想い出の時を刻む

趣味を楽しみながら、今日の思いや出来事を綴り、想い出として残していく日記

人生の先輩を鏡にして…

2015年02月11日 | 日記

    厳しい寒さが続く中、最近知人が相次いで亡くなる不幸が続いてる。

 
  二日前も、70手前の知人が亡くなった。あまりにも若すぎる死であった。心筋梗塞であっと言う間に亡くなったと聞いた。

 

 彼とは個人的に深いつき合いは出来なかったが、私は彼を知識が豊富で人柄が温厚な優しい先輩としてずっと尊敬していた。

 

 彼は無類の読書家であった。亡くなった日も、自分が経営する店で本を読みながら、そのまま倒れたそうだ。家族に聞くと、自宅にいると好きな本が読めないと言って、時々店で寝ていたそうだ。
 
 

 

 彼の読書熱は普通じゃなかった。何時も、どこに行っても本を手放すことはなかった。彼は大学の政治経済学部を卒業したからか、何時も手元には哲学書をはじめ社会問題や歴史問題を取り上げた本を好んで読んでいた。

 

 若い頃は何時もそんな難しい本ばかり読んでいて、地味で静かな性格だった彼は、あまり目立つ人ではなかった。

 

 しかし、彼は知識も豊富で人柄も温厚だったし、その上与えられた仕事に忠実な人であったので隠れフアンも結構いた。私もそんな中の一人だが彼と会うたびに色んな話を聞かせてもらい、本当に勉強をさせてもらった。

 

 彼が、一番好んで読んでいた本は近代史の歴史書だった。今も忘れられないことは彼が探す本を求め普通の本屋は勿論、古本屋を訪ね歩き、私たちが普段目にすることがない珍しい本を買ってきては自慢をしていたことだ。当時は給料も少なかったので古本屋で買ってくる本は高く、おそらく給料は全部それで消えてしまっていたはずだ。

 

 それほど、彼は本が好きだったし、知識を求めて努力を惜しまなかった人だった。
 
 
 そんな、彼も晩年になると、若い頃とは違ってインテリー風の姿は少し薄らぎ、人の良い優しい勤勉な人柄が表にあふれ、いろんな人に好かれていた。

 

 彼は仕事を退職しても、時間が空いたからといって、家にじっとしているのではなく、何時も後輩たちの仕事を手伝ってあげたり、時には仲間を自宅に呼び食事の接待して面倒をよく見てあげていた。
 
 

 彼はまた結構、酒が好きで私が彼を訪ねていくと必ず居酒屋に連れて行ってくれては、いつもの本の話や人世談をよく聞かせてくれた。それほど彼は人の面倒をよく見てあげていた。

 

 だから葬儀の日、多くの参列者たちは彼を知識もあり、人柄もとってもいい最近ではなかなか出てこない素晴らしい人物だったと口を揃えてほめていた。私も全く同感だと思った。

 

 彼が亡くなった後、ご家族の方が言うには彼はこれといった財産は残せなかったが、家には沢山の本が残り、外には沢山の友人を残したと言っていた。羨ましい限りである。

 

 願わくは彼が残した沢山の貴重な本をどこかに寄贈し、多くの人の役立ててもらいたいいものだ。

 

 もうひとり、私の尊敬する方が今月初めに亡くなられた。昨年後半に病気が発見されたが既に手遅れで状態で、半年もたたずに亡くなられた。
 
 
 この先輩は靴を製造する会社の社長であったが、地域の活動に非常に熱心な方であった。若い頃から苦労を重ね一代で今の事業を立ち上げ成功を収められたが、そんなそぶりは全く見せない謙虚な人であった。
 
 
 
 
 何時も素朴な服装で仕事をし、誰の前でも謙虚でおられたので、初めて会う人たちは外見だけ見て誰も社長とは見抜けなかったほどだ。
 
 
 そんな人柄の先輩であったが、ひとたび地域の問題には人一倍熱心であった。学校や商工会議所の仕事、自治会の仕事などを熱心に応援し支えて来られた。
 
 
 だから、地域の問題に関係する様々な人たちは、何か頭の痛い問題が発生すると社長を訪ねて行っては救いを求めていた。
 
 
 また、社長は家族を非常に大切にされていたが、それ以上に友人、知人たちを大切にし、親身になって彼らの面倒を見てあげていたから、本当に尊敬されていた。
 
 
 
 私が何時も尊敬していたのは、社長の豪胆な気の大きさだった。私も機会があれば何度か相談に訪ずれたが、その都度、答えは「仕事は始まる前から悩むんじゃなく、まずは始めることが大切だ。そうすれば必ず前が開かれ結果がついてくる。」であった。そう言っておりながら、実は裏で精一杯応援をしてくれていた。
 
 
 本当に尊敬する素晴らしい地域の名士であった。
 
 
 今月に入り、私が尊敬し、慕っていた二人の先輩が相次いで亡くなられたが、二人の先輩の面影は永遠に私の心に刻まれ生きていくと思う。
 
 
 そして、私は今日改めて、彼らの生きざまを鏡とし、可能な限り自分をさらに成長させ、また地域社会や人々のために役立てるよう努力を重ね黄昏の人生を輝かせて行きたいと思う。