蟷螂は人を待たせることが大嫌い。
10分前には現地到着、万万が一遅れる場合には必ず電話を入れています。
若い頃、時間にルーズなヤツがいました。
卒論の代筆をしたヤツで、親父さんは頑固一徹でしたが、お袋さんは優しそうな人でした。
その両親があっけなく一気に亡くなったのはヤツが30歳にならない頃。
一応、借地ですが土地持ちでした。
そうなると悪い仲間が寄ってきます。
いちばん最初に近づいた仲間が、池袋のアパートの話を持ち掛けました。
『いま、満室だから、濡れ手に粟だよ』
二つ返事でヤツがOKをして、借地を担保にしてアパートのオーナーに。
蟷螂は怪しいと思い、その悪い仲間に忠告しました。
『仲間を騙しちゃいけないぜ』
するとその悪い仲間は、
『いいのかい、蟷螂ちゃん。うちには小指が無い奴や顔に刀傷があるやつがゴロゴロしているんだぜ。余計なこと、言うなよ』
と言いました。
本人も、
『ヤツに騙されるなら、本望だよ』
と言ったので、その後放置していましたが…
満室のはずの住人はすべてサクラ。
車で案内されたので、駅からもかなり遠く、入居者が期待できません。
直ぐに資金がショートして、自己破産。
かなりの額の借金を背負って夜逃げして、3畳一間のタコ部屋暮らし。
友人と家財を運んで行ってやったらそこの家主が、
『うちの家賃が払えなくなったら、人間やめた方がいいね』
といいました。
家賃は40年前で3000円/月でした。
時間にルーズということは、金銭にもルーズということです。
『時は金なり』
蟷螂家夫妻は完全主義の長男長女。
身を削っても約束は守ります。
今日、同居人の相続の件でZoom予約をしました。
コチラは頭髪も整えてスタンバイOK、じっとメールを待っていました。
あちらのアドレスがわからない以上、コチラからオファーをかけることができません。
待って待って待って待ちくたびれたお約束の時間1時間後にTEL。
『もう結構です』
時間にルーズな人間にろくな人はいません。
それが金銭を扱う仕事となればなおさらです。
それがピッチからのTELなど論外です。
約束を特段の理由なくすっぽかす。
危うく血管が切れそうになりました。
それにしても借地の相続は面倒です。
心にひとつ刻み込んだのは、土地は人に貸すものではないということです。
台東区の土地でも2~3万。
地主は固定資産税も払うし…
バカバカしくてやってられないでしょう。