1938年 南京 2月12日

2009-02-12 07:20:53 | Weblog

「南京の真実」(ラーベ著:講談社)より
2月12日
 いよいよここからずらかるときが来た。ぐずぐずしちゃおられん。今朝7時に、張が天津出身の友達を連れてきた。馮(フォン)といってアメリカ人の家の留守番をしている男だ。かみさんが産気づいて三日になるというのに、まだ生まれないという。こんな嘆かわしい世の中だ、出てきたがらない気持ちもよくわかる。だがかみさんが危ないらしい。すぐ産まないと命にかかわる。そこで、こともあろうに私のところにやってきたのだ!
「だけど私は医者じゃないんだよ、張。産婆でもない。『市長』かもしれんがね。だからと言って知りもしない人間の子をやたらと産ませる義理はない。すぐ鼓楼病院に連れて行きなさい」
 すると張は言った。「ええ、おっしゃるとおりです。でもいっしょに来ていただかないと、困るんです。でないと病院に入れてもらえずに死んじゃいます。子どももです。いっしょに来てさえいただければ、それでいいんです。親子ともども助かります!」
そんなことってあるものか!
「まったく、どいつもこいつも・・・・・」
 かくして、私はつきあうことになった。すると、信じがたいことが起こった。私がその家に入ったとたん、男の子が生まれたのだ。母親は笑い、赤ん坊は泣き、みなは喜んだ。張のやつめ。またしてもこいつの言うとおりになった。しかも私はこの茶番劇に10ドル払うことになってしまった。お祝いをやらなくてはならないからだ。これが知れ渡ってみろ、破産してしまうじゃないか。なにしろ、町には難民が25万人もいるんだからな!
   
17時
 中国軍の空襲。空は一面爆撃機で埋め尽くされ、日本軍の防空部隊が必死で狙撃している。まったく当たらない。それでいいのだ。何しろ誰一人防空壕に入ろうとしないのだから。中国人は、祖国の空襲にはやられないと信じ込んでいる。


 今日の午後、フィッチが「親しくなった海軍軍人」と一緒に上海から戻ってきた。ソーセージやチーズ、インシュリン、それから郵便物をどっさり持ってきてくれた。なかにドーラの写真が一枚あり、ベルリンの新聞の切抜きが添えてあった。「南京市長ラーベ」を称えている記事だ。ああ、市長の年金でももらってのんびり隠居できたらどんなに良いだろう!
 南京陥落の直前、しばらく泊めてくれと頼みに来た人たちの中に国民政府の幹部が2名いた。私は承知した。2人はトランクいっぱい金を持っていて、うちの使用人に何かにつけてチップをはずんだが、その額ときたら、いくらなんでも程度を越えていた。
 国際委員会は、蒋介石から総額10万ドルの寄付を約束されていたが、実際には8万ドル徴収するのがやっとだった。だからこの2人に、国際委員会のための金はもう持っていない旨一筆書いてもらった。
 私がこんなことをした直接のきっかけは、ある日、書斎の机に5000ドルの札束を見つけたからだ。それにはメモが添えてあり、「哀れな人々を救う貴殿の誉れある行為に」とあった。
 私はすぐにそれを委員会に払い込み、2人に公式の領収書を渡した。2人ともちょっと驚いていた。


「南京事件の日々」(ヴォートリン著:大月書店)より
2月12日 土曜日
 リンカンの誕生日だ。しかし、お祝いは何もしない。よい天気が続いている。
 ジョージ・フィッチが戻ってきている。今日アメリカ砲艦オアフ号で帰ってきたのだ。彼から是非情報を聞きたい。彼は、上海にいる私たちの友人からの荷物をたくさん持ってきたそうだ。
 4時から6時まで実験学校でパーティがあった。上海から届いたオレンジとポップコーンを食べた。F・陳さんの新しい息子の誕生日をお祝いした。赤ちゃんの誕生を知らせる手紙が汕頭から届いたのだ。
 6時30分、ジョン・マギーがいくつもの包みージョージ・フィッチが私たちに持ってきてくれた包みーを腕いっぱい抱えてやってきた。メリーは、初めての手紙をもらって大喜びだった。
 飛行機の活動状況から、爆撃が弱まることなく続いているのがわかるが、それ以外は、外の世界についてはほとんど何もわからない。午後、対空砲撃が行われた。多分演習だろう。ありとあらゆる噂が伝わってくるので、私たちには、蕪湖や杭州が日中両軍のいずれの手中にあるのかわからない。
 今日は日本人の訪問者はまったくなかった。
 2ヶ月ほど前から一般生物学研究室の実験台の上で暮らしている、2人の子持ちのとても魅力的な若い女性が相談にやってきた。彼女の話では、夫は上海に骨董店を持っているが、彼女自身はお金を持っていない。彼女は、このところずっとキャンパスで無料配給米に頼って生活している。彼女は、長い歴史のあるクエーカー系女学校の卒業生だ。彼女によれば、自分の家に帰りたい、そうすれば、彼女の家の近所には男が大勢いるので、兵士たちに悩まされることはあるまいと考えている、というのだ。彼女の帰宅については、何が起こるのではないかと、いささか心配だ。
 
 
「Imagine9」【合同出版】より



想像してごらん、

 

女性たちが

 

平和をつくる世界を。

 

Imagine,

 

A world where

 

women create peace.


戦争は、子どもや夫が戦いにいくことを女性が認めない限り起こりません。
女たちは、一歩前へ踏み出し、男たちを含むあらゆる人間の産みの親として、
地球とそこに生きるすべてのものたちの世話役として、破壊をやめさせる責任を果たす事ができます。(アメリカ/先住民女性)

第九条【戦争放棄、軍備及び交戦権の否認】

1 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。

2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

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