最近の固定リグはほとんどSDRトランシーバーになり、スペクトラムスコープ表示が以前の団子状態の遅い波形から速い針状の表示になって、受信信号の見極めが正確にラクになりました。しかし送受信レベルはそれほど向上したようには思えず、操作のしやすさではツマミがズラッと並んでいる古いリグの方が使いやすいと感じることもあります。
そこで昔の(一世代前の)リグにパンアダプター(SDR受信USBドングル、RSP1~2や RTL-SDR)を使って、PC上にスペクトラムスコープを表示させることが多く実験されていますが、実際にFTdx3000で試してみると「これはSDRリグよりいいかも」と思えるようになってきました。
このスペクトラムスコープ表示アプリには海外のハムが開発した HDSDRや、SDR Play 社が提供する SDR Uno 他があり何れもフリーで使えますが、いろいろと試した結果下に示す SDR Consol V3 や SDRuno がデザインや機能的に一番良いと思います。
これらのアプリはリグのコントロールソフトではありませんが、リグとのCAT送受信を行い周波数をアプリ側からコントロールできますので、スコープを見てその信号上をクリックすることで(選局ダイヤルを回すことなく)素早く周波数を移動することができ大変便利です。またモード、バンド、フィルターなど受信関係の一部もコントロールすることができます。
その方法はパンアダプターの入力にアンテナをつなぎ、PCのUSBにパンアダプターをつないでソフト上で設定すれば良いのですが、リグと連動させるには送信時にパンアダプターを保護するため(5mW以上の信号を受けると壊れる!)送信時には入力を接地するなどの回路が必要になります。
ここでFTdx3000では下図左に示した RXOUT や IFOUT の端子があり、この端子にパンアダプターを接続することで安全にSDR受信が可能になります。しかしFT991などのエントリークラスのリグではこのような端子はないので、外付けでこの機能を有するアンテナスイッチ(例えばC国製のアンテナシェアラー、下図右)が必要になりそれなりの費用が必要になります。
つまり、もし昔のリグでこの端子があるトランシーバーを持っている場合には、このパンアダプターでスペクトラムスコープをやらないことは非常にモッタイナイことになりますが、この出力端子はリグ/メーカーによって回路的に違うようです。
例えば FTdx3000 の RXOUT は RF段の出力でRF段の増幅と選択の恩恵が得られます。なので単にアンテナを切り替えている回路であるリグに比べ(アンテナシェアラーと同じ) FTdx3000 はパンアダプターによるスペクトラムスコープ表示にぴったりだと思います。
FTDx3000はかなり古いリグで購入当時この RXOUT や IFOUT は何に使うのか分かりませんでしたが、今になってみるとSDR受信が将来一般的になることを予想していたのかもしれない、と勝手に考えています。