国鉄があった時代blog版 鉄道ジャーナリスト加藤好啓

 国鉄当時を知る方に是非思い出話など教えていただければと思っています。
 国会審議議事録を掲載中です。

昭和33年10月7日 第30回国会 衆議院 社会労働委員会 第3号から抜粋 第5話

2023-08-17 19:59:16 | 国鉄関連_国会審議

長らく間が空いてしまったのですが、第30回国会衆議院社会労働委員会第3号昭和33年10月7日の議事録からアップさせていただこうと思います。
長らく、郵政の話が続いたのですが、今回は新潟闘争に関しての当局の姿勢を問うと言うことで質問がなされています。

この記事によりますと、当時の新潟鉄道管理局長が処分を多発して、第二組合を作らせたのではないかという質問がなされています。

そこで、ここからは私の私的な見解と言うことを事前にお断りした上で見解を述べさせていただくと、新潟闘争における、組合員のその後の大量脱退は当局側の扇動と言うよりも組合員自身の行動であったと考えております。
更に言えば、国労の中でも、幾つもの派閥が存在して国労という存在自体も一枚岩と言えない状況の中で、特に左傾化傾向が強い革同派(国労における共産党系の組合内派閥。革新同志会)の行動は民同左派(民主化同盟・左派 社会党を支持するグループ)から見ても、行きすぎのと言う感覚を持っていることから、警戒という程でないにしろ少し距離を置こうとしていたと言う点。更に、新潟闘争後に設立される新潟地方労組自体は、最初から構成員の過半数が取れれば国労に復帰することを前面に打ち出していたことからも、全く見当違いの発言だと個人的には考えています。
と最初に書いたのですが、この国会質問では、当時の管理局長が第二組合を育てなくてはいけないとして、かなりハッパをかけたという記述がなされています。このことが事実なのか否かは、現在私には証明すべき資料がないので見解を述べることが出来ませんので、私の見解は述べないこととしますので、当時の国会でのやり取りを改めてご覧いただければ幸いです。

社会党からの質問

○園田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 労働関係の基本施策に関する件について質疑を継続いたします。小林進君。
○小林(進)委員 委員長にお尋ね申し上げますが、去る9月26日の当社会労働委員会におきまして、新潟の国鉄管理局の不当労働行為についてわれわれは質問を開始いたしました。その結果、労働大臣並びに労政局長の御答弁が、まだその事実について御調査ができていない、こういうような御答弁で、はなはだ不満足なものでございましたので、その後の理事会において、国鉄の最高責任者でありまする総裁並びに関係理事者においで願って、そうして這般の問題についてさらに細部にわたってお伺いいたしたい、かようなことを決定いたしました。本日われわれの理事会の決定に基いて、国鉄の総裁並びに関係者がお見えになっておるかどうか、お伺いいたしたいと思います。

ちなみに、ここ小林進委員が質問している内容は以下のように、管理局長が現場管理者に対して第二組合を作れと指示を出したと言う内容で、ちょっとこの辺は更に掘り下げて見ないと見えてこない部分が有りそうです。

