国鉄があった時代blog版 鉄道ジャーナリスト加藤好啓

 国鉄当時を知る方に是非思い出話など教えていただければと思っています。
 国会審議議事録を掲載中です。

昭和33年10月7日 第30回国会 衆議院 社会労働委員会 第3号から抜粋 第7話

2024-01-19 19:00:56 | 国鉄関連_国会審議

本日も、衆議院社会労働委員会の記事から抜粋させていただきます。

飛び飛びになってしまって読みにくいことこの上ないのですが、ある時期にまとめて電子書籍化などできればとと考えております。

さて、今回も十河総裁に対しての質問は続くのですが、小林委員は、十河総裁の国鉄一家主義的発想である、「部下を子供のように愛する」という発言に対して、多少意地悪とも取れる質問をしています。

すなわち、「その子供というのは、局長でございますか、働いている末端の組合労働者全般のことでありますか」

と言う質問なのですが、こうした質問をされて、局長はかわいいが、現場の従業員は使い捨てだとは言える訳ではないわけですから、中々意地悪な質問のように見えますし、実際にそうであったのであろうと思うわけです。

○小林(進)委員 わが部下を子供のように愛するとおっしゃいました。その子供というのは、局長でございますか、働いている末端の組合労働者全般のことでありますか、お伺いいたします。

○十河説明員 私にとりましては局長も子供であります。局長の部下もまた私にとっては子供であります。私は一視同仁に、いずれも子供のようにかわいがっておるつもりであります。

当然と言えば当然なわけですが新潟闘争に関する質問が出てくるのですが、ココで新潟鉄道管理局が不当な解雇を行ったとしているのですが、従来までは処分の段落としにより懲戒免職などはなかったわけですが、今回革同派の拠点であった新潟で、組合役員を解雇した事に対しての質問が上がっているわけです。

更に、国労内でも革同派と民同左派の温度差は有るわけで、国労本部の指示以上の過激な行動をする新潟及び、宇部分会は国労としてもかなり目の上のたんこぶで有ったと言えそうです。
そこで、当時の管理局長が、国労の分会役員を懲戒解雇にしたことで、問題が大きくなり。

国労としては、処分撤回闘争を行うこととしたわけですが、この処分撤回に応じないことから膠着状態となり。
やがて、その反動は新潟闘争という形で全面対決になるわけで、どちらも一歩も引けない状態となったのでした。

さて、ここでの小林委員の質問は続くのですが、当局は「悪」であり、組合員は「善」であると言っても過言でないような発言をしているのはちょっと、引いてしまいますが。苦笑

○小林(進)委員・・・・中略 自民党や保守党の諸君は組合の幹部などというと、なかなかどうもちりあくたか、非常な強盗か気違いのように、思想悪化のおそろしき人物のように考えておる人たちがまだおります。しかし私どもは労働組合の幹部を、その私的生活は、家庭に入っては平和を愛し、妻を愛し、子を愛し、隣近所のつき合いも裏も表もない、実に崇高なる清潔な生活をしているものだと信じております。

ちょっとココまで来ると、どう言って良いのかと思ってしまいますが、考え方の多様化という点で理解したいと思います。

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************************以下は、国会審議議事録です*************************

○小林(進)委員 わが部下を子供のように愛するとおっしゃいました。その子供というのは、局長でございますか、働いている末端の組合労働者全般のことでありますか、お伺いいたします。

○十河説明員 私にとりましては局長も子供であります。局長の部下もまた私にとっては子供であります。私は一視同仁に、いずれも子供のようにかわいがっておるつもりであります。

