1938年 南京 1月7日

2009-01-07 07:32:00 | Weblog
「南京の真実」(ラーベ著:講談社)より
1月7日
 福田氏に国際委員会の趣意書を渡す。氏の話だと、何が何でも南京の秩序を即刻回復せよ、と東京から厳命があったとのこと。また、行政的な職務(この私、ラーベの「市長職」も?)我々「よそ者」ではなく、すべて自治委員会が担当すべし、といってきたという。そういわれてしまっては、手も足も出ない。願わくは自治委員会にそれだけの能力があらんことを。

 南京の危険な状態について、福田氏にもう一度釘を刺しておいた。「市内にはいまだに千ほどの死体が埋葬もされずに野ざらしになっています。なかにはすでに犬に食われているものもあります。でもここでは道ばたで犬の肉が売られているんですよ。この26日間というものずっと、遺体を埋葬させてほしいと頼んできましたがだめでした」。福田氏は紅卍字会に埋葬許可を出すよう、もう一度かけあってみると約束してくれた。

 今日午前10時ごろ、私の留守中のことだった。日本兵が一人、使用人の部屋に押し入り、女たちが悲鳴をあげながら私の住居へ逃げこんできた。・・・・・・・・
 占領されて今日で26日。南京のヨーロッパ人住宅の治安状況がどんなものか、これでわかるだろう。
  リッグズが今日の視察の報告書をもってきた。
うつろな目をした女性が一人、通りをふらふらさまよっていたという。この人は病院に運ばれ、身の上話をした。18人家族だったが、生き残ったのはこの人一人だという。残りの17人は射殺されるか、銃剣で突き刺されるかして死んだ。家は中華門の近くだそうだ。わが家の収容所にやはり近くに住んでいた女性がいる。弟が一緒だが、こちらは両親と3人の子どもを亡くした。全員日本兵に射殺されてしまったのだ。せめて父親だけでも埋葬したいと、なけなしの金で棺おけを買ったところ、これを聞きつけた日本兵たちがふたをこじ開け、亡骸(なきがら)を放り出したという。中国人なんかその辺に転がしておけばいいんだ、というのが彼らの言い分だった。


「南京事件の日々」(ヴォートリン著:大月書店)より
1月7日 金曜日
 きょうの登録は3時に終了した。ここ2日間の登録方法は最も満足のいくものだった。作業はすべて中国人が行ったので、緊張感や恐怖感が取り除かれた。ごく少数の日本人警備兵が傍らの離れたところにいるだけだ。日本大使館の警官数名が中国側警官にいつでも協力できるように待機している。正午に少人数の女性の一団があわただしく入ってきた。南京の西方17華里(8.5キロメートル)のところからやってきたという。彼女たちは、登録したらもう安全、と思っている。・・・・ ・・・・・・

 昨日大使館に到着した3人のアメリカ人に頼まれて、今朝報告書を作成した。・・・・・・・・・・・
 私は、ルース、フローレンス、アリスの3人にあてた手紙を持って行った。今日上海へ発つことになっている船にそれを持って行ってもらえるからだ。上海ではどの程度徹底した検閲が行われているのかわからないので、どんなことを書いたらよいか判断が難しい。・・・・・
 今日は久々にラジオニュースの切抜きを受け取った。私たちが恐れていたことについて情報を伝えてくれるものだった。ここ数日、月明かりの夜に漢口が激しい空襲に見舞われている、というのだ。あのような人口密集都市ではひどいことになっているだろう。漢口は、南京と同様、恐怖の都市に化したと伝えられる。神様、不幸な人々に哀れみを。私たちが南京でこうむった10日間の恐怖の支配を彼らが味わわずにすみますように。・・・・・

 安全区国際委員会の男性メンバーは、すばらしい働きをしている。彼らは自分たちの家は略奪されるがままに任せながらも、中国人の大集団を救済するため、もてる時間とエネルギーすべてを捧げている。ドイツ人ビジネスマン(1)たちもとてもよくやっているし、チームワークが抜群だ。委員長のラーベは恐れを知らない。
  (1)ラーベ、クレーガー、の他に、ドイツ資本の上海保険公司の南京支店長のエドゥアルト・シュペルリングがいる。彼は日本兵の難民に対する暴行を体を張って阻止し、「安全区の警察官」と呼ばれた。


「Imagine9」【合同出版】より


想像してごらん、

ひとりひとりの安全を

大事にする世界を。

Imagine,

A world that values the safety of

each and every human.


政府と政府とのあいだにではなく、人と人とのあいだに平和をつくる事が大切だと思います。人と人とのあいだには、文化があり文明があります。政府が変わっても、人間の文化や文明は変わりません。私はイラク人として、日本の人たちとイラクの人たちの間に平和をつくりたい。それが私の理想です。 (イラク/男性)


第九条【戦争放棄、軍備及び交戦権の否認】

1 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。

2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

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