小林進委員は、社会党の議員で、昭和24年の当選以降連続11回当選の議員であったそうです。

以下該当部分を抜粋いたします。

 最近非常に不当労働行為が激しくなって参りました。われわれはさように考えております。それは至るところに頻発をいたしておりますが、そのはなはだしい不当労働行為の中で、特に最近われわれが経験いたしております中に、新潟の国鉄の管理局管内における不当労働行為の実にはなはだしいものがあるのでございまして、新潟鉄道管理局長によって行われております数多くの事犯というものは、まさにわが日本の労働組合法を無視しておる。そして民主政治を破壊し、権力で組合そのものをまさに抹殺しようとするのではないか、それほど封建制度に近い権力そのもののような労働行政が行われておる。私はその具体的な事例を一つここで申し上げてみたいと思います。
 それは今回鉄道局内におきまして新しく非組合員というものが作り上げられた。その新しい非組合員となりましたいわゆる分区長と称するものでありますが、分区長と称する職分にあるものを、いわゆるその管理局内の分区長を新潟鉄道局長は教習所の中に集合をさせまして、管理者の講習会を行なったのであります。その行うときに、どうも常日ごろとやり方が違う、異様な感じの会合をやったということ。ちゃんと一人々々の前にわれわれのように名札を立てまして、局長からだれのだれべえということがわかるように名札を立てておいて、局長は自分の机の上に青写真を置いて、顔と名前が相一致するような物々しい講習会の席を作り上げたわけでございます。そしていわゆる指令といいますか、訓辞といいますか、あるいは命令のようなことを言われた。すなわち、私は国労新潟地方本部というものをぶっつぶすために、そして第二組合を育成するためにあらゆる手を打ってきた。そのために現場長や助役にもそれぞれその第二組合育成の仕事をやらしてきたが、この人たちの力も、もう限度がきていてたよりにならない。今度は一つ諸君にやってもらわなければならぬ。どうか第二組合員をふやすように大いに努力してもらいたい。諸君は日常組合員と作業の上で緊密に結びついておるのであるから、第二組合を増すにも一番よい。大いに一つがんばってもらいたい。こういうことを言われた。それからまた今日、なおこの新潟鉄道管内に一人も第二組合員がいない職場があるが、これらは現場長、助役等の無能を証明しておる以外の何ものでもない。分区長としても第二組合を作れぬような者は、管理者としての資格がないのであるから、これは技術係、営林係、工場長に格下げをするほかはないから、それを一つ覚悟をしておいてもらいたい。なな第三番目といたしましては、自分は国鉄新潟地方本部をつぶすまで新潟でがんばるから、諸君も断じて一つがんばってもらいたい。こういうような大体三点に分れる内容の訓辞か指令をされた。しかも一回のみならず、今度はお昼のときに食堂に行くと、食堂に来てまた同じようなことを繰り返して、新しく生れた管理者に言われて、管理者自身も飯がのどを通らないいんうつな気持でその講習会を受けたという心情が吐露された。これは三十幾人の講習生から直接聞いたものの実際を大臣に申し上げているのでありまして、これは実に驚くべき不当労働行為であると思うのでございますが、一体大臣はこういうことに対してどういう所見をお持ちになっておるか。こういう管理局長の訓辞がどのような形で現場へ流れておるか。これも、私は大臣に御質問をするわけでございますから、そういう荒唐無稽のことをやっちゃいけないというので、その新潟鉄道管内における一地域の職場だけを私はみずから身を挺して調査をして参りました。その調査によりますと、その局長の指令の結果、これはどのように行われておるか。これは一つの職場でございますが、その中における分区長、講習を受けた分区長は、みずからはっきり明言いたしました。第二組合を作るのは局長の命令である、だから私はどうしてもやるのである。こういう言明をしておる分区長を一人発見いたしました。それからまたその地域における別の助役は、第二組合の発行しておりまする脱退書、第一組合を脱退して第二組合へ来いという脱退書を、第一組合員の間に一生懸命配って歩いておる。これは早く脱退届に名前を書きなさいと言わぬばかりの、言葉では言わないけれども、言わぬばかりの行為で、一生懸命助役がこれを配付しておる。こういうような助役にも私は遭遇いたしました。なおまた庶務主任、この人は第一組合員を、近くの、何ですか、料亭というほどまで高尚なものではございませんけれども、そこへ連れていきまして、酒を飲ませながら第二組合に入ることを盛んに勧誘をいたしております。なお後日、別なところではこういうこともやっているのです。組合員を呼んで、この職場から二名くらい他に転勤せしめなければならない、もっと労働の過重なところへ転勤せしめなければならないのであるが、しかし第二組合の組合員になればまたこちらも相当考慮しなければならないであろう、こういうようなことをほのめかしている。そういたしますると、からだの弱い、あるいは結核療養所に二年も入って帰ってきた者等は、こういうことを言われてふるえ上ってしまいまして、そして直ちに第二組合加入に泣きながら署名をする、こういうようなことも行われている。しかもこの一地域、私が調査いたしましたその職場だけにおきまして、昇給のストップをされた者が五名おりました。その五名はみんな第二組合にいかなかった人でございました。第一組合にとどまった者でございます。それからこちらの分会では十六名の人たちが同じく昇給のストップをされました。その中の十五名は全部第一組合です。勧告を受けたか、受けなかったか、受けた者もあれば受けなかった者もありますが、第二組合へいかない人たちでございます。こういうような賃金の差が明確に現われているのです。みんなまじめな人です。だれが見てもこれは、第二組合へいかなかったからこそ、あの人は賃金のストップを命ぜられたと労働者全部が見ている。 こういう歴然たる事実が、私が調査をいたしましたたった一つの地域の中にこれくらい行われておるのでございまして、一体大臣はこういうことをどのようなふうにお考えになっているのか。これはまさにわれわれが積み重ねてきた十何年の労働慣行と民主政治というものを、根本から破壊するおそるべき行為ではなかろうか。
 その他たくさんの事例がここに書いてありまするけれども、そう限りなく申し上げたのでは大臣も御答弁に困ると思いますので、一応この程度にしておきまして、また私は質問を繰り返したいと思います。どうぞよろしく一つお願いいたします。