○小林(進)委員 それでは、話がまだ具体的な問題に入らない前に、時間の制約もあるんでなんでありますが、私はそのお話を聞くと質問をしなければならない。昨年の七月に新潟闘争が行われました、その新潟闘争はわれわれの調査によれば、当局側の不当なる馘首によってあのような不当なる問題が惹起したのである、われわれはこう解釈しております。しかしその内容については、経営者たるあなたと第三者たるわれわれの間には見解の相違があるかもしれません。私はその問題の真相をあなたとここで争うというのではないのでありますけれども、両方ともみんなわが子のようにかわいい愛情を持っているとあなたがおっしゃるならば、あのような不祥事が起きたならば、警察官と一般組合、検事や判事と組合ならともかく、いわゆる管理者と労働組合、職員という関係にあって、あなたから見れば一視同仁の愛情をもって見るという、そういうものの間に一つの争いが起きた。一般大衆に大きな迷惑をかけるような争議が起きた。それに対してあなたはさらに追い打ちをかけて、一方的に組合の幹部だけを大量に馘首をせられて、そして一方の大衆にえらい迷惑をかけた新潟鉄道監理局内の管理局長初め経営者陣に対しては何ら制裁処分をしておいでにならない。これはどうも不公平なやり方じゃありませんか。俗言にもけんか両成敗という言葉があります。けんかがあれば両成敗。しかるにあなたは一方の方に対しては何らの措置をせられないということは、これを同等に扱うという御主張からながめればはなはだ理解に苦しむ。不公平なやり方ではないかと思う。いかがでございましょう、御答弁願いたいと思います。

○十河説明員 私は部下を子供のごとく愛しておりますし、馘首をするということは私の忍び得ないところであります。しかしながら私には国民の国鉄を預かっておるという責任があります。国法によって、残念ながら違法なことをしたような場合にはやむを得ずそういう処置に出ざるを得ない場合もあります。そのことは御了承を願いたいと存じます。

○小林(進)委員 私は先ほどから申し上げておりますように、法律に違反するように、法律に違反するということは、一視同仁の愛情を持つという国鉄総裁の立場ではないと私は言っておる。そのために検事局もあれば裁判所もあるし警察もあるじゃないか。私は国鉄総裁のあなたが一視同仁に考えている、俗に言う国鉄一家内部の争いであるならばそれはやはり火のないところに煙は出ないです。それでやられて、不当なる馘首で首を切られたり不当なる弾圧を受けた。だからそういうような問題が出てくる。私は今も言われたように、たまたま一視同仁に見られたというから私は申し上げる。自民党や保守党の諸君は組合の幹部などというと、なかなかどうもちりあくたか、非常な強盗か気違いのように、思想悪化のおそろしき人物のように考えておる人たちがまだおります。しかし私どもは労働組合の幹部を、その私的生活は、家庭に入っては平和を愛し、妻を愛し、子を愛し、隣近所のつき合いも裏も表もない、実に崇高なる清潔な生活をしているものだと信じております。総裁もそういう信頼の気持でいま一回各組合の人たちをながめていただきたい。組合員はばかではないのです。国鉄三十六万の各職場におる組合員はばかではない。自分たちが選び出した組合の幹部が私的生活でどのようなことをやっておるか、大ぜいの目で見ておるのです。局長や何かはあなたの目をごまかせば何でもできるけれども、大ぜいの大衆の中にある組合の幹部などというものは倉石労働大臣なんかまだ笑っておられますけれども、そんな甘いものではございません。しかし私的生活などというものは、実にわれわれが知る範囲においては崇高なものだ。間違えば直ちに次の改選期には大衆の討議によって捨てられるのだから、みんな没落していくのだから、そういうりっぱな人たちがやはり大衆の意向や組合員の要望に基いて争うべき当然の理由があって、労使対立して争っておる。あなたのいわゆるかわいい子供たちが二つに分れて争っておるのです。それをあなたは一方的に国法に反しておるからとか、あるいは法律に反しておるからとかいうような理由で、検事や判事と同じような理由で、忍びないという首を切られることは、あなたの言われる言葉は腹の中に一つの矛盾があるのではないかと思いますが、いかがでありますか。

○十河説明員 私は先ほど申し上げましたように、首を切るというようなことはしたくないのです。私の私情においてははなはだ遺憾でありますが、国民の国鉄を預かっておるものとして、やむを得ずそういう処置に出ざるを得なかったことを非常に遺憾に存じております。

 

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