アリ@チャピ堂 お気楽本のブログ

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概念的な最終兵器の効果は?

2010-10-03 22:29:05 | フィリップ・K・ディック
「ザップ・ガン」 ディックだから許されること


「ザップ・ガン」“The Zap Gun 1965年作品
大森望訳 創元推理文庫 1989年

ディックにはまっていたといっても
時代的にはほとんどの作品が世に出ていたけれど
邦訳はそれほどなく
傑作(代表作)と言われる作品から翻訳されていくので
それは面白く、ディックワールドにいれこんでいった
最初はサンリオSF文庫が順番に新訳を出してくれる
早川SF文庫、創元SF文庫が再刊を織り交ぜながら未訳のものを出してくる
ごく短期間に何冊をも読み耽るということはできなかった
出版社がペースを作ってくれたようなものだ

こうして、順番にディックの作品を紹介するために、毎日、読み直している
今の方が日常生活におけるディック濃度が高い、濃密になっている
それも、1962年から65年にかけて長編が玉石混交して生み出され
「ジョーンズの世界」あたりからは出版順に紹介し読み直している
ディック的ガジェットの山と、無責任に広げられ収束しない
いくつのもストーリーライン、どこかに消えていく伏線・・
読み直すと言っても、1日1冊なのでじっくりとはいかない
字面だけを追っていてはディックの作品の中で何が起きているのかわからない
改めてたいへんなことを始めてしまったと後悔しつつ
なんとなくペースを落とす気持ちににもならない
じっくり読みだしたら先に進まないだろうから・・

と、ブログの進行状況への感想でまずお茶を濁すのは
「ザップ・ガン」読み直した中で一番わからない作品だった
まだ、これの上を行く作品があるかもしれないが

この作品で、必ずしもディック的であると言うことてはないが
改めてアメリカらしさとして印象に残ったのは
軍隊も警察ももちろん電気、水道すべてが民間会社に委ねらるという発想
というと月並みで、アフガニスタンなど民間警備会社が軍の肩代わりをしているし
今わが国がようやく資本主義の洗礼を受けるべく
アメリカに追随する構造改革路線にのっとて刑務所を民間委託しはじめたりと
わかっているはずのことではあるが
ディックの小説に登場する企業はユニークさにおいてディック的であると同時に
根底にはこのアメリカ的な資本原理主義(?)が
染みついたものであるのかもしれないということである

この作品についてあまり書くことが無いと思っていたが
あまりに書くことが無いので他のことで字数が増えてしまった

最終兵器の効果がほんとうにあったのか
それを確認したい気持ちだけが残った小説であった

 それでもディックに×はない、ディックだから許してしまう依怙贔屓

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