まぁ、これだけを見るとにわかに信じがたい証言が飛び出してくるのですが、この辺は本当にどうだったのか、改めて何らかの証言を得たいところではありますので、労働図書館なども含めて新たに調査をして行く必要がありそうです。

さて、こうした経緯を受けて再び小林進委員が質問を開始するわけですが。
総裁が出席していないことにご不満のようです。

○園田委員長 総裁は。副総裁が来ております。
○小林(進)委員 副総裁一人でありますか。
○園田委員長 吾孫子理事が……。
○小林(進)委員 吾孫子理事と小倉副総裁がお見えになっておる。たしかわれわれの理事会におきましては、総裁においで願うように決定をいたしておるはずであります。副総裁にはおいで願いたいということをわれわれは決定いたしておりません。どうして一体総裁がお見えにならないのか。諸般の事情を一つお伺いいたしたいと思います。

この質問に対しては十河説明員(総裁)は参議院の方に呼ばれているとして、代理出席した旨を発言していますが、納得しなかったようで、十河総裁が来るまでしばし待機したと議事録には残されています。

そして、十河総裁が到着後質問は再開されたようです。そこで、以下のような質問をなされています。

○小林(進)委員 総裁が見えられませんので、しばらく私も一つお待ちをいたしたいと思います。それでは国鉄の総裁もお見えになったようでございますから、まず総裁に一つ御質問をいたしたいと思うのであります。実は本日御足労を願いました理由は、国鉄の新潟管理局内におきまして、昨今おそるべき不当労働行為が行われております。われわれの判断をもってしまするならば、労働組合法も憲法も全くじゅうりんをして顧みないような不当労働行為が新潟鉄道管理局長によって行われておる。これに対して先般われわれは労働大臣に質問をいたしたのでありまするが、大臣はまだ何らの報告を受けていないということで、的確な回答をわれわれに与えなかった。従いまして本日国鉄内部における最高の責任者でありまするところの総裁においでを願って這般の事情を一つ明らかにしていただきたい、かようなわけでおいでを願ったわけでございます。しかるに、われわれが先般の理事会において与野党ともに全会一致で総裁においで願うということを決定したにもかかわらず、本日ここを見ますると、総裁はお見えにならない、われわれの理事会で決定しない副総裁がお見えになっておる。若干われわれの気分に沿わないものがありました。そこで今総裁のおいでを待ったわけであります。事情御了承を得たいと思うのであります。
 私はまず総裁に具体的な問題を御質問する前に、総裁は一体労働者の地位についてどのような見解をお持ちになっているか、国鉄36万の労働者を引き連れておられる総裁として、労働者に対してどういうような基本的なお考えを持っているのか、まずこれを一つお伺いをいたしたいと思うのであります。
 先ほどからも大坪委員の、何か全逓労組に対する御質問がありましたが、そういう質問の中にはわれわれの了承できない基本的な思想が横たわっておる。私は倉石労働大臣の労働行政に対する御説明を承わっておりまするが、大臣の労働の価値並びに労働者に対する見解というものは、われわれはまだ若干釈然としないものを持っておるのでございます。
 御参考までに一つ申し上げるのでございまするが、これは十月三日でございましたか、予算委員会においてわが社会党の北山委員が、岸総理大臣に対しまして、私が今総裁に行なっていると同じ質問をいたしました。総理大臣、一体あなたは労働者というものをいかに考えておられるか、労働者こそがこの世の中において一番価値ある仕事に従事しているのであるということを総理大臣は了承されるかどうか、労働者によってすべてのものが生産されている、すべての機関というものが労働者の汗によって動いているのである、一人の労働大臣や農林大臣などというものはいてもいなくても差しつかえないのだ、しかし労働者が動かなければ、労働が停止をした場合には、人類の生存というものが停止してしまうのであって、労働者こそが一番価値ある仕事に従事しているのである、総理大臣は一体この労働者を尊敬されるかどうか、こういうような今私が言ったと同じ質問を予算委員会でわが北山委員が質問したときに、総理大臣は、あの人は八方美人ですから真意はどうか知りませんけれども、表面においては、あなたの趣旨と全く同感であるという答弁をされている。私は保守党の各閣僚の労働の価値並びに労働者の値打ちに対するいろいろの考え方を承わりまするけれども、さすがに岸さんの答弁は一番新しい。時代感覚に沿っておる。さすがにやっぱり世人の言う通りに、そつのない人だという感じを受けたのであります。
 一体総裁は、この労働者に対するどういう見解を持つか、お伺いをいたします。

