迷狂私酔の日々(再)

明鏡止水とはあまりに遠いこの日々。

スラムドッグ$ミリオネア

2009年04月23日 | 旅する。
4月22日 渋谷

…………ということで、シネセゾンまで「スラムドッグミリオネア」を見に行った。

アカデミー賞8部門制覇なのに公開スクリーン数が少なく、平日なのにどえりゃー混雑だがや。

(なぜエセ名古屋弁?)

ま、シネセゾンは水曜日は(女性も男性も)1000円ということもあるんだろうが。

15分前で最前列しかなく、首が痛いので回避して次の16時からの回でいい席を確保しておく。



さて映画は………いいです、なかなか。ワタクシはアマノジャクですから、かといってあんまりほめるわけではありませんが。



「圧倒的な臨場感とスピード感で見せる、スタイリッシュな衣をまとったおとぎ話」

とまあ、要約するとこんな感じでしょうか?

言葉にするとつまんないですね。とくにこの映画は。



テレビ番組「ミリオネア(WHO WANTS BE A MILLIONARE)」を狂言回しに使うことによって同時進行のライブ感を出し、

マサラムービーのテイストをかもし出すことによって通俗的なプロットに煙幕をはる、

ダニー・ボイルの怒涛の演出のやり口をうがってみればそういうことなんでしょうが。



たとえば、スピード感、切り替えの速さを可能にするのは映像の「わかりやすさ」であり、わかりやすいがゆえに物語はどこかで見たことのある展開をたどる。



しかし、そのスタイリッシュな映像とアクション、匂いまで伝わってきそうな臨場感は通俗的なストーリーを予感させない。



そして、脚本と編集の妙。冒頭で「ミリオネア」収録スタジオと殴打シーン(警察での拷問)とをシンクロさせるような緊張感みなぎる繋ぎ方。

あるいは、クイズの内容をたどるように回想される主人公の過去。

終わってみればご都合主義そのもののような筋書きは確信犯なのであって、ハッピーエンドの黄金律はかくして守られる。



映画だからこその強さがあり、わかっていてもなんか感動します。



最底辺のスラム生活、

主人公の一つの愛を貫く強さ、

あきらめない純粋さ、

いろいろな感想があるんでしょうが。



通俗的とかご都合主義とかいう次元を乗り越えるための「スタイル」とか、

マサラムービーゆえに許されるおとぎ話とか、

そういう方面ばっかり考えてしまうワタクシがたぶん不純なのでしょう。



ちなみに映画がはじまるまでは東急ハンズ、Apple Store、MUJI、BOOK OFFを巡回して天下一品で腹ごしらえ。自分の方がはるかにワンパターンだな。