国鉄があった時代blog版 鉄道ジャーナリスト加藤好啓

 国鉄当時を知る方に是非思い出話など教えていただければと思っています。
 国会審議議事録を掲載中です。

昭和33年10月7日 第30回国会 衆議院 社会労働委員会 第3号から抜粋 第14話

2024-09-14 13:20:39 | 国鉄関連_国会審議
長らく空けてしまいましたが、再開したいと思います。
今回も小林委員の当局攻撃は収まりません、今回は国労組合員とそうでない組合員に対する露骨な依怙贔屓があるとして、質問をしています。
趣旨としては、助役が意図的に、転轍機を反位(本来の方向と異なった方向にすること)にしたり、一部の車輌の連結器を意図的に外していたというもので、勤務評価を下げるために行っていたという指摘です。
以下に、該当部分を引用してみたいと思います。

 それからこれは労働者側の情報なんですよ。いいですか、読み上げますよ。これは二十五日です。これは八月二十五日でしょうな。「朝七時三十分頃、酒田駅構内裏一番コマポイントが列車進入寸前にもかかわらず反対の方向にかえっているのを操車掛が事故発生前に発見ことなきを得た。これは陸羽西線の六三列車着ガマが機関区に入るとき、上り八番線をまわって機関区に入ることになっており、裏一番は八番線から別れている線で通常なら上り八番線は定位にならなければならないのにポイントの反位を発見した操車掛は早速構内詰所の組合員に知らせた。ポイント扱い担当の北部転てつはもちろん誰も扱ったものもいないし入換もきていないのに全く不思議なことではないかと早朝の酒田構内は騒然としたが、たまたま脱線十五、六分までなんともなかったのに構内巡視をした一人の外勤助役がいたことが明らかになった。その時刻が事故発生五十分位前の出来事だったし、組合員の眼はこのあやしいいたずらはかって二十九年から三十年頃にかけてやはり外勤助役が中心に構内作業の勤務評定として従事員の作業監査の名目で裏面監査をやり、ポイントを返したりブレーキをおろしたり、また客車連結器のテコをはずしており従業員の神経をあおる方法をとったが、はげしい反対のため取やめられたが、こうしたやり方がまた誰も知らぬ間に復活したのではないかと責任追及がおこなわれようとしており、構内はじめ酒田支部は問題の探求をはじめている。」というのであります。これに対して今申しましたように、これはまさに第二の松川事件の寸前だぞ、下山事件の寸前だ、それがこんなところでどうも起るような懸念が現場にあるのではないかと、組合員がこういうことをおそれておる。あまり権力で弾圧していこうとすると、みんな功を争うようになってくる。かりに局長が一言言えば、それに迎合しようとして現場職員は二、三積極的な行動に出る。功績を得んとする行動がこんな形になって現われてこないと一体否定できますか。
こうした事実が本当にあったのか、否か。
少なくとも私自身は判断できませんが、仮にこうしたことが事実として行われたとなれば、かなり問題であるわけですが。
何れにしても、当時の組合と当局の労使関係は決して良好ではないものの、生産性運動以降に見られた過剰な組合譲歩などもなくて、そうした意味では緊張感を持って業務に当たっていたと言えるかもしれません。
続く
応援よろしくお願いします。