と言うことで、いきなり変化球と言いますか、当局としてと労働者をどのように見ているのかという質問を投げかけていますが。
これに対しては、十河総裁は以下のように答弁をしたようです。

○十河説明員 まずもって出席のおくれましたことに対しまして、おわびを申し上げたいと思います。
 ただいまの御質問の、労働者の国鉄経営上における地位というものは、経営者も労働者も、事業を経営する上においては、人間が一番大切である、これは経営者も労働者もともに一番大切である、そういうふうに考えております。

と言う発言をしたことから、小林委員の不興を買ったようで、十河総裁に対して、先ほど記述した質問を再び問いかけることとなっていました。

個人的には、昨日の動画で、新潟闘争以後に関しては、第二組合の設立更には、組合員の移動が行われたことについて述べさせていただいたのですが、こうした事実が本当にあったのか否か。

と言う点を今一度検証してみる必要は有ろうかと思われます。
更に、仮にこうした事例があったとすれば、その後の生産性運動における、助役による不当労働行為と言える行為があったことなどにも繋がっていくことになるかも知れず、この辺は今後更に調査していく必要性を痛感しています。

************************以下は、国会審議議事録です*************************

○倉石国務大臣 全逓労組に対しての郵政当局の態度はりっぱだと思っております。
 八十七号条約の批准につきましては、この前本会議でも申し上げました通りでありまして、私どもは現存しておる法律を国民が守る義務があるということは、法治国家として当然のことであります。そこで特に違法な行為をやっておられるということについてはまことに遺憾に存じておるのでありますが、ただいまお話のように公労法の適用を受けておる労働組合で、わざわざ藤林あっせんというふうなもので国労がああいう態度をとって、正常化に協力しておられるときに、全く違った態度をとられるものが、同じ公労協内にあるということについては、私どもはまことに遺憾に存ずるのでありまして、一日も早く法律を守って、国民に安心をさせてもらいたいと考えておりますが、そういうような現在の段階では、それに関係のありますILO条約の八十七号の批准ということを論議すべき段階ではない。このように政府は考えております。
○大坪委員 これで終りますが、今の労働大臣の御答弁を伺って、そうでなければならぬと思います。特に現在のわが国の国内の諸情勢を見てみますと、労働慣行がまだやっぱり成熟せずと言われておる。法律無視あるいは集団の威力による圧力のかけ方、いわゆる実力行使、そういうものでまた特に政治的目的を達する、そういうことを、その目的、行動を労働組合がもう忌憚なくとっておる。力をもて、法と秩序を乱すということを、日常茶飯事のごとく心得て実行しておる組合のある現状においては、法律秩序、公共の福祉を守る上から、軽々にILO条約を批准するというようなことによって彼らの非違を遂げさせるようなことがあってはならぬ、かように考えるわけであります。私は全逓について先刻要望的な意見を述べましたが、ほんとうに全逓の諸君が総評の幹部の顔ばかり見ないで、国民全部の顔を見て良識を発揮されんことを私は念願してやみません。私がいろいろ今申し上げましたのも、どうか日本の労働運動が、先刻もたびたび申しましたように、国民も納得し、世界の良識ある人々も了承するような正常な状態に早く返って、国内の秩序を保つとともに、国の生産を高める、そういうことによって国民全体の福祉の向上に寄与するようにあってもらいたい。せめて全労会議の線に一つ、これは総評の諸君にはお気の毒でありますけれども、その程度の良識を持った労働組合に一つ成長をしてもらいたいという念願を持ちますがために申し上げた次第でございます。
 いろいろ要望も申し上げましたが、私どもは倉石労働大臣に期待することがきわめて多いのでありますから、どうか一つ十分に御検討のほど願い上げます。
 私の質問を終ります。
○五島委員 大坪委員の貴重ないろいろの質問について、われわれは非常に勉強になるのですが、ここに出席された委員の顔ぶれを見ると、自民党5名、社会党6名というようなことで、議事規則の運営通りに正常化されていないというように思うわけです。これから慎重に真剣に重要法案を審議するに当って、こういうような出席ではどうもおかしいと思うのです。そこで今後はできるだけたくさん、やはり20名以上の出席をとれるようにしなければならないと思うのです。この間の理事会でもよく相談し理解し合った通りで、ほんとうに慎重に勉強しなければならぬ。そこでたくさんの者が出席して審議に参画する、こういうようなことですが、きょうは大坪さんがせっかくいい質問をされておる過程において、4名とか3名とか、御婦人が2人で、自民党の男性の方が1名、こういうことではさびしい。それで今後はたくさん出席されなければこういう委員会が進行されないと思うのです。この点について委員長は十分努力してもらいたいと思います。
○園田委員長 委員各位の御精励を望みます。
 午前中の質疑はこの程度にとどめます。午後は本会議散会直後、約二時半と予定いたします。二時半まで休憩をして、小林進君の質問から始めます。
    午後一時五分休憩
     
