poppo徒然画帳

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映画「ブラックスワン」の心理描写

2011年05月24日 | Weblog

白鳥の湖の旋律に乗って繰り広げられるストーリーです。

これまでとは違った斬新な「白鳥の湖」を演出するというところから物語が始まります。

清純な白鳥、官能的な黒鳥、この二つの対照的な役回りを主役のバレリーナーが演舞するのですが、主役のナタリー・ポートマンが見事にバレーを踊るのは、やはり驚かされます。短期間にあれだけの演舞を修得するには相当な努力が必要だったでしょう。

正確な踊りを目指して頂点を目指している姿は、何かに取り付かれたような狂気性を感じさせます。バレーを極める、それだけでもすごいのですが、白鳥と黒鳥の二重人格性を演じる姿は、心理学的にみても興味深い構成になっています。幻覚と妄想、倒錯といった心理描写がリアルな映像となって表現されます。

バレリーナであった母親の愛情を一手に受け止める主人公、幼いころから大人になった現在まで、清純なバレリーナとして育てられ、生活すべてに干渉されて生きてきた自分を否定しなければ、官能的な黒鳥を演じられない。

彼女は、たくさんのぬいぐるみを捨てさり、自分だけの空間を作るため母親にドアを開けられないようにするためカンヌキをかける。そんな親離れをする描写が印象的です。

そのようにしなければ、清純なまま、異性を知らぬままの姿にとどまり、官能的な役割を演じられないと思い込むのです。なので、誘惑されるままクスリを飲んで、夜の世界に入りこむこともするのです。

官能的な黒鳥を演じることが、今回の斬新的な演出のポイントですが、清純と官能の二面性を演じるプレッシャー、そして、そのプレッシャーそのものが産み出す幻覚、妄想、倒錯といった心理の変容をリアルな映像として描写しているところがまたこの映画のポイントでもあります。

さすが、カウンセリング先進国アメリカの映画らしい心理描写と思いました。




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