************************以下は、国会審議議事録です*************************
○小林(進)委員 あなた方がそういうような答弁をしているうちに、だんだん日本の民主主義も憲法も事実上浮き上って、昔ながらの反動の形が現われてくるのですよ。そうしてそういうような答弁をあなた方がたくみにやっているうちに、恐るべき時代がだんだん起きてきますよ。一体そんなことで労働者は承服しますか。私は一つ具体的な例をここで読み上げてみたいと思うのでありまするが、これは率直に申し上げまするけれども、労働者側の情報です。今までのものはいわゆる経営者側の情報だ。ただ労働者側の情報を申し上げる前に一言念を押しておきまするけれども、私どもは、新潟の国鉄の出している労働情報というものは、何といってもこれは不当労働行為だ、経営者が国鉄労働組合を圧迫しようという、不利益を与えようとする、弾圧をしようとする意図のもとに行われておる労働情報のように断定するよりほかにないと思う。もしそうでないというならば私は調べてきますよ。だからどうかあなた方も責任をもってこんなものは廃刊をしてもらうように、厳然たる態度をとってもらいたい。何のために理事がおり総裁がおるか、そんなことでわが国の汽車が動くと思っておったら間違いですよ。こんなことはやめさせるように私はここで一本念を押しておきます。こんなことはやらせませんよ。
 それからこれは労働者側の情報なんですよ。いいですか、読み上げますよ。これは二十五日です。これは八月二十五日でしょうな。「朝七時三十分頃、酒田駅構内裏一番コマポイントが列車進入寸前にもかかわらず反対の方向にかえっているのを操車掛が事故発生前に発見ことなきを得た。これは陸羽西線の六三列車着ガマが機関区に入るとき、上り八番線をまわって機関区に入ることになっており、裏一番は八番線から別れている線で通常なら上り八番線は定位にならなければならないのにポイントの反位を発見した操車掛は早速構内詰所の組合員に知らせた。ポイント扱い担当の北部転てつはもちろん誰も扱ったものもいないし入換もきていないのに全く不思議なことではないかと早朝の酒田構内は騒然としたが、たまたま脱線十五、六分までなんともなかったのに構内巡視をした一人の外勤助役がいたことが明らかになった。その時刻が事故発生五十分位前の出来事だったし、組合員の眼はこのあやしいいたずらはかって二十九年から三十年頃にかけてやはり外勤助役が中心に構内作業の勤務評定として従事員の作業監査の名目で裏面監査をやり、ポイントを返したりブレーキをおろしたり、また客車連結器のテコをはずしており従業員の神経をあおる方法をとったが、はげしい反対のため取やめられたが、こうしたやり方がまた誰も知らぬ間に復活したのではないかと責任追及がおこなわれようとしており、構内はじめ酒田支部は問題の探求をはじめている。」というのであります。これに対して今申しましたように、これはまさに第二の松川事件の寸前だぞ、下山事件の寸前だ、それがこんなところでどうも起るような懸念が現場にあるのではないかと、組合員がこういうことをおそれておる。あまり権力で弾圧していこうとすると、みんな功を争うようになってくる。かりに局長が一言言えば、それに迎合しようとして現場職員は二、三積極的な行動に出る。功績を得んとする行動がこんな形になって現われてこないと一体否定できますか。
 また一つ読み上げますと、「悪質裏面監査のその後、駅長は勤務るすに床屋」というので、これは駅長のことが書いてあるのだが、これもついでですから読み上げましょう。「八月二十七日(木)朝八時二十分から九時四十五分まで、青柳酒田駅長は勤務時間中に職場を離れて不在であった。彼はこの間床屋へ行っていた。たまたま時間まではっきり記録されたまでのこと、毎回のことである。職場の人たちの間には「われわれには、列車の間合いに一寸マンガ本を見ていてもやれ勤務態度がよくない、勤務成績がわるい、といいながら駅長は一時間も出勤早々職場をるすにしている」こんな駅長が、職員をコキ下したり、始末書をとる資格があるだろうかという話がひろがっている。今、酒田駅では先日(九月二十五日)駅構内裏一番線のコマポイントを列車進入寸前に」これは前の記事でございますが、こういうことが行われている云々とあり、こういうような危険が起っているのを「青柳駅長は労務対策で当局から覚えがよいことをカサにきているが、次のような暴力、独善、鼻下長駅長でもある。藤島駅長当時、助役の胸グラをつかみナイフで「殺すぞ」とアバれた。