    午後四時五分開議
○園田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 労働関係の基本施策に関する件について質疑を継続いたします。小林進君。
○小林(進)委員 委員長にお尋ね申し上げますが、去る9月26日の当社会労働委員会におきまして、新潟の国鉄管理局の不当労働行為についてわれわれは質問を開始いたしました。その結果、労働大臣並びに労政局長の御答弁が、まだその事実について御調査ができていない、こういうような御答弁で、はなはだ不満足なものでございましたので、その後の理事会において、国鉄の最高責任者でありまする総裁並びに関係理事者においで願って、そうして這般の問題についてさらに細部にわたってお伺いいたしたい、かようなことを決定いたしました。本日われわれの理事会の決定に基いて、国鉄の総裁並びに関係者がお見えになっておるかどうか、お伺いいたしたいと思います。
○園田委員長 総裁は。副総裁が来ております。
○小林(進)委員 副総裁一人でありますか。
○園田委員長 吾孫子理事が……。
○小林(進)委員 吾孫子理事と小倉副総裁がお見えになっておる。たしかわれわれの理事会におきましては、総裁においで願うように決定をいたしておるはずであります。副総裁にはおいで願いたいということをわれわれは決定いたしておりません。どうして一体総裁がお見えにならないのか。諸般の事情を一つお伺いいたしたいと思います。
○園田委員長 きょうは総裁はどうして来られないのですか。
○小倉説明員 参議院の方に出ております。
○園田委員長 参議院の方と一緒になっておりますので、代理に副総裁が来たそうです。
○小林(進)委員 参議院とおっしゃいますと、参議院のどこですか。まだ参議院の方で使われているのでございますか。そこら辺の事情を一つお伺いいたします。
○園田委員長 参議院の委員会ですか。
○小倉説明員 委員会じゃありません。政策審議会の方へ出ております。
○小林(進)委員 総裁が見えられませんので、しばらく私も一つお待ちをいたしたいと思います。それでは国鉄の総裁もお見えになったようでございますから、まず総裁に一つ御質問をいたしたいと思うのであります。実は本日御足労を願いました理由は、国鉄の新潟管理局内におきまして、昨今おそるべき不当労働行為が行われております。われわれの判断をもってしまするならば、労働組合法も憲法も全くじゅうりんをして顧みないような不当労働行為が新潟鉄道管理局長によって行われておる。これに対して先般われわれは労働大臣に質問をいたしたのでありまするが、大臣はまだ何らの報告を受けていないということで、的確な回答をわれわれに与えなかった。従いまして本日国鉄内部における最高の責任者でありまするところの総裁においでを願って這般の事情を一つ明らかにしていただきたい、かようなわけでおいでを願ったわけでございます。しかるに、われわれが先般の理事会において与野党ともに全会一致で総裁においで願うということを決定したにもかかわらず、本日ここを見ますると、総裁はお見えにならない、われわれの理事会で決定しない副総裁がお見えになっておる。若干われわれの気分に沿わないものがありました。そこで今総裁のおいでを待ったわけであります。事情御了承を得たいと思うのであります。
 私はまず総裁に具体的な問題を御質問する前に、総裁は一体労働者の地位についてどのような見解をお持ちになっているか、国鉄三十六万の労働者を引き連れておられる総裁として、労働者に対してどういうような基本的なお考えを持っているのか、まずこれを一つお伺いをいたしたいと思うのであります。
 先ほどからも大坪委員の、何か全逓労組に対する御質問がありましたが、そういう質問の中にはわれわれの了承できない基本的な思想が横たわっておる。私は倉石労働大臣の労働行政に対する御説明を承わっておりまするが、大臣の労働の価値並びに労働者に対する見解というものは、われわれはまだ若干釈然としないものを持っておるのでございます。
