、若い読者たちのニーズに応えた姿勢だったのかもしれない。

でも・・邦楽を聴きながらも、洋楽にもドップリ浸かってた私としては、洋楽の地盤沈下ぶりが寂しくてしかたなかった。

で、その後・・ほどなくして、ミュージックライフは・・休刊ということになってしまったのだ。

やはり・・洋楽が元気で人気があってこそのミュージックライフだったのだろう。

洋楽の人気が沈むと共に、この本も運命を共にした感がある・・.
洋楽という名の船に、ミュージシャンと一緒に乗ってたこの月刊誌は、洋楽ミュージシャンと一緒になって船ごと海に沈んでいったかのようである。

寂しいことだ。
確かにJ-ポップの技術的なグレードは、平均的な洋楽ミュージシャンに見劣りしないくらいのレベルには達してるのかもしれない。
だが、発想やオリジナリティではまだ敵わない部分はあるはず。
その証拠に、日本からは全世界的なスターは未だに出て来ていない。
ビートルズ、ディラン、エルヴィス、ストーンズ、などなど。
J-ポップで大物と言われてるミュージシャンは、これまでの洋楽を手本にしてる場合は多い。
また、大物J-ポップミュージシャンの音楽的ルーツをたどっていくと、たいがい洋楽ミュージシャンにたどり着く。
洋楽のエッセンスを焼き直してるだけの場合もある・・というのが、正直な現状。

J-ポップばかりを聴き、洋楽を聴かなくなった若いファンには、ある特徴的なJ-ポップの楽曲が、そのJ-ポップミュージシャンのオリジナルだと勘違いしてる場合も多いだろう。
だが、実際には、洋楽ミュージシャンのある楽曲をもじってることが大半(全部とは言わないけど)。
少なくても、洋楽ミュージシャンの楽曲の影響を受けたり、ヒントを得たり、エッセンスをもらってるケースが大半なのは事実だと思う。

だから、J-ポップしか聴かなくて「井の中のカワズ」になってしまいかねない危険性のあるファンには、ぜひアンテナを広げて洋楽も聴いてほしい。
そうなっていけば、また洋楽は海面に浮上してくることだろう。
また、洋楽を知ることで、Jーポップ・・邦楽の良さや面白さやセンスに、新たに気づく点は多いはず。
洋楽を聴くことで、J-ポップの、ある楽曲やミュージシャンをより深く知り、より理解できるようになることは確実にある。

で、洋楽が再びかつてのような地位を確立すれば、またミュージックライフのような雑誌の出番がくるはず。

だから、それまで・・・今は、おやすみ、ミュージックライフ。

君の果たした功績は、私はいつまでも忘れないから。
きっとまた出番は来るさ。いつか、きっと。


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