森の声

 雨粒が あちらこちらに飛んで 

 街燈にも月にも光る、綺麗な夜

 

心のありか

2011年02月06日 | Music
先日放送された、N響と堤剛氏のドヴォコンに打ちのめされたのです。
もちろん、よい意味で、です。

『ドヴォルザーク:チェロ協奏曲 ロ短調 作品104』

Yo-Yo Maの艶々した歌い上げる演奏とは違い
堤氏のそれは、一つの物語をゆったり語るような静かな渋さで
大切に使われてきたアンティーク家具のようなイメージ。
これ見よがしな主張はなくても、しっかり染み込んでくる音です。
落ち着くなぁ。

こんなドヴォコンがあるのか、と、目から鱗がぽろりん。

西洋音楽の本質を解釈する能力はDNAによるところなので
アジア人の演奏には本物の心がない、という人がおられるのですが
コテコテ日本人の私には
アジア人フィルターを通した、こういった演奏だって命中します。
伝統あるヨーロッパオケとは違う魅力で感動を覚えるN響の演奏も、
心がないものだとは思えないのだけどなぁ。

Yo-Yo Maも中国系だけれども
あの底抜けに朗らかで人を惹きつける音を創る感性は
彼の知性やそこから生まれる謙虚なゆとり、
そしてチャーミングな人柄によるものが大きいと思います。

渋好みだというだけかもしれませんが、
熱演だとしてもビブラートにどこか奥ゆかしさを感じる
聴き手への信頼とゆとりを含んだ音を出すチェリストが好きです。
たとえデュ・プレの情熱熱烈演奏が素晴らしくてもちょっと引くし、
逆にアマチュアでも師匠の音は大好きでいつまでも聴いていたい。

チェロに対する好みは人への好みに似ている気がします。

音は空気がないと伝わりませんから
チェリストが周囲に漂わせるそれが「私にとって」魅力的かどうかは
技術と同じくらい(知名度や人種なんかよりは遥かに)大切です。

私は、これからもずっと
自分の耳と心が選ぶチェリストの〝声と心″を聴きます。←頑固(笑)。

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N響ではなくチェコ・フィルとの共演なのだけれど
堤剛氏のドヴォルザークのチェロ協奏曲、これは愛聴盤になりました。
カップリングの「白鳥」「シシリエンヌ」も素晴らしい。
彼の音には木のぬくもりのようなものを感じます。

 ドヴォルザーク:チェロ協奏曲
 堤剛
 ドヴォルザーク、サン=サーンス、フォーレ
 シューベルト、コシュラー(ズデニェク)、
 チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
 ソニーレコード


最近こんなふうにAmazonへのリンクをおぼえたので、
 嬉しそうに楽しんでいます(笑)。
 調子に乗ってくだらなく語り始めたらすみません。

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