 御参考までに一つ申し上げるのでございまするが、これは十月三日でございましたか、予算委員会においてわが社会党の北山委員が、岸総理大臣に対しまして、私が今総裁に行なっていると同じ質問をいたしました。総理大臣、一体あなたは労働者というものをいかに考えておられるか、労働者こそがこの世の中において一番価値ある仕事に従事しているのであるということを総理大臣は了承されるかどうか、労働者によってすべてのものが生産されている、すべての機関というものが労働者の汗によって動いているのである、一人の労働大臣や農林大臣などというものはいてもいなくても差しつかえないのだ、しかし労働者が動かなければ、労働が停止をした場合には、人類の生存というものが停止してしまうのであって、労働者こそが一番価値ある仕事に従事しているのである、総理大臣は一体この労働者を尊敬されるかどうか、こういうような今私が言ったと同じ質問を予算委員会でわが北山委員が質問したときに、総理大臣は、あの人は八方美人ですから真意はどうか知りませんけれども、表面においては、あなたの趣旨と全く同感であるという答弁をされている。私は保守党の各閣僚の労働の価値並びに労働者の値打ちに対するいろいろの考え方を承わりまするけれども、さすがに岸さんの答弁は一番新しい。時代感覚に沿っておる。さすがにやっぱり世人の言う通りに、そつのない人だという感じを受けたのであります。
 一体総裁は、この労働者に対するどういう見解を持つか、お伺いをいたします。
○十河説明員 まずもって出席のおくれましたことに対しまして、おわびを申し上げたいと思います。
 ただいまの御質問の、労働者の国鉄経営上における地位というものは、経営者も労働者も、事業を経営する上においては、人間が一番大切である、これは経営者も労働者もともに一番大切である、そういうふうに考えております。
○小林(進)委員 労働者も経営者も一番大事だという古色蒼然たる前時代的な御答弁をいただきまして、まことにどうもこれは言葉がつげないのでございますが、せっかくの御答弁でございまするから……。
 私は、今の国鉄の問題について、例をとって申し上げまするならば、われわれがこうして乗りものに乗ってこの場所へ参ったり、郷里へ帰ったり、日本国民がそれぞれ国鉄その他の乗りものを利用いたしまして、みんな動いておるのは、これは総裁は、あるいは総裁の力によって全都国鉄等の乗りものを動かしておるというふうにお考えになっておるかもしれぬが、私どもは何も総裁の力で汽車に乗って、このような快適な生活をしておる、あるいは経済活動をしておるというようには考えておりません。やはり労働者が機関車を動かしてくれる、車掌が切符を切ってくれる、こういう労働者の汗と力によって、一切のわが日本の交通というものは滞りなく動いておるのである。こういう労働者の汗の上に総裁が乗っかって、高禄をはんで、総裁のいすで、晩年を非常に楽しく送っておる、こういう結論になる。私はかように考えているわけでございます。何も総裁がおいでにならなくても、汽車の運行その他には一応差しつかえはございません。けれども労働者がいなくちゃ汽車は動かない、汽車には乗れぬのであります。その意味において、私は労働者の価値というものは、十分考えていただかなければならぬと思う。こういうわけなのでございます。しかしわが日本の管理者、経営者には、こういう当りまえのことがわからない。やっぱり自分たちが親方だと思っておる。そうして労働者は一歩も二歩も自分たちの下だと思っておる。権力をもって押えつけ、監視、監督するものだ、労働者といえば、何か自分たちより一歩下だ、卑しいものだというような、そういう考え方がどっかにある。これがものを紛淆せしめている一番大きな基本的な間違いなんだと思う。だから少くともあなたには、そういう間違った考えは持たないようにしてもらいたい。私が申し上げたことは少し極端かもしれませんけれども、新しい民主憲法の上では、そういう労働の価値というものを基本的に考えてやってもらわなければならないということをお願い申し上げます。特にあなたは戦時官僚でいらっしゃいました。そして追放の身の上になられた。追放の旅を続けながら、やがて過去に対してあなたは非常に反省するところがあったと思う。