アリ@チャピ堂 お気楽本のブログ

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「ヴァリス」 6 ザ・ラスト・テスタメント

2010-10-26 21:53:14 | フィリップ・K・ディック
ディック インタビュー集 ただのいかれた親父だ!


「ラスト・テスタメント-P・K・ディックの最後の聖訓」
P・K・ディック著(談) グレッグ・リックマン編  阿部 秀典訳

ディックのインタビュー集である
この本を読む限りディックはいかれた親父にしか思えない

SF的な、あるいはディックの混乱をいくつかパターン化すると
1.時制の混乱(過去、未来)
2.並行世界の位置の混乱
3.現実が実は上位機構によって創造された虚構世界である
(凍結保存された登場人物がその意識下で体験させられる場合も含んで)
に勝手に分類している

「ヴァリス」は時制は現在で、並行世界でも虚構の現実でもなく
「どこまでが作者の体験で、どこからが虚構なのか」
という、作者を意識した読み手の憶測、想像が膨らみ当惑させられる

インタビューではそうしたことを根掘り葉掘り聞きつつ
ディックも気の向くままにこたえている

そして、冒頭に書いたように
この本を読む限りディックはいかれた親父にしか思えない

我々は他人と対峙するときに
その脳の奥底と会話するのではなく
発話された単語と文法、外形的表情と自己のインスピレーションで理解している
「ヴァリス」も印刷された活字と行間に見える幻と語らおう

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