酒田駅へきてからも気にくわぬ助役に赤インキを顔からかぶせたこともある。日頃「バカやろ、クソやろ」と主任級などにも当っており、地区労代表などにも「帰らぬと警察を呼ぶぞ」とどなりちらし、去る春斗では組合とは団交を拒否しながら芸者を入れていた事実もある。酒田市会等でもこれら駅長の柄の悪さが目にあまって「酒田の玄関には不適当だ」の声があがっている。」こういうような記事が羅列をされているのでございますが、このように労使の間というものはもはや実に離れてしまった、水と油以上に離れている。一体こんなことで国鉄行政はでき上るのですか、やっていけるのですか。われわれもおっかなくて汽車に乗れませんよ。かってあの飛行機事故が起きたときに、総裁が遺族の霊前にぬかずいて泣いている姿を私はテレビで拝見いたしました。私はあの姿をながめて、総裁もまことに誠心を傾けて遺族の前に泣いていると思いました。あの涙にはうそはありません。総裁は誠実な方なんだ。私は、テレビを見ながら一応総裁の態度に感激をしたこともございましたが、総裁、事故は今あなたの足元に起ろうとしているのですよ、これを一体どう判断せられるか、こういうような危険に対するあなたの所見を私はお聞きしたいと思うのです。これもうそですか。
○十河説明員 私は、国鉄が輸送の使命を全うするためには、初めに申し上げましたように、人間が一番大切である、人の和がすべての基本である、こう考えます。就任以来労使関係も正常化したいと考えまして、経営者に対しても労働組合に対しても、その目的で絶えず協力を求めておりまして、私自身の行動につきましても絶えず反省をいたしておるのであります。そういういろいろな問題が起りますことは、ひっきょう私の統率力が足りないといいますか、不徳といいますか、そういうところがあるかもしれないと私は大いに反省をして、今後そういうふうな、たとい誤解であってもそういうことの問題が起らないようにいたしたいと念じている次第であります。
○小林(進)委員 私はまだ多分に材料を持っております。もっともっと多く私は質問をしたいと思うけれども、しかし彼我大小相似たようなものを繰り返し申し上げていたところで、もはや効果もないと思いますので結論に入りますが、なおそのほか私自身に与えられている私個人ではございません、国会議員の小林進です。私どもは国民から法律以上の大きな力で調査の権能を与えられている。権利と義務を与えられている。そういう国会議員固有の調査権能をも剥奪するような不当なる行為も私は河村局長から受けておりますが、これは前の労働大臣にも質問いたしましたので省略いたしますが、今まであなたに申し上げたことだけでも、多くの同僚先輩諸君並びに学識経験者はともに驚いている。残念ながら驚かないのは総裁と常務理事だけである。あなた方が主宰している、あなた方が経営している、その責任者のあなた方だけが驚かれない。そしてあなたは繰り返し遺憾の意を表せられているけれども、責任をとるということは一言もおっしゃられない。私がこれだけ克明に調査していることに対しても、あるいは誤解があってもというような誤解という前提のもとに遺憾の意を表している。実に私は無責任きわまると思う。いやしくもそういうような総裁の考え方であるならば、私が国民の意思を代表いたしまして、いかにその国鉄の安全を願い、労使のよき慣行を願い、平和の国鉄のその成績の増進を祈ったところで百年河清を待つほかはないといわなければならぬと思うのでありまして、総裁はそういう遺憾の意を表する前に、私が今まで申し上げたことをいま一回一つ反復反省されまして、どういう処置をとるか、一体どういう手段をとるかという具体的なこれに対する対策を一つお聞かせ願たいと思うのであります。ただ遺憾の意を表せられただけでは、死者の墓前にぬかずいて泣くだけではこの問題は解決するものではありません。飛行機の事故はできたことでありますけれども、これらは将来起る危険性のある問題でございます。事前に明確な手を打っておかなくてはいけない。どういう具体的な処置を講じて、これらの不当労働行為、あるいは多くの危険、それからよって生ずるこの危険を防止せられるお考えであるか、一つ承わりたいと思います。
○十河説明員 私は今まで報告を受けて承知しておる限りにおいて今日も答弁いたしました。いろいろ具体的の事実をあげて今日もお話がありました。さらにいま一応調査いたしまして、その上でお答え申し上げたいと存じます。
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