だが、再び迎えられて国鉄の総裁になったからには、その過去の、自分の誤まれる権力の上に王座をふるった、そういうことを改めて、今度はほんとうに働く労働者を大切にするという気持になって、私は国鉄行政をやってもらいたいと思うのです。そういう気持で総裁の地位につかれたのである、私は遠くからそういうふうに考えておったのです。だから、私の推定もし誤まりなかりせば、この際私がこれから申し上げる問題についても、どうか一つ真実と誠実を傾けて御答弁を願いたい。そうして私が申し上げるような新しい感覚に基いた新しい国鉄というものを、あなたの過去の贖罪を兼ねて、晩年を全うする意味においてもやってもらいたい、こういう意味で私はお願いをいたしたわけでございます。
 具体的な問題に入りまするが、実はこれは労働大臣に質問をいたしましたと同じことを、私は再び繰り返すことになるのでございますが、新潟の国鉄の管理局長の河村勝氏という人が、九月の十五日でございますか、新しく管理職に任命をせられました分区長、自分の国鉄の管内における分区長というものの講習会を持ったわけであります。その講習会を持ちましたときに、分区長を集めて、みんな分区長の前に名札をつけて、天皇陛下のようにまん中に局長席を設けまして、そこへその名札と顔とをちゃんと照合できるような、そういうものをみんな自分の前に置いて、そして一つ一つ指名点呼するようなものものしい席の配列をやったわけであります。そういうことをやっておいて、そこで大指令を飛ばしたわけであります。これはもうあなたも内部で御存じだと思いますから、そういうことを具体的に申し上げることはやめにいたしまして、ここに這般の事情を明らかにする国鉄労働組合新潟地方本部の執行委員長相田一男氏が、新潟鉄道管理局長河村勝殿あてに公開質問状を発しておりますので、それを一つ具体的な説明の内容にかえて私は読み上げたいと思う。
 これによりますと「一、局長としては第二組合を育成し、国労新潟地方本部をどうしてもつぶしたい。そのためには現場長や助役に頼ってももううまくいかない。今度は諸君らが第二組合を増やすよう頑張ってもらいたい。第二を増やすには諸君が日常組合員と作業の上で緊密に結びついているので一番よい。二、第二組合のないところでは何をしているのであろうか。柏崎保線区は一番成績がよい。諸君らのやることはすぐ結果としてあらわれるから、やっているかいないかすぐわかる。三、このことに異議のあるものはこの場所でいってもらいたい。四、このようなことのできないものは管理者としての資格がないから技術掛、営林掛、工手長に格下げをする。五、自分は新潟地方本部をつぶすまで新潟にいる心算だから頑張ってもらいたい。
 これらのことは昼食の会食時にもおこなわれ、そのため参会者は異常な緊張感につつまれ、極度の疲労を感じたと報告されています。
 このようなことは明らかに不当労働行為であり、かつ反民主主義的行為であります。貴殿は常に労働情報を通じ新潟地方本部を暴力的とののしり、ばり雑言をあびせかける等の暴挙をおこなっておりますが、これらは第二組合の宣伝と軌を一にしており、今回の分区長会議における貴殿の訓示も第二組合と一体となった暴挙と断ぜざるを得ません。
 わが国鉄労組新潟地方本部は、これら一連の不当労働行為と反民主主義的行為に抗議するとともに、貴殿の分区長教育の際おこなった訓示の真相について、良心に誓った回答を寄せられるよう強く要求いたします。」こういう公開質問状が組合委員長の名において管理局長に提出をせられておるのでございます。
 なおこの公開質問状を出しまするには、現実に教育を受けました分区長三十数名から、それぞれ組合の諸君は直接ないし間接にこの事実を確かめている。こういうことの情報をもたらされておりますが、まずこれに対しまして総裁がこの事実を一体お知りになっていたかどうか。そしてこれに対して一体どういう所見をお持ちになっておるか、あるいはどういう処置を講ぜられたか、まず一つお伺いいたしたいと思うのでございます。

 

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