ビジネスホテルに泊まり、翌日も暑い松本市内を自転車でまわりました。
まず寄ったのが古本屋さんです。青翰堂といってテレビに映ったこともあります。
ここは作家の北杜夫さんが学生時代に何度も通った店で、青春記の中にもエピソードが出てきます。
こんな外観なので目立つ。松本城の近くだし。
お店のご主人に北さんのことを聞いてみると、
ここは北杜夫さんに大変ゆかりのある店で…といろいろなお話を伺うことができたのです。
当時のご主人の息子さんだそうですが、北さんとは同年輩くらいでしょうか。
とても感じのいい方で、松本城の話や、最初店はお茶の水にあったが、空襲で松本に移ったことなどを教えてくれました。
外人は店の中まで来るけれど、日本人は外から覗くだけ、だそうです。
北さんの読者は一度は訪れ、ご主人に声をかけて欲しいなと思ってしまいました。
学生時代欲しい本を買うのにひと苦労した話が青春記にのっています。
戦時中、植物図鑑を買うのにお金の他にお米も要求されて憤慨して、青春記に悪口を書いてしまったが、
本当に欲しい人だけに売るための手段だったことをあとになって知り、(ヤミ屋に横流しされないため)
おわびの文章をのせたという話です。
親父の冗談だったんですよと今のご主人は言ってましたが、
当時の北さんはバンカラでとても汚い姿だったので、疑われてしまったんでしょうね。
店頭には北さんの本がたくさん並んでいました。
北さんは最近も何度もここに来てくださってとご主人。
私もその同じ場所に立って、北さんのお話を聞けて感動でした。
店に木彫りの雷鳥がたくさんあり、すすめられて買いましたが、とてもいい思い出になりました。
マンボウ最後の大バクチという本によると、
北さんは4年前上高地に来た時にこの本屋さんにも立ち寄ったと書かれています。
去年亡くなられてまだ信じられない思いです。
私は北さんにあこがれるあまり世田谷に住んだり、がんで入院した所が、偶然北さんの勤務した病院だったり、
何より鬱になって精神科医に会うのに抵抗感がなかったのは、北さんの本を読んでいたからでした。
これからも北さんの本に励まされながら生きていけます。